歌集「around 30」
「今日遊ばん？」誘える友を失ひて
かわりに吾子より誘わるる日々
「若いっていいよね
なんでもできるじゃん」
ほんとにわたしに向けて言ってる？
初月無料
解約し忘れ垂れ流す
貴重なお金無駄な毎日
なんでなの
洗濯回すタイミング
体調悪いか雨のどっちか
「横浜駅完成したら結婚ね」
あんた何年待たせる気なの
急変す四季折々に惑わされ
自律神経やられて寝込む
発熱はいいぞ
なぜなら「なんとなく」を
許さぬ社会システムだから
ひとり部屋
鬱の気配に飲み込まれ
あゝ今日もまたお風呂キャンセル
元彼のプリクラ断捨離してみても
消えない消せない心のなにかが
こいつのどこがいいのか
さっぱり解せぬまま
「いいね」の方に今朝もスワイプ
お医者様マッチして会えばオンコール
どこから嘘かどこまで真か
ビジネス書買って積んでを繰り返し
賢くなった気になるわたし
「結婚はまだか」と尋ねる人さえなし
帰りたくないあの田舎には
会社辞め失恋みたいにばっさりと
ロングをショートにする勇気もない
働けど働けど……の句に学び
投票行くのになんも変わらん
カフェインを摂ること強制される日々
睡眠足りん起き上がらなきゃ
やさしい人やさしい人に育てられた
帰ってわかる義母の強さ
「あどけない顔立ちいつか大人びる」
嘘だ童顔そのまま老ける
急かされて選ばなくてもいいじゃない
曖昧なままにしておきたいの
息継ぎを許されぬまま泳いでる
止まれば死ぬのマグロの如く
寝てばかり休日に意味を見出したい
誰か名前をつけてください
じじばばの出会い俳句サークルで
そういう血なの流れてるのは
書くことの熱に浮かされ
一日中書き殴っては打ちまくっては
明日もまた生きていられますように
いきなりホームに飛び降りないで
人生のすごろく進めていったのは
わたしがずっと夢見ていたから
なぜかXに素敵な短歌がたくさん流れてくるようになって、私も書いてみたいと思い、気づいたら25首詠んでいました。
これからも、自分も読者のみなさんも楽しめるような文章を、形式にとらわれずに書いていきたいと思います。