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「環境保全の意識を高めてもらいたい」!?

神戸経済ニュースというサイトに「須磨海岸で潮干狩り、『豊かな海プロジェクト』が同時開幕・23日 ●ま●ら水産」という記事があった。

有限責任事業組合の「●ま●ら水産」(神戸市須磨区)は23日〜6月5日に須磨海岸(写真=資料)で潮干狩りを開催するのに合わせ、地元の非営利団体(NPO)と連携して「Suma豊かな海プロジェクト」を展開する。

神戸経済ニュース

「海の豊かさを守ろう」はSDGs(国連の持続的な開発目標)で14番目の目標だ。以前は富栄養化で赤潮が目立っていた須磨の海が、いまは貧栄養で魚も減った。かつては釣りで外道の魚だったテンコチ(ネズミゴチ)すらも見当たらなくなった。11月13日には明石市を会場に水産業を振興する「全国豊かな海づくり大会」を開催することもあり、須磨の現状をみつめ、美しくて豊かな海とは何かを多くの人に考えてもらう機会を作る。プロジェクトは、●ま●ら水産、須磨●●の会、神戸●●くらの3者が主催する。

神戸経済ニュース

などと書いてあった。

主催者が、わざわざ「『海の豊かさを守ろう』はSDGs(国連の持続的な開発目標)で14番目の目標だ。」といったのか、記者が一般論として書いたのかはわからないが・・・

朝日新聞のサイトの「須磨海岸で環境保全プロジェクト始まる 潮干狩りも」という記事を見ると、

事業組合の●●●・副代表(44)によると、地球温暖化などの影響でリンや窒素などの海中の「栄養塩」が減少し、須磨沖では●●の色落ちが深刻化している。「地元で見られる生き物について知ってもらって、環境保全の意識を高めてもらいたい」と話す。

と書いてあるので、主催者は「環境保全の意識を高めてもらいたい」と主張されているのは確かなようだ。

これらの記事に登場する有限責任事業組合の「●ま●ら水産」をGoogleで調べると、写真①-2の手前の駐車場と●●工場のある須磨浦漁港船溜まりの埋立地(写真①-1)と同じ住所にあることがわかる。

写真①-1(写真中央が「●ま●ら水産」)
写真①-2

この埋立地(写真①-1、2)ができる前の須磨浦は写真②のようだったらしい。

写真②

写真②には写っていないが右側に現在の海釣り公園がある。砂浜がJRの線路で隠れてしまっているが、須磨海水浴場から海釣り公園までは砂浜づたいに歩いて行けた。

つまり、須磨海水浴場と須磨浦公園は砂浜づたいに歩いて行け、鉢伏山の上にある須磨浦山上遊園へも歩いて行けたということである。

なんと、広大な公園だろう!

この公園が須磨浦漁港船溜まりの埋立地で分断されてしまったのである。魅力が半減というか、壊滅した。

須磨浦全体と埋立地の位置関係は写真③がよくわかる。

写真③

以前、須磨浦は須磨浦漁港船溜まりの埋立で半分になって、須磨海水浴場と須磨浦になってしまったと書いたが、そのことが、ご理解いただけるだろう。

わたしは、こういうのを環境破壊というのだと思う。

須磨浦漁港船溜まりの埋立は、埋め立てられた水域に棲息していた生物の棲息環境だけでなく、『源氏物語』や『平家物語』に描かれた須磨の浦、松尾芭蕉が旅し、正岡子規が愛した日本の景色、つまり日本の歴史や文化的な意味での環境も完全に破壊してしまっている気がする。

写真③の右端が海釣り公園でその向かいの松林が須磨浦公園の一部で写真③には写っていないが、さらに右側に鉢伏山(須磨浦山上遊園)がある。

これだけ引いても写真におさまらない一連なりの公園が、神戸にあったのである。

1000年以上守ってきて、なぜ・・・?●●工場のために?疑問は尽きない。

写真④

写真④は須磨浦漁港船溜まりの埋立地の西側から見た海釣り公園方面の景色。

須磨浦漁港船溜まりの埋立地で完全に砂浜は途切れてしまっているが、今でも須磨浦漁港船溜まりの埋立地の西端から、海釣り公園まで、砂浜づたいに歩いて行ける。

今なら、まだ、須磨浦漁港船溜まりの埋立地を取り除けば、1000年続いた景観を回復することが出来る。もちろん、埋立地の撤去の際は45漁家に十分な保障をすることが前提であるが・・・

わたしも、今回の「環境保全プロジェクト」で、神戸市民の皆さんに「環境保全の意識を高めてもらいたい」と思う。

「SDGs(国連の持続的な開発目標)で14番目の目標」というのは、何処に作ってもいい●●工場を
わざわざ歴史のある須磨浦を埋め立てて作ること
ではないように思うのだが・・・

神戸では、兵庫区の地域おこしのために鵯越え兵庫区説を唱えて『平家物語』は嘘だと主張したり、須磨区の漁業振興の目的で須磨浦の真ん真ん中を埋め立てて●●工場を作ったりしているが、その結果、神戸全体の魅力を損ねることになっている気がしてならない。

地域おこしや振興になっているなら、諦めも付くかもしれないが、地域おこしや振興にすらなっていない気がするのはなぜだろうか?

潮干狩りが何かすごく素晴らしいことのように書かれているが、須磨浦の砂浜で人形浄瑠璃をしていたことはあったそうだが、むかしから須磨浦といえば藻塩で、須磨浦で潮干狩りなど、聞いたことがない。

そもそも、潮干狩りに使う貝は、須磨産なのだろうか?

●●も養殖だから、純粋な須磨産といえるか疑問だ。

兵庫県のサイトには「兵庫県に限らず現在養殖されている●●のほとんどはスサビ●●という種類です。」と書いてあり、「海苔の品種トリビア」の記事に「スサビ●●は、現代の海苔養殖において最も利用されている品種です。日本では福島県より北の地域の太平洋岸で自生しています」とあることから、須磨浦に自然に存在する品種ではないようである。

写真⑤

写真⑤のパラソルの向こうに見えるのが須磨浦漁港船溜まりの埋立地と●●工場などの建物群である。まるで、パラソルで見苦しいモノを隠そうとしているかのようだ。

須磨浦の砂浜は、埋立地と●●工場で、どん詰まりになって、見通すことが出来なくなっている。周囲の景色が埋立地とそこにある●●工場の建物に遮られて、どこの砂浜かもわからない状態だ。

むかしは、埋立用の土砂搬出用の桟橋(写真②や写真③に写っている)はあったが、完全に景色を遮るものではなく、桟橋は撤去可能な構造であった。写真⑥は現存する桟橋の基礎部分を写したものである。

写真⑥(土砂運搬用桟橋跡)

ほかにも、須磨に限ったことではないが、漁船等の船舶には騒音規制がないので、ディーゼルエンジンを噴かす音が未明に轟く。

グルグル回るのかブォー、ゴーーーーと、繰り返し繰り返し、朝まで続く。

ちなみに、プレジャーボートなどの船内居住区の騒音や振動については十分な対策がされていて、快適らしい。

違法ではないので、自由にしていただいて、結構なのだが・・・

「環境保全の意識を高めてもらいたい」と願うのは、わたしだけではないだろう。

※神戸市以外の地域では、一般的に「SDGs(国連の持続可能な開発目標)」を考える場合は、産業と自然科学的な環境の持続可能性だけでなく、地域の歴史や文化といった人文学的な環境の持続可能性も課題にしているようである。

リートン作:CDGs(微KOBEの持続的な開発目標)

※また、ちょっと埋め立て反対!みたいなこと書いちゃいましたが、ただ、45魚家にちゃんと保障をした上で埋立地を撤去して、景観保護(回復)をした方が神戸市の観光資源の価値が上がるのではないかという、前向きな意見を言っているだけです。私は「極左暴力集団」じゃないですよ〜。いじめないでくださいね〜。

※素人の素朴な疑問なのだが、昔は工場排水や汚水の垂れ流しで海水の富栄養化という公害が発生していたが、現在は、汚水処理施設の充実と●●養殖の増加で海水の貧栄養化という公害が発生している、という見方はないのだろうか?

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