絵本レビュー✍︎"王さまのお菓子"
"王さまのお菓子"
文:石井睦美
絵:くらはしれい
出版:世界文化社
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フランスの新年にはかかせない
伝統的なお菓子「ガレット・デ・ロワ」
「王さまのお菓子」とも呼ばれるわけは…
パイの中に、豆粒ほど小さな陶器の置き物
「フェーヴ」が入っており、
パイを切り分けてフェーヴをあてたひとが
王さまになりその一年幸せになれる
と言われていること。
その「王さまのお菓子」に入っている
「フェーブ」のミリーが主人公のお話。
ミリーの視点から描かれる世界が
とてもわくわくして
絵本にどんどん入り込んでしまいます
ミリーがしあわせにした女の子の姿が描かれる
ラストがとてもしあわせな光景で
新年にぴったりな心がぽかぽかになるお話です♡
サイン本なので大事に大事にしたいですが
娘とも沢山読みたいと思います𓂃𓈒𓇬
ミリーの視点からすると
女の子をしあわせにできてはっぴーだし
ミリーを受け取った女の子もはっぴーだった
では弟くんは?
兄弟が出てくるのですが
その兄弟の心の動きもとても魅力的というか
大事な要素だなぁと思うのです。
ただ、ミリーが女の子をしあわせにできて
よかったね
というストーリーではない気がするんです。
私はミリーがあたらなかった子達の感情も
気になってしまいます
お兄ちゃんの優しさにもほっこりします
もし自分だったら?
と絵本や本を読むと私はよく移入するのですが
誰に感情移入して読むか
が本を読むときの楽しみでもあります
ミリーと女の子になって読むのは
とてもはっぴーでほっこりなのですが
弟くんになって読もうとすると
結構胸がぎゅっとなるんです。
それもまた面白くて…
娘には
いろんな人の立場に立って
考えられる人になって欲しい
娘がお腹の中にいる時からそう思っています𓇢𓆸
この人はどんな気持ちなんだろう。
どんな気持ちでここにいるんだろう。
どんな気持ちでこれをやっているんだろう。
そんな風に相手の立場に立てるということは
その人のことを思いやるということ。
思いやり
という言葉は
ただ人に優しくすることではないと思います。
小学館のデジタル大辞泉によると
おもいやりとは
「 他人の身の上や心情に心を配ること。また、その気持ち。同情。」とありました。
つまり
他人の気持ちになること。
他人に気配りすること。
ですよね。
小さい頃から
思いやりという言葉は沢山聞いてきたけど
なんとなくしか意味がわからなかった。
優しくするって何?思いやりって何?と。
でも
娘と一緒に絵本を読むようになって
その本質を体感できるようになったと思います。
娘には
ママは悲しいな。ママも嬉しいよ!
そんな風に私の気持ちを伝えていくことで
相手の気持ちも考えてあげようね
〇〇はどんな気持ちかな?
そんなことを考えていける子に
育てたいなぁと思います。
「王さまのお菓子」を読んで
そんな思いやりについて考えさせられました。
石井睦美さんの文章と
くらはしらいさんの絵が相まって
そんな思いにさせたのだと思います。
子供から大人まで
いつまでも何度でも開きたい絵本です
出会えた事に感謝𓋜
2023.1.4 ayanehonto