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鎌倉《moln》店主。 2004年から2010年まで“Belle & Nata…

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鎌倉《moln》店主。 2004年から2010年まで“Belle & Natary”という名前で友人と2人交換日記のように文章を書き、ZINEを制作。2010年、雑貨店を始めるにあたり“Belle & Natary”解散。今はお店をしながら自由にことばを紡いでいます。

最近の記事

人と人の関係ってなんだろ。

信じてもらえないかもしれないけれど、私はとても人が好きなのに、とても人が苦手だ。 人といると楽しくて世界がひろがる。その人を知るたびに新しい扉が開くワクワク感がある。 でもネガティブな視点が投影されると闇に落ちて、人がとたんに苦手になる。 それを乗り越えたくて過ごした20代〜30代は、嫌いとか苦手を経由した先にある絶対的なゆるぎない「好き」に憧れて、そういう人間関係を幾人かと築くことができた。 それから、ほどよい距離感を保てば誰かを特別苦手になることはあまりない、というこ

    • 人生で大切なこと

      朝焼けに目が覚めて、空に現れる一瞬のピンクの世界を見ると、今日1日もこんな心の色で過ごしたいなぁと思う。 夕焼けの中を歩いて、空の描くアートを前に佇むと、世界には毎日奇跡が起きていると信じられる。 新型コロナウィルスに罹患してしまった。 8月の初めに京都に旅行にいき、帰ってきた翌日、喉の痛みと高熱が始まった。 2020年から世界中で始まったCOVID-19という感染症によるパニック。 いつ自分がかかってもおかしくない状況ではあるけれど、特に自分でお店をしている以上、周り

      • 猫の毛皮

        私は、 「猫が生まれてくるときに、お洋服を選ぶように、じぶんの毛皮を選んできた」 というお話が大好き。 個性的な模様の子をみると、きっと時間をかけて吟味したとっておきのお洋服なんだろうなぁって愛おしくなる。 たまにみるチョビヒゲ模様が鼻のあたりにある子は、みんなを笑わせたいひょうきん者かな?とか、 前髪がある子は、私とオソロイね、とか、 白猫ちゃん、黒猫ちゃんは、シンプルイズベストね、とか。 脚の裏とか、おなかのほうに、隠れポイントがある子もいて、 特別な関係になら

        • わたしのユートピア

          この世界に生きてる以上、 向き合わなくてはならないことがあって でも今日はそんな力がないよ、 がんばりたくてもがんばれないよ、 ってときもあって。 そんな時に、無言に力をくれたのは いつだって無限に与えてくれる “自然”の美しさだった。 季節を知らせる花々がわたしをいつも先導してくれる。 海はいつでも、外へ外へと向かう意識を、 内へ内へと誘ってくれる。 だから私は無意識に、げんきがでないときに、生花を飾る。 そうすると、いつのまにか力が湧い

        人と人の関係ってなんだろ。

          忘れものをとりにいく

          立春がきて、春の気配が漂いはじめました。 きのうは、家から歩いて15分ほどの材木座海岸へ。 昼の海は、太陽がキラキラと輝いて、波間には宝石のような光が溢れていました。 夕方、帰路の途中で立ち寄ると、空と海が描く柔らかなグラデーションが美しすぎて、一瞬一瞬の変化に、目を離せない時間となりました。 「春灯」(はるあかり)という季語があるそうですが、私にとっての「春灯」をみつけたような、特別な時間になりました。 西の方面にみえた、一番星は何星だったのかな? 私は、自分の店

          忘れものをとりにいく

          世界は遊び場

          子どもの頃、世界のすべては、遊び場だった。 でも、その世界は狭くて、頼りないものだった。 大人になったら、もっともっと広い世界で もっともっと楽しいことをして遊べると思ってた。 大人になるために、世界の端から端まで歩いて たくさんのことを知る。 知ることはいいこと、経験は宝だって言うから。 世界はとても広く、人は無数にいて 限りない私の小さな空想は、その中に紛れ込み どこへ行っても、日は東から上り、西へ沈む。 いつのまにか、懸命になり、 正しいことや間違いを知り、忘れ

          世界は遊び場

          《脱いでいく旅》

          生まれてきた時、裸ん坊だった。 この世界のすべての名前を知らされずに生まれてきて、無心に世界をみつめていた。 それからお洋服を着て、歩き始めて、 味を知り、言葉を知り、 歌を覚えて、おともだちができて、 恋をして、知識を得て、 誰かの役にたちたくて、 働いて、家族をつくって。 仲良くなれるひともいれば、 なれないひともいて。 理解できることもあれば できないこともあって。 幸福をもらうこともあれば 傷つけられることもあって。 いつのまにか、わたしは世界をみるとき、

          《脱いでいく旅》

          《自分のストーリーを生きる》

          取材で、「お店をやるのは昔からの夢だったんですか?雑貨屋さんになりたかったんですか?」と聞かれることがあって、でも実は、お店を始める時にも、それが夢だったわけではない。 大学時代に就職活動をしているとき、わたしにはなりたい職業、憧れの職種はなにもなかった。 日本文学科で文学が好きだったけれど、出版社に入りたいとか、出版関係に就職したいとは思わなかったし、心が動かされる音楽を聴いても、ミュージシャンになりたいとか、音楽会社に入りたいと思わなかった。 なにが本当にやりたいか

          《自分のストーリーを生きる》

          - short story - リリと大きな木

          リトアニア郊外の森のなか、リリは広い草原に咲く白い花。 小さなつぼみをいくつか持ち、青々と甘く苦い香りが宿る葉を風に揺らして、楚々とした佇まいで立っている。 静かな午後。とてもとても静かな昼下がり。 耳をすますと、虫の羽音が聞こえる。 人間には感知できないほどの微細なリリたちのような花や植物の香りを、虫は遠くからキャッチして、迷わぬ飛翔で近くにやってくる。 リリがこの草原にやってきたのは、まだ綿毛の頃。  たくさんの兄妹姉妹と一緒に、母のもとにいた頃に、母は幾度も優しく皆

          - short story - リリと大きな木