【永遠の一瞬 百人一首の音読が時を超えて思いを繋ぐ】
今年の1月1日。
ふと思い立って、百人一首の音読を始めた。
末次 由紀さんの「ちはやふる」を一気読みしたのがきっかけ。
実写化もされていて、
劇中のセリフがその起爆剤になっている
「時の流れには誰も逆らえないけど、この詩が千年先の未来にも届いたように。私たちには一瞬を永遠に留める力がある」
私のなかで静かに、何かが変わった
1000年以上も前の一瞬を現代まで伝えてくれているのに、
千年先の未来に届く、
そんな思いを繋がないのは、なんだか寂しい気がして…
まるで、遠い時代の歌声が、私を呼んでいるように感じて
暗誦できるようになりたい、と思うようになった。
自分でお手製のテキストを作って
元日から音読開始
でも、100首全部の音読に10分くらいかかるから、
1日にせいぜい2、3回。
それを半年、350回くらい音読したかな。
そこまでで、ちゃんと暗唱できるようになったのは2、3首だけ。
モチベーションが続かない日もあった。途中で何度も止めた。
11月になって、やり方を変えた。
全部通しでの音読はやめて、1日に13首くらいを50~100回繰り返すことにしてみた。
そしたら、10日くらいで、最初の13首が暗唱できるようになった。今は39首くらい暗唱できる。※手製のテキスト1ページ13首しか入らなかったから切りが悪いけど
不思議な感覚だった。 最初のやり方では全然ダメだったのに。何が違ったんだろう?
考えてみると、まず、反復回数と集中度が違う。前は100首全部をざっと読んでたけど、一首一首じっくり向き合う時間が少なかった。 新しいやり方は、13首に集中して、何度も何度も繰り返す。 人間の記憶って、そういう反復でできていくんだな、って実感した。
それから、目標の大きさも関係してると思う。100首全部を暗記するって、すごく大きな目標で、なかなか達成感が得られなかった。13首って、すごく小さな目標だけど、すぐに達成できる。その小さな成功体験が、次の目標へのモチベーションになったんだと思う。
もっと簡単に覚えられる方法を探してみて、 すぐに覚えられたけど、すぐに忘れてしまった。 だから、今回は違うやり方を選んだ。
時間をかけて、ゆっくり反復していく方が、実は、忘れにくい気がする。 まるで、雨が少しずつ土にしみ込んでいくように。 そして、その記憶が、いつか何かを育む、そんな予感がする。
前に読んだ貝原益軒さんが書いた「読書三到」に音読の心得が書いてあって。 「ただ、心にとめて多く編数を誦れば、自然に覚えて久しく忘れず」って。
「一書熟してのち、また、一書を読むべし」って部分も印象的だった。 でも、その「一書」って一体何?ってずっと考えてた。 論語を全部読んでみたりもしたけど、結局暗記できたのはほんの一部。
私にとっての「一書」って、1分くらいで一周できる文章を1000回読むこと、なのかもしれない。 体感として、1000回くらい繰り返すと、長期記憶に残る気がする。
百人一首も、もしかしたら、1000回繰り返せば、全部暗記できたのかな、なんて思ったりもする。 でも、今のやり方の方が、私には合ってる気がする。
ゆっくり、少しずつ、先人たちの思いが細胞がしみこむように。