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8. 年の瀬

年の瀬

冬の始まりが
薄目を開けてさらさら近付く
低い夜の向こうから
年の瀬は 
加速する電車で騒がしく
めくれるようにやってくる
人々は雑然と同じ方を向いて座り
似たようなそれぞれの別世界に
夢中でうつむく

誰もが乗りあい 
吸い込まれて行く
いつまでたっても終わらない卒業試験のように
時間内に回答し尽くさなければと焦る
未受講の内容ばかりが多く
わかることまで間違えている気がしてならない
ゆっくり見直す暇がない
慌てて提出してしまった答案用紙は
もう訂正できない
点数も正解もわからず 
試験の日々が続くようだ 
毎日の試験範囲は不明 
予習不可
結果は

いつだったか大人になってから
時はどんどん早くなり
上の空で心を嘗めていく
いつだったか私は
とことん楽しむのが上手かった

眩しい夜の人混みで
侘しさに呼び止められる

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