Je t'aime moi non plus
3年くらい前に大事な友人を病気で失い、それから人が亡くなったときに悲しむのをやめた。が、会ったことのない有名人で尊敬やシンパシーを強く感じている人を失うというのは、またちょっと独特の感情がある。どういう言葉を以ってしてもフィットしない喪失感みたいな。坂本龍一さんに続き、ジェーン・バーキンさんの死はその独特な感情を生み、ちょっと引きずっています。
Paris Matchという、まあゴシップ誌みたいな雑誌にもジェーン・バーキンの記事はたくさん出ていて、その中にエルメスの「バーキン」が誕生した秘話が載ってました。ご存じの方も多いだろうけど、ある日のロンドンーパリ便、ジェーンの隣の席にエルメス5代目会長ジャン=ルイ・デュマがいて、彼女の「若い母親に使いやすいバッグはないのか」という声にすぐ応え、長方形で、柔軟で広々とした、洗練されたウェッジとサドルステッチを備えたトートバッグをデザイン、1984年に発売された、と書いてました。
ただ、クロコ(ワニ皮)の製作過程で恐ろしいほどの苦痛を与えている映像を見てショックを受け、制作環境が改善されない限りバーキンの名前を使わないで欲しいと訴えたこともあったそうです。(のちのこの工場はエルメスとは取引をしてないことがわかった)
この記事の最後にエルメスの公式ページにこの訃報についてのリリースが載っていると書かれていたので、こんなハイブランドのページを見ることはないのですが見に行ってみました。
美しいレターヘッドのPDFに素敵な言葉が書かれてましたので記念にダウンロードして保存しました。
パリ、2023年7月16日
ジェーン・バーキンの逝去を知り、深く悲しんでいます。私たちの思いは、彼女の娘たち、孫たち、そして彼女の愛する人たちとともにあります。私たちは親しい友人と長年の伴侶を失いました。 共通の感性の上に築かれた友情によって、私たちは互いを知り、ジェーン・バーキンの柔らかなエレガンスから、彼女自身が芸術家であり、献身的で、オープンマインドで、世界と他者に対する自然な好奇心をもっていることを発見し、高く評価した。 私たちはジェーン・バーキンの才能に敬意を表し、そして何よりも彼女の偉大な人間性に敬意を表し、彼女の家族とともに哀悼の意を表する。(DeepLによる翻訳です)