才能の塊みたいになりたかった。

才能の塊みたいになりたかった。

わたしだってあの子みたいにセンスの良い服を着てオシャレがしたいし、あの子みたいに上手にイラストが描けるようになりたいし、あの子みたいに手先が器用でありたかった。

でも、わたしはどうやら"あの子"のようにはなれないらしい。

いいなぁ、すごいなぁ、羨ましいなぁって思う人が、たくさんいる。才能の塊のような人が、わたしの周りにはそれこそ何人もいた。
自分のスキルを活かして活躍していくみんなを見て、置いてけぼりをくらったような、取り残されたような、そんな気持ちになる。

あの時、同じ校舎で、同じように机を並べて、同じ授業を受けていたはずなのに。一体どこで、何が違ったんだろう。

ないものねだり。きっとそう。

自分に持ち合わせていないスキルを目の当たりにして、今の自分には到底及ばないそのレベルに嫉妬して。

でも。もしかしたら。

わたしも、誰かにとっての"あの子"なのかもしれない。自分が気がついていないだけなのかもしれない。

そんなことをぼんやり考えながら、今日も電車に揺られてた。

今日の東京は、雨でした。

この雨で、桜、散ってしまうかな。

もうぽかぽかの春だからと、コートを着てこなかったことに散々後悔して。
春だからとクリーニングから下ろしたばかりのグレーのスーツに身を包んで。

今日もいつもと変わらない日常を過ごしたけれど、わたしの今ある日常は、誰かにとっての"あの子"かもしれない。

なんか、ね、がんばりたいね。

今のままのわたしで、がんばりたい。

今日もおつかれさまでした。

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