穴を覗く時穴もまたこちらを覗いているのだ
和室、画鋲の穴、3つ。
壁の柄との相乗効果で、瞬く星座に見える。道に迷ったときは迷わずここに来たい。
和室、画鋲の穴、1つ。
壁紙の継ぎ目に添うように開いている。高いテクニックが必要。
和室、インクの汚れ。
画鋲が刺されるべき壁になんたる侮辱。許さない。この恨み末代まで祟ってやろう。
1階トイレ、画鋲の穴、小さく1つ
ボコボコした質感に、慎ましく開いた穴。とても可愛らしい。飲み会の時本当は早く帰りたいのに言い出せずに最後までいるタイプ。
廊下、画鋲の穴、2つ。
意志を感じる真っ直ぐな開き方。人生のど真ん中を生きている。二人の距離感をみるに、おそらくプリキュア。
階段、何故かさしっぱなしの画鋲。
ささっていても可愛いが、おそらく抜いた方がその魅力を発揮するだろう。早く本当の君を見せて欲しい。
2階トイレ、画鋲の穴、2つ。
トイレらしい壁紙にあいた2つの穴。若干サビつきを感じるのがオツではないだろうか。
自室、画鋲の穴、1つ。少し直径が大きい。上昇志向の強さを感じる。
意識高い系穴。IT系の社長の知り合いが多い。
自室、額縁の上に、1つ。
上の画鋲のさし損じのように見える。役に立たなかったことから深い悲しみを背負っているように感じられる。多分3人兄弟の長男。
自室、画鋲の穴、6つ。
おそ松さんか?
穴を覗く時穴もまたこちらを覗いているのだ。
心を覗く時、心もまた、こちらを覗いているのだ。
人に甘えることの少ない人生だったように思う。
いつからか、めっきり人に甘えない生き方をするようになった。
いやそれこそが、自分を保つ唯一の術だったのだ。
生きるには、それしかなかったのだ。
本当は泣きたかったのに、一人になりたくなかったのに。
ここ最近、心の奥底にある、隠してきた幼い自分を見るようになった。
痛々しくて、何かを欲していて、儚いのに、色濃く消えない幼い自分。
なぜ、気付かなかったのだろう。なぜ、見てあげなかったのだろう。
「人を信じる」をはじめた時、気づくべき心の声がよく聞こえてくるようになった。「人を信じる」は、あまりにも甘くて、優しい刺激だったから。
幼い自分が声をあげる。「お前は孤独を恐れていないのか」と。
「人を信じる」ことは、いつか来る「孤独」を受け入れることだと思っていた。私は「孤独」が怖い。もうずっと、私は一人だった。
壁に開いた小さな穴が、何者でもないように、私はぼんやりとただそこにいた。
そう、思っていた。いや、思い込んでいただけなのだ。
「人を信じる」ができないのは「自分を信じる」ができないからだ。
幾たびもの対話の中で、友がそう気付かせてくれた。
私は孤独なのではない。「自分を信じる」先に、孤独は生まれない。
もう何十年も経って、ようやく、心の奥底、そこに座っていた者が、孤独の皮を被った、ただの臆病者だと知った。
信じるを教えてくれた友を大切にするように、私は私を大切にすればいい。
心を包んでもらったように、私は私を優しく抱きしめてあげればいい。
誰かを優しく撫でてあげたいと思うように、私は私を甘やかしてあげればいい。
共に「孤独」を溶かしていくように。共に「孤独」を希望に変えるように。
そう、壁に開いた小さな穴にもドラマはある。
家族との写真を貼ろうとした穴
すきなアーティストの作品を貼ろうとした穴
何かをひっかけようと思って開けた穴
意味がないものなどない。
画鋲の穴に意味があるように、「私」がここに立っている意味もある。
心を覗く時、心もまた、こちらを覗いているのだ。
画鋲の穴を数えた時、私は私を信じられるように
…………なるわけねえだろうがよおいおいおいおいおいおいおいおいメンヘラか?ポエムか??ええええ〜〜〜〜〜〜〜〜〜画鋲の穴からここまで語れる!!????えっえっ怖いんですけど怖いんですけど〜〜〜〜〜どうしちゃったののちこ〜〜〜〜元気出して〜〜〜〜〜元気出してよ〜〜〜〜〜〜〜何!!???この壁の画鋲の穴一個一個写真撮ったの????暇なの??????全部屋見て回ったの????????えっえっえっ怖い怖い怖いえええええ怖〜〜〜〜〜画鋲の穴に意味などないから〜〜〜〜〜ないからね〜〜〜〜〜〜恐怖〜〜〜〜元気出して〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
結論
我が家画鋲の穴多すぎるんですけど、これどうにかなりませんかね?