『百人一首を自分なりにアレンジしてみた。』No.9 小野小町
花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに
小野小町(第九番)
(現代語訳)
桜の花の色は、むなしく衰え色あせてしまった、春の長雨が降
っている間に。ちょうど私の美貌が衰えたように、恋や世間のも
ろもろのことに思い悩んでいるうちに。
*****
彼女は言った。
「私が若いうちに。私が綺麗なうちに。その眼に焼き付けておいて。
私がこんなにもあなたのことを、ずっとずっと見ていたことも、すべて」
それは彼女の最期の言葉だった。
その後、彼女は消えた。
先週、花見をした。
今週、葉桜になっていた。
先週の間に、雨が降り、風が強かったせいもあっただろう。
僕は彼女の言葉を思い出していた。
今更になって、彼女の言葉が僕の心の奥底まで届いた。
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