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映画「水曜日が消えた」 について、いろいろ考えてみた。

 ネタバレ全開の記事なので、映画未見の方はご注意あれ。

 映画、ノベライズ、パンフレット、いずれもがっつり観て読んではいるけど、勘違いあったらごめんなさい。(ところでパンフ裏表紙はネタバレだよなあ、予告で終盤の対決シーンまで見せてるから良いという判断なんだろうけど。コロナ禍で映画館閉まってたから予告編観られず、いきなり本編だった自分は、思う存分驚けて幸せ者でした。)

 登場人物のセリフで何でもかんでも説明しようとする映画(というか脚本)がキライで、とは云えこの映画はいくらなんでも説明し無さすぎじゃないかと、初見の時は思ったんですよ。でもそんなことなかった。説明せずとも手がかりはちゃんと観客に与えてる。吉野耕平監督すごい(脚本も担当)。映像表現も洗練されていて良かったなあ。お陰でここ十日ほど、この作品のこと考えて頭がぐるんぐるんしているので、少しアウトプットしてバランス取ります(笑)。

 以下、つらつらと箇条書きで。(もう一度云う、映画も、ノベライズについても、ネタバレ全開ですからねー!)

・サイドミラーに映る鳥の数 ーー 七羽に分かれるところ、徐々に数が減っていくところ、いずれも鳥肌モノ。ちゃんと五羽に減ってるんだよね、鯵の魚拓が小さいあたり。防犯ブザーの音も聞こえて(そして救急車に轢かれて消える)いたことは、二回目観て確認できた。

・付箋 ーー 筆跡が七人バラバラだったのが、エンドロール(手術後?)では七人同じに。土曜のゲームをモニターしてる金曜の筆跡は、本当はエンドロールと同じではないといけなかったのでは‥。術後に付箋の数が格段に増えてて、各曜日のコミュニケーションが増したことがよく分かる。でもスクリーンでは内容まで確認できなくて、残念(笑)。円盤の特典にならないか?(需要あるか?)

・車の運転、大丈夫なの? 教習所行ったの日曜だけだよね?(笑) 字が同じになったように、技術も以前より共有できるようになったんだろうか。

・一ノ瀬とはどうなったの?ーー もあるけど、瑞野さんと水曜がどうなったのかも気になる(笑)。手術受けて、その後日曜が免許取って‥なので、エンドロール部分、本編からはかなり時間の経過があるのだけれど。

・主人公(達)がどうやって生計を立てているか ーー ノベライズには「病院からの補助金と父の遺産で十分に成り立つ」とあるが、映画では特に明らかにされない。強いて云えば、新木の「管理」という言葉から読み取れるか? それとも病院からの書面に記述があったのかな。

・「一ノ瀬のせいじゃない、全然」ーー と月曜から云われても動揺しないのは、渡した防犯ブザーと事故との関連を一ノ瀬は知っていて(もしくは自分で思い込んでいて)罪悪感持ってたということか。石橋菜津美の演技が絶妙で感服。好きと友達(を突き抜けもはや保護者)と罪悪感が全部同居してる。主人公につれなくされて「えー‥」と一瞬寂しそうになるとこ、「夜中っぽいことしようよ」でドキッとさせつつ、ホラー映画三昧の後の朝帰り、かと思えば瑞野との仲をいきなりお膳立てしようとする。見ていて切なかった。(なので、一ノ瀬が思いっ切り報われるノベライズ版のラスト、あれはあれで好き)
 これはTwitter で見つけたのだが、月曜に金曜のマグカップ渡されて「これ、木曜のだけど」と一ノ瀬は云ってるんだよね。これは、家に着いてからのやり取りであれっと思い→ カップの並び順も違う→ わざとカップの持ち主を間違えて云ってみたけど相手は気づかない→ ミロの味もいつもより濃すぎる→ 一人になった=火曜も消えてしまった→ 涙声に→ 相手が火曜じゃないので、自分の気持ちをストレートに話せた、というのが私なりの解釈。
 豚の絵描いた人(木曜)をオリジナルと思えなかったということは、会った感じがよほど違ったんだろうな。

・同じセリフが二度出てくる箇所があって、でも意味合いがかなり違っていて。「意外と仲いいんだよ、僕たち」とか、安藤先生の「大きくなったなあ」とか。安藤先生には月曜が火曜のフリをしていてもお見通しだったと。あ、「何だよ、これ」もあったな(日曜のエビと、水曜の切り紙)、これも後者の重みがハンパない。

・フィルタリング、忘れたいことだから忘れている、なぜ七つに別れたかの解釈、手術を受けてどうなるか、など、ノベライズ読んでなるほどと思った。映画では説明ないんだよね、すごいというか潔いというか。

・録画の画像、病院のは廊下の部分、後半出てくる居間や寝室は月曜が仕掛けた、でいいんだよね。初見の時はそこまで気づけなかった。

・クラシックの使い方が上手い。特にペールギュントの「朝」、これからこの曲耳にするたび、図書館の円形ドームをぐるっと見渡しキラキラ高揚する、水曜日の火曜を思い出す、多分この先ずっと(笑)。

・ベッドの人形はどうやって運んできたの、月曜?
 「被害者一同、かな」に、ぞくり。

・土曜、クドカンに似てない?

・さて、全編出ずっぱりの中村倫也ですよ。
 一人七役は確かにそうなんだけど、そこを期待して観ると肩透かしかも。圧巻は火曜 vs 月曜と、火曜のフリする月曜(でも安藤先生にも一ノ瀬にも通じない)。自分はこういう展開になると全く知らずに観たので、あのスマホのやり取りは先が読めなくて臨場感満点、ゾクゾクさせられた。火曜が消えてしまったことには、一ノ瀬の「誰?」で初めて気づいた。で、もう一回観直して、その演技のすごさに改めて絶句。
 個人的に好きなのは、瑞野とのデート失敗の後、日を改めて図書館で話すシーン。自分の想いより消えた水曜を大事にしようとする優しさ、笑顔で語りかけながらも瞳が滲んでくる表情。何度観ても良かった。

・一ノ瀬に図書館で気づかれ、瑞野とデートする運びとなり、どうしようどうしようとはしゃぐ火曜。精神年齢中学生(事故から二年四ヶ月しか経っていない)をイメージしたものと思うが、直前に女装シーンがあったせいか、オネエ言葉に聞こえてしまったのが、惜しい(笑)。

・主人公が倒れるところはスローモーションで、後ろの物が落ちるのは普通の速度とか、いろいろ凝った映像も。斜めって転びそうになるところは生演技? だとしたらなかなかの身体能力だ。

‥などなど、思いついたまま書き並べたので、オチもまとめもありませんが、もしコメントありましたら、Twitter ではなく note のコメント欄でお願いします。ネタバレなので。

 蛇足ですが、自分は前髪のある中村倫也がお気に入りのようです(笑)。「屍人荘の殺人」観返してみようかな。ナポリタン食べたい。

‥‥ayalist の ID で最初の記事がこれってどうよ(汗)。

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