ポジティブ心理学でウェルビーイングな日々を・14「幸せのレシピ=『幸福学』白熱教室より」
私が一番最初にポジティブ心理学に興味を持ったのは、
会社の同僚から、
NHKで放送されていた「『幸福学』白熱教室」という番組を勧められて
視聴したときだった。
そこでは、二人の研究者による研究結果が
わかりやすく紹介されていた。
一人目は、ブリティッシュ・コロンビア大学の
エリザベス・ダン博士。
二人目は、幸福学のインディ・ジョーンズと呼ばれている
ロバート・ビスワス=ディーナー博士。
心理学は、科学。
つまり、人間の幸福というものを科学的に研究している人たちがいる・・・
そのことが、まず新鮮な驚きだったの。
ダン博士によるとね、
幸福になることは、ケーキを作ることに似ていて、
ちゃんと「レシピ」があるのだと。
材料とレシピがあれば、誰でもケーキが作れるように、
方法を知っていれば、人間は誰でも幸福になれるの?
そんな興味がむくむくと湧いてきて、
メモを取りながらテレビを見たんだ。
まず、その「レシピ」に必要な材料を、先に種明かししちゃうね。
①人との交わり
②親切
③「今、ここ」にいること
この3つだそうです。
エド・ディーナー博士や、
マーティン・セリグマン博士が
ポジティブ心理学の先駆者としては有名なんだけど、
博士たちは、幸福度の高い人たちを集めて研究をした。
特に幸福度の高い上位10%の人たち。
もちろん、色々なタイプの人がいるわけだけど、
たった一つ、「共通点」があったんだって。
それが「人との結びつきが強い」ということだった。
このことは、幸せでいるための絶対条件ではないけれど、
少なくとも必須条件ではある、とダン博士は断言しているよ。
そう聞くと、
「自分には親しい人が周りに誰もいない・・・」とか
「自分は内向的な性格だから・・・」と、
むしろ落ち込んだ気分になっちゃう人もいるかな。
わかるよ。
私も、人とワイワイやるよりも、
ひとりでいるほうが安らぎを感じるほうだもの。
でもね、ちょっとしたことでいいらしいの。
コーヒーショップで、
いつもは店員さんの目も見ないで受け取っていたコーヒーだけど、
今日は店員さんの目を見て、
ニコッとして「ありがとうございます」と言ってみるとか。
そういうことで、
明らかに幸福度は上がるんだって。
普段の生活の中で、ほんの少し、
人と関わるように意識してみる。
それだけで、幸せな気分になれるんだよ。
「親切」に関しては、第6号でも取り上げたね。
人に親切にすることは、自分の幸福度を上げる、という話だったね。
ところで、ソニア・リュボミアスキー博士の実験によると、
「週に1日だけ、3~5つの親切をする」ように指示された学生と、
「1日に1つだけ親切にする」ように指示された学生、
どちらの幸福度が高かったと思う?
前者なんだって。
どうも、親切にするという行為にもコツが必要で、
まず、自由な発想で、自発的に行われるべきだし、
親切の内容や相手に関しても、
いろいろと変化をつけたほうがいいんだって。
1日に1つ親切にする、という方法は
習慣化してしまって、
自分にとってそれをすることが当たり前になってしまい、
幸福度に影響を与えなくなってしまうみたい。
お金があれば贈り物を買ってもいいし、
お金がないなら、自分の時間を使って何かしてあげる。
相手が楽になるように仕事を肩代わりしてあげたり、
相手が喜ぶところに連れて行ってあげたり。
嬉しいサプライズを演出するのも楽しいよね。
これまで思いをはせることのなかった誰かの気持ちを考えて
寄り添ってあげる、というアイデアも紹介されていたよ。
最近ね、ウエストジェット航空という
カナダの航空会社の動画を
ポジティブ心理学の講座の中で見せてもらったの。
クリスマスの日。
空港で出発を待つ乗客の人たちに、
AIサンタが「クリスマスプレゼントに何がほしい?」って聞くの。
人々はAIサンタが映っている画面に向かって、
気軽な感じで、今欲しいものを答えるんだよね。
実は、これがウエストジェット航空のサプライズ企画で、
飛行機に乗る前に答えたプレゼントが、
飛行機を降りた後の、荷物用ターンテーブルから
次々と出てくるんだ!
「大きな画面の薄型テレビ」というような高価なものまで!
人々はもう、喜んで盛り上がって拍手喝さい。
その場は最高にハッピーな雰囲気になるんだけど・・・。
その動画でもっとも印象的だったのは、
プレゼントをもらって喜んでいる人たちの姿以上に、
プレゼントを「用意する」側である、航空会社の社員たちの姿だったんだ。
何しろ社員たちは、
飛行機が飛んでいる間、という限られた時間の中で、
すべての乗客のリクエストどおりのプレゼントを
完璧に用意しなくちゃならない。
おもちゃ屋さんの店内を駆け回ったり、
カラフルな包装紙のプレゼントの箱を抱えて
空港に戻ってくる社員たちの、なんと楽しそうなこと!
「きっとすごく驚いて、喜んでくれるに違いない!」
と、確信しながら忙しく大騒ぎしながら駆け回るのって、
本当に、最高に楽しそうだった。
まさに、人に親切にできる幸せ・・・というものを
ひしひしと感じる動画だったよ。
最後の「今、ここ」にいることについては、
第8号で取り上げたね。
心理学者のキリングワース氏とギルバート氏の調査によると、
人は、日中の3割は、物思いに耽っているんだって。
つまり「うわの空」。
特に今の時代は、スマートフォンの影響が大きいよね。
ダン博士の調査によると、
スマートフォンをチェックするのを、
1日3回だけに限って1週間過ごしてもらった被験者は、
1日に何度もスマートフォンを見る一般的な人よりも
ストレスが少なくなった、とのこと。
「今、ここ」を生きようとするのに最大の難敵は、
いまや私たちが手放すことのできないスマートフォンなのかもしれないね。
目の前のことに集中する。
自分が今、していることに集中して、
その感覚を味わう。
日常生活の中で、それを意識するようにしよう。
スポーツや趣味のことをしているときも、
自然と「今、ここ」に集中できるから、いいよね。
このあいだ、初めてボルダリングに挑戦したんだけど
集中しないと落ちちゃうから!
とてもストレス発散になったよ。
幸せでいるための3つのレシピ。
①人との交わり
②親切
③「今、ここ」にいること
ぜひ、心に留めておいてね。
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※このコラムは主にポジティブ心理学に基づき、
幸せでいるためのエビデンスに基づく方法を紹介しています。
※ポジティブ心理学の分野では「Well-being」を高める方法が数多く研究されています。
※このコラムの参考文献 :
「幸せ」について知っておきたい5つのこと
NHK「幸福学」白熱教室制作班