パッキンが行方不明
いつ頃からか定かではない。
とにかく、しっかりと留めて置けない。
情緒の減少とコラーゲンの不足は比例している。
なんだか、漏れ出しているな、蛇口がゆるくないか?と思ったのは、下半身からまず手が上がった。
「我が部署からご報告があります。軽い気持ちの小走り、縄跳び、公園のふわふわドームなど
断じて危険であります。警報級の災害につながる可能性があります」
何を大袈裟なと、嘲笑っていた自我達よ。
漏れたよね。ちょっとのつもりが滲みたよね。
いくつかの空を見上げて、絶望した日々を超えて、私は超吸収、漏れ安心にヘルプを頼めるようになりました。
人間、自分を受け入れると大人になりますね。
ですから、膀胱括約筋のパッキンについては修理というよりは、対処療法で補強しています。
問題はですね、上半身、特に上部に位置する各器官から、最近の内部流出が半端ないという報告にあります。
「思っていることをそのまま口から放出」
「考えていたことをぺろっとnoteに」
敵は本能寺ではなく、我が陣地に。
「ねぇ、心の声、漏れてるよ」
電話を切り、「畜生、なんてこった、またやりやがったな」と公共の職場で呟く。
「ねえ、心のツイッターが、全世界に流れてるよ」
社内文書のボーナスの説明を見て、「結局、どうすりゃいいんだ!何をこれ以上頑張れってんだ!」と悪態をつく。
嬉しければ笑う。悔しければ怒る。不条理に悶える。逆境に燃える。悲しくて涙。プランターに巣作りしてそこで育っているセキレイの孵化に涙。お年寄りの奮闘に涙。
なんせ、感情や悪態や涙が、漏れ出してばかりいる。
ホルモンのせいにしていたが、ホルモンから苦情。
「あんた、私にかずけすぎちゃいますか?」
ホルモンは昔、男女7人夏物語を見過ぎたニセ関西弁で訴える。
ちなみに、かずけるとは責任転嫁という意味の私の地方の方言だ。
ハイブリッドホルモン。
確かに。ホルモンだって面白くないだろう。
何ごともそれ一つが原因などということはない。
考えるに、パッキンが行方不明である。
配慮とか、遠慮とか、臆測とか。
どう思われるかとか、嫌われないかとか、疎外されちゃうかもとか。
私の内部から外部へ通ずるところにあった無数のパッキン。
調整して推しはかるための緩衝材。
あれって経年劣化するって知ってましたか。
いつの間にかすり減って、行方不明なんです。
あれって消耗品なんですよ、奥さん。
新しいのなかなか手に入らないから、大事に使わないといけませんでした。
パッキンが行方不明。
私の中の恥ずかしがりと奥ゆかしさも、一緒に出て行きました。
どこかで元気にしているはずです。
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