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【ショートエッセイ】「いつでもいい」の魔法
「いつでもいい」の魔法
ポストコロナに入り、様々なイベントや会合が元の日常に戻る風情で催されるようになってきた。それに伴い、仲間やグループの日程を調整する機会も増えた。
ある時、趣味の食事会開催で皆の都合がなかなか合わずに困っていたところ、一番忙しそうなメンバーのひとりが、「やっぱり来週末までの間ならいつでもいい!」と向日葵のような笑顔マークと共にグループにメッセージをくれた。とても爽やかで感激した。その後全員がもっと歩み寄り、程なく無事日時と場所が決まった。
「いつでもいい」と言ってくれるのは、決してその間完全に暇だからというわけではない。「食事会の皆と会うことが何より大切」だというメッセージに他ならないのだと気が付いた。何か用事が入っていたらそちらをずらせばいい、他の予定が入りそうになったらその期間を避ければいい、皆に会いたいからそのためなら予定を確保する、という友愛の表現なのである。
それまで、ただなんとなく「適当な相槌」程度に考えていた「いつでもいい」が、「大事にされている」という愛情を感じる素敵なフレーズに大変身し、嬉しさで胸をいっぱいにしてくれた。相手をリスペクトする気持ちと優しさは、時に何気ない言葉にも魔法をかけてしまう。
次に大切な人と何かの約束をする機会があったら、心を込めて「いつでもいい」と笑顔で答えられるキャパシティと余裕を持っていたい、と感じさせられた。