当時の日記より249@2011 5月末
運転嫌いの私が父の介護の為に渋々購入した軽自動車。父も姫(母)も亡くなって、実家の駐車場に放置状態だった。
震災後、東北道が復旧してすぐに詰められるだけの荷物を積んで親戚宅へ行く際、この軽をあげようということに。私が自力で届けられる訳はなく、友人が代行してくれて2台で向かった。
車検証によるとこの車の前オーナーは神戸の人。しかも阪神大震災の頃。そして私を経由して次に親戚へ。プレゼントした親戚はそれに気づいて言った。
「神戸の街で地震に遭って大変な街を見てきてるんだな、この車は。そして縁あって今度はここで走るんだ。だからこの町もきっと大丈夫。必ず立ち直るよ、神戸みたいに」
実はこの車、今も現役。相当ガタがきているのですが、どうしても手放せないと親戚は乗ってくれているのです。震災の話は山のようにあるのですが、趣旨から外れてしまうので割愛します。
5月の末。相変わらず片づけ中。
何十冊に及ぶ家計簿(を利用した日記)。シュレッダーにかけるのが大仕事だ。姫の心の内なんて知りたくもないから中身は読まない。でも前述した通り、色んな物を間に挟んでいるからチェックしなくてはならない。
そういえば姫はメモ用紙を正しく使えない人だった。例えば表紙の裏に何かを書き留めたり、裏表紙の厚紙に書いたりする。私は子供の頃
「線がひいてあるところに字を書くんだよ!」
と注意すると
「線が邪魔なのっ」
とキレられた。
真新しい便箋やノートに先ず書き始めるのはそういう箇所だった。ワンポイントのイラストなんかが入ってるメモ帳なんて、裏側しか使わない。本当に変わってる。しかもそれだけじゃ飽き足らず、新聞の折り込みチラシの裏が白紙のものをコレクションしてた。書きなぐるために。そして書いた物は捨てない。
重要なことが書かれているわけじゃない。それなのに捨てない。資源ごみの日に紙袋5つ分出したこともある。しかも一度きりではなく何回も。
これも私が子供時代から気づいていた姫の妙な行動なのだが、時々狂ったように同じ文言を延々と書き綴ることがあった。例えば「花が咲いた」だとする。文字で紙一面が真っ黒になるほど花が咲いたを書き連ねるのだ。線が邪魔だとメモ用紙の裏に隙間なく、規則性もない。余白が残らないように字で紙を埋めるように。
そんなことをして何が楽しいのかと同じことをしてみた。全く面白くなくて3分の1も書かずに止めた。やっぱり姫は何かが変だ。
つい最近知りました。これはハイパーグラフィアというらしいです。
カタカナも書けない人だった。どんなに訂正しても間違える。発音させると正しく口にするのでカタカナが書けないようだ。アスペルガー以外に学習障害もあったのかも知れない、今から思えば。姫は姫なりに生きづらさを抱えた人生だったのかなとも思う。
だからってすべてチャラにする気は全くないけれど。