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イタリア映画祭 2024 人生の最初の日 (原題:Il primo giorno della mia vita)
当初、こちらに書いたように劇場ではなくオンラインで視聴する予定だった作品です。ちょっと予定が変更になって劇場で観ました。
トニ・セルヴィッロ、ヴァレリオ・マスタンドレア、マルゲリータ・ブイという名優ぞろい。マスタンドレアとブイは今回の映画祭で別の作品にも出ていますね。
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一言で言うと、イタリア映画祭でここまで観た作品の中で一番良かったです。オンライン視聴じゃなくて劇場で観ることにして良かった!
コメディではないです。でも笑えるところもあり、味わい深く面白い作品です。ひとりひとりが丁寧に描かれていて(それが Volare では足りなかったのですよ)、ラストに向けてのそれぞれの心境がすんなりと腹落ちしました。
監督のトークも劇場で聞けたのですが、監督自身が「テーマとしてはタブーを扱った」とのこと。
この先はネタバレを含みますが、書かないと感想を書けないので。
トニ・セルヴィッロの役は、神様のお手伝い役とでも言うのか、はっきりはしませんが、ある日、その日にローマ市内で自殺をした4人を車で順にピックアップして、あるホテルに連れていきます。
そこから1週間、「猶予の期間」を与えられます。自殺に至った原因や環境や過去を振り返ったりしていきます。
神様のお手伝い役は他にもいるらしく、途中で女性で同じ役割の人とセルヴィッロが会話をするシーンもあります。
1週間の猶予期間が終わるとき、何が起きるのか。それは作品を観ていただきたいです。
この状況設定が秀逸すぎて、あっという間に作品に入り込んで没頭して鑑賞しました。
ラストのそのあとに含みはいろいろありますが、それも含めてとても面白い作品でした。「おとなの事情」(原題:Perfetti sconosciuti) と言い、この作品と言い、とても気に入ったので、この監督の作品は今後も注目していきます。
鑑賞後の監督のトークで、この作品はもともと小説(舞台はニューヨーク)として書いていてそれを映画にしたとのことでした。小説のきっかけは、アメリカサンフランシスコにあるゴールデンゲートブリッジの固定カメラ映像をもとにしたドキュメンタリー映像を見たことだそうです。
この橋は自殺の名所でもあるのですが、自殺を試みて生き延びた人にインタビューをしていたそう。
身を投げてから水面に着くまでに平均して7秒かかるそうです。生き延びた人のインタビューによると、この7秒間に色々考えるとのこと(走馬灯のように…ってやつでしょうか)。もしかしたら、こうできたかも?みたいなことも考える7秒間。
この7秒間を7日間に拡張してみた、ということです。
監督の思いとしては、すべての人を助けることはできなくても、こうやってとりあげることで、自殺を思う人たちに、助けがあることがあるよ、違う考え方をする可能性もあるよ、と考える機会を提供したいということのようです。
なぜ "Il primo giorno della mia vita" (人生最初の日)なのか、この意味もずっと考えています。
イタリア語版の小説ありますね。どうしようかな。読もうかな…。