3月議会③【自治会を応援する条例の制定について】

【清水あやこの質問】
近年、便利な時代となり、非接触、キャッシュレス、リモート、無人販売、様々な技術が進んできています。今後益々、便利になる時代の中で、人のぬくもりを感じる機会は減少するため、人と人がどのように繋がり暮らしを楽しむか、地域で繋がるか、心を通わせるか、そうした心の健康に繋がる、人間としての政策を、今こそ進めていく必要があります。

人が幸福を感じる条件として、自分の役割が社会にあるということがあげられます。自治会は、まさにその機会を持つことができます。

近年、自治会への加入が減少する中、役員の負担軽減について、工夫しながら、より多くの世代が参加できる仕組みづくりを考え、加入の促進に取り組む自治会も多いと伺いますが、行政の協力と自治会の努力の両輪で進めていかなくてはなりません。

条例を制定することにより、地域住民の役割、自治会等の役割、市の責務、事業者の役割、そうしたことが整理され、市が根拠を持って加入促進を進めることができると考えられます。

地域コミュニティ、地域防災・防犯、社会参加が重要と考えられる今こそ、自治会を応援する条例の制定ができないか伺います。

【市長の答弁】
自治会を応援する条例につきましては、自治会の重要性を再認識し、市民や自治会、事業者、市などが連携・協働して、市民の自治会への加入や、自治会活動への参加を促進する目的で、近隣においても制定している自治体があることは承知しております。
一方で、自治会は市民が自主的に加入し、地域活動に参加することが、強固な地域コミュニティの形成に不可欠であることから、市は自治会を支援する役割に徹しているところであり、条例制定の必要性や条例の内容を検討するに当たっては、市民や自治会の意見を充分に尊重し、反映する必要があると考えております。
現在のところ、条例を制定する予定はございませんが、引き続き、自治会の意見をお聞きするとともに、その取組を支援することに注力してまいりますので、御理解を賜りますようお願いいたします。


【清水あやこの再質問】
制定している自治体にお話を伺いましたが、どの自治体も、市が自治会や自治会連合会の応援をしたいから制定しているということが大事な視点としてまずあります。

根拠を持って自治会等を支援するためにも、それぞれの役割が明確になるためにも、自治会等も市も、互いに条例の必要性を感じ、制定に至ったと伺っています。その気持ちの繋がりが、改めて頑張ろうという意欲に繋がっていることがわかりました。

平成29年「地域の絆・自治会あり方研究会」が提出した「自治会活性化と加入促進に向けた提言」にも「武蔵村山市でも、条例を制定し、自治会について明文化することで、市民意識の向上につながるのではないか。」というご意見が出ていたことが記されています。今回また、自治会員から出ているご意見であります。

自治会等が条例の制定を要望しても、市が制定しないと決めたら制定しないという場合があるのでしょうか。

(市の答弁)
多数の自治会や自治会連合会から、条例の制定が要望された場合には、条例化する目的や、目的を達成させるための必要事項について、市内の全自治会を対象にお話し、その意見を踏まえた上で、判断する必要があると考えます。
市長から御答弁させていただきましたが、「現在のところ」であり、何があっても制定しないということではございません。
なお、加入促進を目的とする条例を制定する場合には、御質問にありましたように、地域住民・自治会・事業者・市それぞれの役割を明確に定めることとなり、それは、各々の努力義務規定を定めることと同義であることから、自治会をはじめ、市民の意見を十分に反映する必要があると考えております。

(清水あやこ)
他の自治体の「自治会を応援する条例」を見ますと、制定の理由として、少子高齢化・核家族化という現状、自治会への加入世帯の減少・コミュニティ意識の希薄という社会的な問題点がまずあげられ、地震や豪雨等の自然災害発生時には地域の普段からの繋がりが大事であること、自治会活動を通じ、地域住民がまちづくりへ参加をすることにより、住民主体の地域づくりに繋がること、それは市の発展にも繋がることが記載されています。

条例の内容は、
「目的」として、住民、自治会等、事業者、市の役割等を明らかにすることと、安全で住み良い地域社会の形成。

次に、「用語の定義」として、市民とは、市内に居所(きょしょ)を有する者であることや、自治会等とは、自治会及び自治会連合会である説明。

「基本理念」として、地域において自治会等は大切な役割を担っていること、市民の価値観と自主性が尊重されること、活発な地域活動が行われること。

「市民の役割」として、地域の一員であることを認識し、互いに支え合い、安心して暮らすために自治会に加入するよう努めること。地域コミュニティ活性化の推進に努めること。

「自治会等の役割」として、市民の自発的な加入及び主体的な参加の促進、自治会等の活動に関する情報の提供、運営の透明性の向上、地域を担う人材の育成、関係機関との連携。

「事業者の役割」として、自治会活動への積極的な参加、「住宅関連事業者」の役割は、住宅に入居しようとする者に、地域の自治会等に関する情報の提供をするよう努めること。

「市の役割」として、市民の自発的な自治会加入促進のための支援、自治会等への支援、相談、情報提供、公報及び啓発、連携。自治会への協力依頼は、負担が過重にならないよう配慮すること。

今述べたような内容で他のいくつもの自治体が制定している条例なので、あとは武蔵村山市に該当しないものがあれば入れず、加えたいものは盛り込むことで出来ますので、難しい議論が必要ということではありませんので、自治会等のご意見をよく伺い、話し合いの機会を持っていただければと思います。

自治会のことを市に伺いに行くと「それは自治会が自発的にやることです」とか「市はそれは支援します」とか、市の役割や自治会の役割がわからないところがあり、明文化することで、それぞれが役割を認識できると思います。

東京都では、平成28年4月、品川区で「品川区町会および自治会の活動活性化の推進に関する条例」、平成29年、渋谷区で「新たな地域活性化のための条例」、平成31年3月立川市で「自治会等を応援する条例」、 平成31年4月には、八王子市で「八王子市町会・自治会の活動活性化の推進に関する条例」等が施行されています。

平成28年「品川区町会および自治会の活動活性化の推進に関する条例」を施行した品川区のアンケートによりますと、条例制定以後、区の積極的支援を感じている団体は 72.3%と高くなっており、条例制定により行政が自治会のことを考えていると感じていることが伺えます。

平成29年3月に「地域の絆・自治会あり方研究会」が「自治会活性化と加入促進に向けた提言」を市に提出していますが、同じように、令和元年8月に「自治会加入促進プロジェクト・チーム」から「自治会活性化と加入促進に向けた提言」を受けた千葉県市川市は、令和2年4月「市川市自治会等を応援する条例」を制定しています。

武蔵村山市も提言によるデータがあり、自治会等からご意見を聴取できていますし、課題はそれほど近年変わってはいないと思いますので、「自治会活性化と加入促進に向けた提言」を資料の1つとして活用し、自治会等のご意見やパブリックコメントをいただきご意見を募ることをすればいいのではと思います。

自治会等の意見の反映と市の支援について確認したいため伺いますが、先程述べました「自治会活性化と加入促進に向けた提言」についての中で「行政へ望むこと」として、
①活動場所の提供
②地域を担う人材の育成
③自治会の負担軽減
④自治会の財源確保への支援

この4つの要望が市にありましたが、①について、公共施設の優先的な貸し出し、空き家を活用できるようにして欲しいという要望は、その後どのようになりましたか。

(市の答弁)
 他の利用者との公平性が確保できないことから、原則、公共施設の優先的な貸出行っていません。ただし、自治会の周年記念事業において、来賓を招待するなどの理由がある場合には、協働推進課が施設管理者に対して手続きし、施設利用することができるよう支援しております。
空き家の活用につきましては、自らが、集会所の建設や賃貸を行っている自治会との公平性の観点から、実現には至っておりません。

(清水あやこ)
大きな行事の際には、柔軟に対応していただけるということでわかりました。
空き家の活用については、広島市は町内会・自治会又は社会福祉協議会が空き家等を活動・交流拠点とした場合、無償で借りることができ、所有者も実態調査の翌年分の固定資産税等が減免になるなど、双方にとって助かる取り組みもありますので、空き家の活用は公平性を保ちながらもいずれは形になっていくといいように感じます。
②の、市や自治会連合会などで人材育成講座を開くことを要望されていましたが、開催されたのでしょうか。

(市の答弁)
自治会連合会におきまして、東京都の「地域の底力発展事業助成」を活用した取組を検討し、令和元年度に、気象予報士の天達武史氏による講演を実施いたしました。気象・災害などをテーマとしたお話しでは、川の氾濫によって流された人々が地域住民の助けによって救出された話などもあり、地域の絆の大切さについて再認識する機会となりました。
 その後は、コロナ禍の影響により、講座の開催には至っておりませんが、引き続き、自治会連合会の皆様と御相談してまいりたいと考えております。

(清水あやこ)
とても良い取り組みだと感じます。ありがとうございます。③の負担軽減はされたとは思いますが、④の自治会に委託できる行政事務を積極的に委託することはしているのでしょうか。

(市の答弁)
自治会に委託できる行政事務につきましては、自治会の自己財源確保には貢献すると思われますが、役員の担い手不足や、その負担感から会員の退会につながることを懸念し、現在のところ実施しておりません。

(清水あやこ)
そのような状況であるということでわかりました。「自治会活性化と加入促進に向けた提言」を作成した頃と現在で、どのように変化があるかわからないので、改めてこの提言と今を照らし合わせていただくことも必要かと思いますので宜しくお願いします。

条例には、住宅関連事業者の役割が記載されているところも多くあります。宅地建物取引業協会、不動産協会加盟の各店舗で、住宅の販売や賃貸等の契約時に、自治会への加入促進のパンフレットの配布等を実施いただくようにするには、市と自治会連合会、宅地建物取引業協会、不動産協会と「市民の自治会への加入の促進に関する協定」の締結があると良いと思いますが、そうした取り組みはできないでしょうか。

(市の答弁)
協定の締結につきましては、その中で、各々の努力義務規定を定める必要がございます。それらの理解を深め、実現性を高めるために、先ずは、自治会の意向を確認した上で、十分に議論を重ねることが必要であると考えております。

(清水あやこ)
市と、自治会連合会、宅地建物取引業協会、不動産協会が協力し合える体制ができたなら心強いと感じますし、良い関係づくりができるように感じます。  
多くの自治体が協定を締結しているため、こちらも内容はわかるものなので、意向を確認してみていただければと思います。宜しくお願いします。

条例があることにより、市の役割についても明確になると思いますが、市の役割について教えてください。

(市の答弁)
条例を制定している自治体の事例でございますが、「市は、町会・自治会の活動活性化に関する施策の実施に当たっては、町会・自治会と意見交換を行い、その意見を考慮するものとする」、「市は、市民が自主的かつ自発的に自治会を組織することを促進するために必要な支援を行うよう努めるものとする」などの役割を明記してございます。

(清水あやこ)
そうしたことが、市民にも伝わる必要があるのではと感じます。
具体的な支援の事例を教えてください。

(市の答弁)
令和4年度は、自治会連合会の事務局として、自治会員カードの更なる普及に関する支援や、東京都の助成金制度を活用された自治会に対する申請手続きの支援、来年度以降の取組に向けて御相談のあった自治会への支援などを行ってまいりました。
また、「自治会連合会ニュース」を作成し、その中で、自治会が、東京都の助成金制度を活用して実施したスマホ教室やデジタル回覧といった取組を、自治会連合会員に紹介し、参考にしていただく予定でございます。これは、先進的な取組を行った身近な自治会の取組を知ることができる機会の創出や、自治会同士のネットワークの構築に寄与することを目的とてし、実施した支援でございます。
 今後も、自治会の自主性を重んじつつ、同様の支援を行ってまいりたいと考えております。

(清水あやこ)
様々な支援をしていただきありがとうございます。新しい取り組みは参考になると思います。

最後になりますが、条例を制定することにより、様々なことが整理されると思いますので、自治会等によくお話を伺っていただきたいと思います。

防災や防犯について、身近に頼れる方がいますと、安心感を持つことができますし、行事を共に楽しむ、共に笑い合うことが地域でできるのは素敵なことです。

皆が楽しそうだから自治会に入ってみようかなと思ったり、近所に顔見知りの人たちが増える安心であったり、そうした気持ちが加入のきっかけになると嬉しいです。

自治会活動は、心身の健康、防災・防犯、社会参加、様々なことに通ずるので、これからも自治会活動を応援していただきたいと思います。以上で質問を終わります。

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