もし雨が止まなければ
降り続く雨は、どうやら止むことを知らないらしい。
土砂降りの雨音が、窓を閉め切った部屋の中にも聞こえてくる。
傘を差して出かけることですら億劫になるほどのこの雨は、まるでわたしの気持ちを表しているようで。
「別れよう」
何度か話し合った末のわたしたちの結論は、あっさりしたものだった。
「この5年で何が一番楽しかった?」
『全部』
迷わずお互いがこう答えたけれど、これから先の未来にお互いがいないことには、あえてふれることはなかった。
2人で積み上げてきたものが多すぎて。存在が大きすぎて。
いなくなってからその大切さに気付くなんて愚か者だって思っていたけれど。やっぱりそばにいると気付けないことだってあったんだね。
今頃彼の左隣にはわたしじゃない女の子がいるんだろうか。
こんな雨の日、あなたの傘に一緒になってもぐりこむのは、わたしの知らない女の子なんだろうか。
考えるだけで、胸が張り裂けそうになる。考えたくもないのに、それでも考えてしまう自分が心底嫌になる。
どれだけ後悔したって、過去は戻ってこない。もっとあの時あの言葉を言っておけばとか、あの時あの行動をしておけばとか、そんなもうどうしようもないことばかりが頭をぐるぐるとしてしまう。
泣くもんかって思っても、自然と涙が出てきてしまう。
わたし、こんなに弱かったっけな。
記念日に買ったペアリングも、誕生日にもらったネックレスも、就職祝いってプレゼントしてくれた名刺入れも。普段使っている持ち物すべてにあなたの顔がちらついて。
永遠なんてないってわかってはいたけれど、それでも永遠というものを信じてみたかった。わたしの気持ちも、あなたの気持ちも、ずっと変わらないって思い込んでいたかった。
たくさん傷つけてしまった。そしてわたしもたくさん傷ついてしまった。
やまない雨はないとかって言うけれど、そんな言葉は信じられない。
わたしが前に進める日は、本当に来るのかな。
もし、雨がやまなければ。
またあなたの傘に一緒に入れる日が、来るんだろうか。
***
そんなことを考えていたのが、今から3年前のこと。
恋も、仕事も、何もかもがうまくいかない。苦しくて、悔しくて、どうにでもなってしまえって思っていた。
そんなことを懐かしむことができるようになって、わたしもまた大人になったなって。
止まない雨は、本当になかったなって、今となっては思う。
あの頃のわたしには信じられなかったかもしれないけれどね。
土砂降りの雨も、しとしと雨も、突如遭遇するゲリラ豪雨も。
人生山あり谷あり色々あるけれど、それでもみんな前に進んでくから。
ちゃんとまっすぐ前見て、自分が進むべき道を歩んで行けたらいいなって思う。
(あ、ちなみに3年前にお別れしたこの彼は、その後わたしが1年かけて追いかけまくって無事によりを戻しまして、今でも変わらずわたしの隣におりますので、ご心配なく)
わたしたちもまた新たなステージに進むから、そのためにしっかり準備して、ちゃんとみんなに報告できるようにしたいなって思う。
(これ、1ヶ月後くらいに回収する伏線だからちゃんと覚えててね)
そんなわけで、今日もおつかれさまでした。
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