池袋に19時で
先日、高校の同窓会に参加するため上京した。
せっかく東京に行くので、とびきりのことがしたい。
この歳でとびきりと言えば、援助して交際のアレである。
ああ、不埒な方じゃないですよ。不埒するほどの器量と度量は枯渇しています。東京砂漠です、おだんごです。
家族LINEで呼びかける。
「おかあが同窓会で東京に行きますんで、夕ごはんを一緒に食べてくれる人はいませんか。奢りますよ！」
ごはんを援助して、交際をねだるコレである。
しばらく誰からも音沙汰がなく、忍びないと感じた夫が、「おとうがいこうか？」と隣でLINEしてくれる始末。
「まあ、そうだよな、忙しいだろうな」と諦めた頃に長男から「いいよ、19時ごろなら行けるよ」と返信があり、次男からも「俺も行くよ」とのこと。
お店は次男がいくつか提案してくれて、その中から焼肉店をチョイスして、予約を任せる。
当日、渋谷での同窓会は12時スタートであり、19時池袋までどう時間を潰すかを考えていたが、あまりに盛り上がり杞憂に終わった。
2次会終わりで向かった結果、18時半に池袋に着いた。
私が時間を持て余す心配をした長男は、私より早く池袋に着いて待っていてくれた。
東口と言われたのに、サンシャイン寄りの東口に出てしまい、タカセの前だよ。とLINEする。
手を引いてサンシャイン水族館に連れて行ったことがあったなあ。と池袋のH&Mの看板を見上げながら思う。その長男は義母の大好物の鳩サブレーの袋をぶら下げて、片手を上げてやってきた。
「すまんすまん、東口を潜って地上に出てきてしまった」と謝ると、うっすら汗をかいて「東口を行ったり来たりしたよ」と笑っていた。
次男は、「長男がギリギリかと思い、店は19時15分に予約したんだ、そしたらなぜか俺が遅れそうだから先に店入ってて」とLINEを寄越した。
時間が早いためユニクロを冷やかした後、少し早いが店に向かい席に着く。
食べ放題や飲み放題にすると、時間に追われるし、いいお肉を少し食べれば満足な私は、今日は好きなやつを頼もう、全部奢るから！と高らかに宣言した。
いつも値段をよく見るように育ててしまった子供達に、値段を気にせずご馳走したかった。
そういうことができるようになった母親になりたかった。しかも、夫からも援助を受けていたし、
援助交際援助で鬼に金棒である。
長男が生ビールで、私がジンジャーハイボールで乾杯して、いくつか肉を頼んで焼き始めた頃、次男も到着した。生ビールを追加で頼み、再度乾杯した。
赤身肉に自信のあるお店で、肉の部位別に焼き方も丁寧に教えてくれる。
おすすめのトッピングをお肉と合わせると、確かに間違いがない。ネギだれで牛タンもピースビーフのネギンチュ巻きもシマチョウと塩ピーマンも
見事に美味かった。
仕事の話をした。2人がそれぞれに自分の場所でうまくいかないことを抱えながらも、それを投げださずに向き合ってもがいていることがわかった。
それを、そうかそうかと思った。働いているんだなとそう思った。
年齢の話をした。もう歳をとりたくないと24歳。
そっからめっちゃ早いぞと27歳。
おかあはめっちゃ楽しいぞと48歳。そうか、じゃあまあ、いいか。と24歳。
時間を重ねなければ見えないこともある。
時間を重ねて認めてもらえることがある。
時間を重ねて受け入れられるものが増える。
どんどん楽になるから、お楽しみにと伝える。
私はいつだって、歳を重ねることが楽しみになるような先輩の背中を選んでついてきたから。
子供たちが未来にワクワクしていてほしい。
疲弊して苦悩して諦めていることが真実みたいなフリをしていることがあるけれど、そんなもんは蹴散らしていけばいい。
自分の未来は思うようにしかならない。歳を重ねることに価値を見出せたら、それはもうそういうことだと私は思っている。
宴から1時間経過した頃に、次男の彼女がスノボ帰りに顔を出してくれた。4時半に起きて仲間と日帰りスノボに行き、頭は朦朧、身体はバキバキにも関わらず、笑顔でやってきた。
呑めない彼女に次男がカルピスを頼んで、また肉を焼く。
King & Princeの話をする。彼女の推し活はもはや次男も便乗していて、2人の遠征エピソードで盛り上がる。
長男は肉を焼き、彼女にサーブする。
和やかで楽しい時間だった。
焼肉店のお会計の後、店の前で写真を撮ろうとすると、店員さんが「俺、写真めっちゃ得意です」と申し出てくれて写真を撮ってくれた。
私は口から出まかせでも、こういう自信のある人が好きだ。一瞬の出会いのご縁だから、この自信に甘えたい。
SNSにアップ、宣伝お願いします！とお兄さんは言った。
お兄さん、わたしSNSこれしかしてないや。でもさ、約束守ったよ。
めっちゃ美味しかったから、お近くの方はぜひ。
私だけじゃなく世界の長友さんも言ってます。
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