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soar元理事・元LITALICOの鈴木氏から受けた性加害について、和解が成立しました。

soar元理事でLITALICO発達ナビの元編集長である鈴木氏から受けた性加害について、2022年3月に和解が成立しました。告発した2021年3月から1年以上が経ってしまいましたが、多くの人に気にかけていただき、寄付なども頂いて誠にありがとうございました。治療費や弁護士代をはじめ、この件で動くために必要な費用として有り難く受け取らせていただきます。今後の活動で還元していきたいと思っています。

すでに記事が出ているものもありますが、鈴木氏とのやり取り、そして後から知ったことも含めて私が把握している事実、一連の出来事について、そして和解の内容についてお伝えしたいと思います。

■自分の被害について


NPO法人soarが当時の理事であった鈴木氏の解任を公表しました。その発表を受けて、Twitterで鈴木さんから性被害に遭い、その後本人や弁護士から連絡がありやり取りをしていることを公表しました。ツリーになっています。

被害について「身体を触られた」と表現しましたが、直接肌に触る形で脚や身体を触られました。下着の中にまでは手を入れられることはありませんでした。あまり具体的に表現したくなくて「身体を触られた」としか書きませんでした。しかし、それを「肩をたたいた」「手を握られてセクハラって言う?」「本当に軽く触られた程度」のように矮小化した上で「それは性暴力ではない」と非難して加害者を庇う二次加害があったそうなので補足します。同意のない性的行為は性暴力です。また、「手を握る」等であっても、仕事の関係のある相手に同意なく必要もなく身体を触ることもセクハラになり得ます。

・公表前のやり取り
被害に遭ったあとに共通の友人に相談したら、友人が間に入ろうとしてくれたようで、鈴木氏から連絡があり、慰謝料の提示がありました。心の余裕がなくて返信をしないでいたら、その後弁護士から謝罪をしたいという連絡がありました。どう対応するか悩んでいたときに友人から「今日鈴木氏の解任がsoarから公表される」と聞き、鈴木氏本人に直接連絡して、自分も被害を公表することを確認し公表しました。

■鈴木氏からの被害について

・被害者は5人、soarの調査の対象になった被害者は3人。
・被害について触れられたくない、処罰も望んでいないという方もいた。
鈴木氏からはそれぞれのタイミングで謝罪や慰謝料の支払いなどを行っていると聞いたが、「ホテルでの性行為は合意だった」として慰謝料の支払いなどがされていない方もいて、今も弁護士を通じてやり取りが続いている
・soarの理事解任公表後、向坂くじらさんがsoarの相談窓口へつながり、被害を公表。

■他の被害者とのやり取り


・被害の告発後、被害者であるAさんとBさんから連絡がありました。そこで自分以前にも被害者の事情や他の方とのやり取りの最中に加害を行っていたことを知りました。(その後他の加害者からの被害の声も集まってきました)その後被害を公表した向坂くじらさんからも連絡をいただき、気にかけていただきました。

■公表後の加害者とやり取り


●初回の面談


初回の面談は告発後約3週間後、4月14日に行いました。
 その内容については話して構わないとのことだったので当時ツイートしました。


そこで、soarの理事複数名は告発以前から私の被害を知り、鈴木氏にヒアリングしていたが、調査対象外としたということがわかりました。

面談では、私が性暴力被害に以前遭ったことがあると知らなかったと主張するために、私の活動を詳しく知らなかったことを鈴木氏に長々と強調され続け、侮辱されている気分になりました。身体を触る前も私の活動の話を振ってきていたので無理があると思いましたが、そのときは根本的に「同意なく他人の身体を触ってはいけない」という認識が薄いように感じました。「私の経験の話にすり替えないでください」と伝えました。「性暴力被害に遭った人だと知っていたらなお悪い」ということでしかありません。

鈴木氏だけでなくその弁護士も被害の話を「被害者の感じ方の問題」に押し込める話し方で問題を理解していないと感じました。

●質問状を送る


2021年9月3日、面談を踏まえて質問と自分が鈴木氏に求めることを記載した書面を送りました。面談直前の9月26日に質問の回答がありました。

この質問文で、被害者の数や鈴木氏とsoarとのやり取りや一連の件についての鈴木氏の認識について知りました。可能な範囲で概要を記載します。

[soarとのやり取りについてどういう部分に不信感を抱いたのか]

・soarによる解任公表の発表方法とその内容が、事前の協議・合意内容に基づいたものではなく、慎重な対応を求める中でこちらとしては一方的に強行されたものであったこと、そのことによって精神的に追い詰められ取り乱してしまっていたことから、同日にブログを書いて発信するという行為に至った。弁護士からもブログで見解を公表することを勧められていた。今は保身であり判断を誤ったと反省している。

・現時点ではsoarに対する訴訟は行っていない、やり取りが止まっている状態。二次被害を防ぐため訴訟はできる限り避けたい。

・自分が言及する立場ではないが、関わっていた周辺団体での他の被害は聞いていない。非常勤だったため、ハラスメントやルッキズム容認も把握していない。

[治療や今後の再発防止について]

・現在自助グループ、通院治療、カウンセリングなどの治療を行っている。

・メディアで記名記事の執筆・公開をする予定はない。今後の仕事は構成・編集・研究活動・論文執筆など名前が表に出ない関わり方をしていく予定。

・中長期的に、また署名での記事を発信する場合は自身のオピニオンや視点を強く出すような記名企画を少なくともしばらくは行わない。イベント・取材・対談等で自身の写真・ビジュアルが露出する企画を行わない。被害者が所属するコミュニティ・界隈と離れる、Twitterでの発信を行わずアカウントを削除するなど、ゾーニングの工夫をする。PTSDリスクについて、専門医・支援団体・弁護士等に相談をした上で慎重に文
章や公開方法を検討する。

・面談で話して改めて傷つけてしまったことを認識し反省を深めた。

●2回めの面談 弁護士からの二次加害

この面談で合意内容の概要を決めました。
「自分としては鈴木さんがこれ以上責められることを望んでいるわけではないし、更生して今までとは違う形で社会復帰してほしいと思っている」と伝えて、「ありがとうございます」と言われました。この面談でのリアクションや身振りをみたときに鈴木氏に「自分の話したことや気持ちが伝わっているのではないか」と感じました。

しかし、この面談では、私は鈴木氏よりも弁護士の発言に傷つけられました。
鈴木氏のsoarへの対応によって、最初に慰謝料の提示があったとき(解任公表前)よりもさらに精神的負担が増えていることを主張した際に弁護士から以下の主張をされました。

”soarにも鈴木にも慰謝料を請求するつもりなんじゃないか。それなら慰謝料を減額する必要がある。カンパや寄付をもらったならその分も減額が必要”

できる限り穏便に済ませようと話していた中で、私としては実際に増額を強く求める気はまったくなく、ことの重さを示したい意図でしかなかったのに、私がお金目当てのような邪推をされました。

Bさんの被害に対して、「不法行為ではない」と主張していることに対して、「少なくとも人前で身体を触って謝罪にまでなっていることは被害として認められるのでは?」と聞いたところ、「人目を気にして本当は嫌ではなかったのに被害を受けたと言った可能性がある」と弁護士が二次加害発言をしたことにもショックを受けましたし、自分が鈴木氏にsoarを訴えることを勧めたとはっきり言われたのにも驚きました。

もちろん弁護士は依頼人の権利を守る必要があります。しかし、弁護士が被害者に二次加害をしても問題を問えないのだろうかと考えてしまいました。加害者本人の問題もありますが、周囲の問題も大きいのではないかと改めて思いました。
 
soarの小野田弁護士のやり取りに関しては、どこまでが団体の意向でどこまでが弁護士のやり方なのかはわかりませんが、少なくとも弁護士が入ることで二次加害が起き、かえってこじれてしまっている印象があります。

また、こちらも弁護士の都合なのか、本人の都合なのかはわかりませんが、鈴木氏とのやり取りは合意に至るまで他の返答が1ヶ月以上空くことが多く、あまりに時間がかかりすぎたと感じています。

■私や被害者への二次加害について

公にされていない被害の内容に対してSNS上で告発をすることに一種の暴力性があるとは自覚していました。自分はSNS上での告発に対しては「しなくて済むならしないほうがいい」と思っています。10年以上前から性被害の当事者として活動してきたことで、性被害に遭ったと公開することのリスクを身をもって知っているからです。

ただ、この件については性暴力が起きたことを知られないままでは、また同じようなことが起きるのではないかと思い告発をしました。こういう事態になる前にやり取りができていればこのような事態にはならなかったかもしれません。

すでに私はすでに名前を出して活動をしている関係上、自分が矢面に立って責任を引き受けようと思いました。しかし予測はしていたとはいえ、二次加害は酷いものでした。被害自体でも体調を崩しましたが、二次加害が続いたことのほうが自分の生活や心身への負担が大きかったです。

加害行為があって解任されると公開されたあと、鈴木氏のFacebookには友人からのテンションの高い、楽しそうな応援のメッセージが並んでいました。Twitterでは鈴木氏へ寄付をしたという投稿も見かけました。「この経験を記事にして本を出せばいいよね」と話題にしていた人の話も複数聞いています。
また、訴え出た被害者たちについて、加害者と近しい人達から「彼は詐欺師に嵌められた」などと言われているという話を聞きました。複数の被害者が出たことに対して、「彼の普段の女性に対する振る舞いを知っていて近づいたくせに被害者面するのはおかしい」と、被害者について不倫相手であると貶めてさらに金銭目当てで訴え出たかのように中傷されていたそうです。

私に関しては「軽く身体を触られただけで性暴力と言うのはおかしい」などと、詳細を書いていない自分の被害の内容について、勝手に「手を握ったり、肩をたたいただけで性暴力だと訴えたりする?」などと矮小化されていた話を聞きました。

自分が把握している限り、訴え出た被害者はそれぞれ「これ以上被害が広がってほしくない」と思って被害について話しています。あまりにも酷い侮辱だったので、この点は強く否定したいと思います。

※鈴木氏本人に確認をしましたが、鈴木氏は寄付を受け取っておらず、周囲の人の被害者への中傷などの二次加害発言について把握していない内容ばかりで、本人としてはそのような行動や発言は望んでいないとのことでした。被害者に対する二次加害発言を耳にしたときは訂正すると約束してもらいました。誰の話をどこまで信じるかということになりますが、自分としては周囲の人の対応がかえって彼の立場を悪くしているように感じます。

■最終的な合意内容

・加害者更生プログラムを受講し、再発防止につとめること
・今後も自身の行った性加害行為について反省し続け、被害者や関係者に対して個別に向き合い,それぞれの立場に想像力を働かせて今後の発言や行動をしていくこと 
・刑事処罰を求めない
・和解が成立したことについて、事前に鈴木氏に共有した上で公開する(確認はするが修正に応じる義務はない)
・慰謝料の支払い

■当初求めていたけれど合意に至らなかったこと

・面談を通じて鈴木氏が考えたことを文章に書いて公開すること
 当初、鈴木氏に「面談して私と話したことを含めきちんと被害に向き合った上で考えたことを文章に書いてほしい」と求めました。これは鈴木さんのHPでの発信について、考えが変わったのであれば、二次加害がこれ以上起きないようにきちんとそれを公にしてほしいという意図でした。しかし、それは他の被害者との取り決めで難しいし、「自分がドキュメントを公開することは二次加害になってしまう」ということでした。自分も他の被害者の方の負担になることは求められないと思い諦めました。

■合意後考えていること

鈴木氏がブログを再開し、イベント等を開催していることを知りました。結局のところ本人だとわかるそのままの名義で文章を書き、中心になってイベントを開くようなことは続けているのだなと思いました。文章を公開することは断られましたが、自身が代表である会社のブログで「世間に袋たたきにされた」等書いているのは二次加害にあたらないのかとも思いました。

被害に遭ってから体調を崩し、またその後の対応に追われたことで、私は思うように文章を書けずに苦しんでいました。文章を書きたいと思っても休みの日もずっと追われている気持ちで余裕を持てず、自分の個人的な文章もほとんど書けず、ライターの仕事も満足に請けられない状況でした。一方で加害者はこんなに気軽に文章を書けて発信できてしまうんだと思い複雑な気持ちになっています。

※鈴木氏の立場としては、イベントの規模は5,6人程度のものであり、ブログのアクセスも2桁程度で広く発信する意図はない、生活に必要な範囲でできる限り約束を守った形で運用している、とのことでした。その上でやはり複雑な気持ちは変わらないのでこの文は残しておきます。

最初に被害にあった時から2年以上が経っていて、きっと多くの人が「終わったこと」だと思っていると思います。しかし、性暴力は取り扱われないまま抱え続けなければいけなかったり、告発をしたり裁判をしたりしても、そう簡単に終わらないことだというのは今回の件で改めて実感しました。

今回の件では、鈴木氏がむやみに叩かれることや関係のない部分で中傷されることは私は望んでいません。今まで評価されていたような良い部分も今回問題になった部分も、出方が違うだけで同時にあるのだと思います。加害者も社会復帰する必要があり、人権があると思うだけに、複雑な気持ちを持ちながらも、自分でもどう捉えていいかわからない気持ちでいます。

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