人生を変えた、トロントの個性的なカフェたち
すっかりカフェと疎遠になっていた私が、ワーホリでカナダのトロントに住みはじめ、カフェ巡りを再開したのは2012年の春。
トロントは道を歩けば100mおきぐらいにカフェがある街で、StarbucksやTim Hortons、Second Cupなどチェーン店もあったけど、同時に日本では見たこともないユニークな個人カフェの宝庫でした。
多様性を尊重する街、トロント
とうのも、カナダはもともと移民の国で、とくにトロントはニューヨークのように多民族都市。通勤時間帯にストリートカーに乗れば、1車両に100カ国ぐらいの人がいるのではと思うほどでした。公用語は英語ながら、みんな母国語が違うからいろいろな国の言葉が聞こえたし、肌の色も、宗教も、文化も、ジェンダーも、とにかくさまざま。“誰も同じ人なんていない”という基礎の上に“多様性を尊重する”という、トロントのカルチャーにとても共感しました。
多人種、多文化の街ゆえに、カフェを経営するオーナーのバックグラウンドもさまざま。個人カフェはどこも、オーナーのルーツや趣味嗜好が強烈に反映されていて、トロントでのカフェ巡り=世界文化旅行のように感じられたのはそのせいだったのかなと思います。
BALZAC’s COFFEE
たとえば「BALZAC’s COFFEE」は、フランスの小説家でコーヒーラバーだった“Honoré de Balzac(オノレ・ド・バルザック)”から名がついたカフェ。ちなみにバルザックは小説のなかで「The café is the people’s parliament.」という言葉を残しているそう。ほんとそのとおり。
カフェの扉をくぐれば、いっきにフランスの気分だったし、よく見ると、飾られているフレンチアートの自由の女神はコーヒーを持っていて、こうゆう一捻りも面白い。市内に複数店舗があり、店舗ごとにローカルを意識したユニークなアートが飾られいて、もともとは女性経営者がひとりで立ち上げたカフェというのも好きになった理由だったと思う。
The Green Grind
CafeSnapでもときどき登場するこちらは「The Green Grind」。壁に大きく書かれた女の子の右下には「WISH」という言葉が書かれていて、私が大学生の時にボランティアしていた「Make-A-Wish」にも関連があるとのことだった。
カフェはときどき、“共感の交差点”になることがあって、このカフェに入ったときは、「わぁぁぁぁ……」という高揚感と、辻仁成 氏で言うところの「やっと会えたね」的な気持ちが湧いてきたのを覚えている(たとえがふるい)。
2012年の時すでに、ローカルで焙煎されたオーガニックコーヒー、グリーンエネルギー、コンポスタブルのカップやカトラリーなどを採用。環境にも人にも優しい取り組みをしていたのが、当時の私にはとても新鮮だった。(思わず写真をパチリ)
Intergalactic Travel Authority
“宇宙の駅”がコンセプトになっている「Intergalactic Travel Authority」。非営利団体が運営するこのカフェは、店の手前はカフェ、奥はこの地域に住む6〜18歳のこどもたちがライティングを学べるプログラムを提供する地域のコミュニティスペースでもあった。
「こどもたちがコミュニケーションスキルを身につけて、宇宙のように広い世界へ出発できるように」。そんな願いが込められたカフェの入り口には、惑星行きの時刻表が飾られていて、それも素敵だった。(個人的に好きだったのはMILKY WAY GALAXY)
ほかにもいろいろ
他にも、ヴィンテージソファがたくさんのラウンジカフェ「CSI Coffee Pub」。
「世界でたったひとつ」のいう意味の名前がついた「The One in the Only」。
コーヒーなら「Sam James Coffee Bar」。
揚げたてミニドーナッツなら「Little Nicky's Coffee」。
などなど、あげたらキリがない。
とにかく、トロントで個人カフェが改めて大好きになり、旅するようにカフェ巡りをしていた1年間。カフェの店名やコンセプト、オーナーさんやお客さんとの会話、デザインから日本にはなかったモノ・コト・アイデアをたくさん学んだ。
カフェは、さまざまな世界への入り口。
日々の暮らしに楽しいことや彩りをちょこっとたして
振り返ってみれば、人生を豊かにしてくれている。
個人カフェって、やっぱりいいなぁー。
そう思いながら、1年間のワーホリ生活を終えて帰国。カフェ熱が高かった私は日本でもカフェ巡りを始めようとするのですが……、なぜか東京の街では大手チェーンばかりが目に入ってきて、思うように個人カフェに出会えない。
「あるはずの個人カフェが全然見つけられない……😱 」
とモヤモヤし始めます。それがのちに、CafeSnapをつくるひとつのきっかけに繋がっていきます。つづく。
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