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静岡県伊東市まぼろし博覧会のセーラちゃんと知床半島の公衆浴場のジジイ

暇だったので2022年放送の「ドキュメント72時間」(NHK)を観た。

2022年のランキング第6位が知床半島(厳密には羅臼町)の公衆浴場で、第5位が静岡県伊東市のまぼろし博覧会だった。

わたしはまぼろし博覧会の回が大好きで、たまに観たくなる。

まぼろし博覧会とは、様々ながらくた(各地の秘宝館やストリップ劇場、ぬいぐるみ好きの高齢者から引き取った謎の物たち)を集めた施設で、「セーラちゃん(推定75歳)」と呼ばれる細身の男性が文字通りセーラー服を着て運営している。

セーラちゃん

ウィッグ(椎名林檎風のボブ)を被り、明るめのファンデーションを塗り、つけまを付けている。
結構かわいい。

実際、観光で訪れた女の子たちは「セーラちゃん可愛い!」と興奮しながら写真を撮っていた。

博物館に展示してある物々は統一感がなく、はっきり言って不気味で、見物に来た男性は
「これって、気持ち悪いのか怖いのかどういう気持ちで見ればいいんですかね」と言っていた。

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どう感じるかは自分で決めたらいいと思う。私も行きたい。

その後、第6位の知床半島の公衆浴場の回を見た。

町が管理する公共浴場ではなく、使う人が自ら清掃や修繕を行い管理している浴場だ。

ここには「番人」と番組内で名付けられた男性(推定84歳)がおり、観光で訪れた一元の客(主に気の弱そうな若者)に対し鋭い一瞥を向け、かけ湯をせずに湯船に入ろうものなら即怒鳴る。

ちなみにかけ湯の回数は10回と決まっていて、それ以下の回数でも怒鳴られる。

「仕事が辛いので知床半島に気分転換しにきました」という20代の若者が雑なかけ湯で湯船に入ろうとし、当該男性にこっぴどく叱られていた。
岩場に座りしょんぼりと項垂れる若者2人。

ルールを理解すればそこで終わりというわけでもなく、当該ジジイは若者2人の動向をずっと睨み続けていた。萎縮し続ける若者たち。

⚪︎ね

ここから本題に入るが、静岡県伊東市のセーラちゃんは基本的に誰でも歓迎している。
仕事が辛くて息抜きに来た人、変な物が好きな人、「普通」という価値観に疲れた人、とにかく誰でも入場料大人1200円さえ支払えばようこそのスタンスだ。

対し知床の番人(以下ジジイ)。
遠いところからクソ寒い町にわざわざ来てくれた物好きな若者に対し、まるで敵軍のような視線を向け、彼らが(ジジイの決めた)ルール違反をしていないか常に見張り、ルール違反を見つけたらこれ幸い(?)手厳しく怒鳴りつける。

セーラちゃんは客を見張ったりしない。お迎えとお見送りはするが、展示物を見ている間は基本的に野放しだ。

知床半島の話についてもう少し補足すると、同じ今風の若者でもジジイに受け入れられて溶け込めるタイプと、前述の若者のようにジジイから排除されるタイプがいる。

ジジイに気に入られた男性は北海道大学の大学院生で、ヒグマだか鮭だか鱒だかのとりあえずクソ寒い地域に生息する生物について研究している人だった。
彼もおそらく初手でルール違反を犯したはずだが、ジジイにめちゃくちゃ気に入られていた。
また、神戸市でシステムエンジニアをしており、年に1回知床を訪れて息抜きをする男性も、「お前今日うちに泊まっていけ」とジジイにしつこく誘われていた。

いずれの人物も見た目は「今風の若者」だ。

昔からこの線引きが分からない。
田舎の五月蝿い人物に好かれる人、そうでない人、そして好かれる術のことだ。

今は一応、政令指定都市に逃げ仰せたのでもう知りたくもないが。

これは蛇足だが、セーラちゃんのような人は知床半島では生きていけない。よく分からない展示物(教育上、不適切な展示物もある)もそうだが、あの奇異な服装で北海道で生きていくことはできない。

気候的にそもそも無理だが、気候の問題ではなく住民気質の話だ。

知床半島のジジイのような「他人を観察し、慣習と異なることをすれば即注意する、もしくは何らかの方法で攻撃する」人が多すぎるからだ。

くっそだるい。

伊東市のセーラちゃんの回が好きなのは、自由な感じがするからだと思う。奇異な服装のセーラちゃん、不気味な展示物、それを面白く感じたり気に入ったりして見に来る人たち全部から「自由」を感じる。

みんなそれぞれ好きなものや熱中することがあって、他人を観察する暇などないのだろう。

首都圏に夢を見過ぎかもしれないが、やっぱり一度でいいから関東のどっか(さいたま千葉神奈川東京静岡)に住んでみたい。これが思い込みかどうかは住んでみなきゃ分からないし。

今年の年末年始休暇も終わり。

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