モラハラと気付いた日
朝起きるとテーブルに手紙があった
A4のコピー用紙11枚
乱雑な文字は夫のもの
私をひたすら責める内容だった
普段なら傷付いて、
泣いて、
過呼吸にでもなる様な、
酷い言葉ばかり
だがその日の朝は
不思議と客観的に捉えることが出来た
これは夫が私に酷い言葉を言い続けてきた
証拠品
静かにクリアファイルに入れてタンスの中へしまうと
いつも通り子供を保育園へ送り出し
週5のパートへ出かけた
仕事中もグルグルと手紙の事を考える
こんなに相手は怒っているなら
帰ったらまた何を言われるのだろう
怖い…
恐怖や不安で
誰かに聞いてほしくて
仕事の昼休憩
コンビニで買った昼食には手を付けず
ネットで見付けた女性電話相談に電話した
1件目、2件目…
案外繋がらないものだ
仕事に戻るまで後30分の所でようやく繋がった
50代位の優しそうな女性の声
安心して一気に涙が溢れた
夫からの手紙の話をする
うんうん、辛かったね
その言葉だけで救われる
「それはモラハラだね。精神的なDVなのよ。」
衝撃だった
優しく聞いてくれていた相談員さんが
どんどん話始めた
モラハラである事
すぐに逃げた方が良い事
逃げる方法
逃げた後に頼りに行くべき施設
泣きながらレシートの余白に爪をたててメモした
休憩時間が終わるギリギリまで話を聞き続けた
その日の夕方
娘を連れ帰り帰宅するが
何も手が付けられない
今まで苦しんできた何かに名前が付いた衝撃
モラハラという言葉は一度聞き覚えがある
「どうせモラハラとか言うんだろ!いいよな女は、そうやって弱い立場に立って逃げられるから!」
間違いない
夫から聞いたことがある
その時は考える暇も無く怒鳴られ続けて
自分が悪いと思い込んでた
モラハラって何だ?
調べれば調べる程
夫の特徴を箇条書きしてる記事ばかり見つかる
気づいたら18時
夫が帰るまでに家事育児を済ませて
布団に潜って寝たふりをしよう
そうすれば
今日は怒られない
いや…
先延ばしにしてるだけ
いつかまた怒られる
「逃げなさい」
…逃げよう
すぐに…!
3日分の服
最低限の外泊セット
通帳と印鑑は中身だけ取り出し、ケースは元の場所に残した
「父の体調が悪くなったので、実家に行きます」
嘘のLINEを残したのは
昼間の相談員さんの知恵
黙って逃げると捜索願を出されたりする可能性がある
適当な理由を付けて帰った事を伝えなさい
これは本当に時間稼ぎになった
「母さん?急だけど実家に帰らせて。」
「なんかね、そんな気してたの。父さん向かわせるから。」
父が来るまで2時間。
職場に最後の挨拶をしてきた。
「ママ、なんで泣いてるの?」
ずっと静かに付いてきてた娘が
車の中で初めて聞いてきた
「パパに意地悪されたから」
こう返答した事を今となっては後悔している
娘のパパへの恐怖心が大きくなった一番のきっかけだったに違いないからだ
実家に到着したのは23時
詳しくは明日ゆっくり聞くから
今日は温まって休みなさいと
母は風呂やベッドを用意してくれていた
全てを済ませて
眠りに付こうとした時
夫から着信
スマホの画面には大量の夫からの通知があった
全く気づかなかった
怖い
出たくない
何度も止んでは鳴り響く着信音
出るまでかけるつもりだろう
恐る恐る応答すると
やはり怒鳴り声がした
実家に帰られた事に非常に腹を立て
明日連れ帰ると勝手に決められた
どうしよう…連れ戻される…
全く眠れないまま、朝を迎えた
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