9. 鉛筆削り
鉛筆削り
かわいいからもったいなくて
使わずにとっておいた緑の小さな鉛筆削り
長方形の角が食パンみたいにまあるくて
真ん中で斜めに走る刃が忍者を思わせる
同僚が普通の日にただプレゼントしてくれた
たまに引き出しから取り出しては眺めるだけの
ささやかな宝物
でも鉛筆削りは使うもの
しまっておいても仕方がない
大事に使う方が鉛筆削りも喜ぶだろうと思って使ってみたら
あまり良く削れなかった
裏切られた気分
鉛筆削りは何も悪いことをしていない
わたしの勝手な想像と期待が
自分で自分をがっかりさせる
鉛筆削りさん
ごめんなさい
それから
その鉛筆削りは
「鉛筆削り」という名の
マスコットになった
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