夏のてっぺん
かき氷は苦手なんです。
知覚過敏で、キーンとしちゃう。
ただ一口、シロップがしっかりかかったてっぺんは、すごくそそられますよね。
私の夏のてっぺんは、今日だな。
そう思えたのは8月13日の夜でした。
この夏、久しぶりに我が家の三兄弟が同じ時期に帰省しました。
また、大学受験を終えて、晴れて希望大学に合格した姪と義姉も遊びに来ました。
そして、次男の彼女も一晩泊まりに来てくれました。
総勢9名で、早朝の墓参りで迎えた亡き義父も含めれば10名の大宴会でした。
予約していたお寿司やピザもあるし、私は仕事だったので、義母には唐揚げとぐりとぐらのたまご焼き(絵本に出てくるぐらい大きくまるい厚焼きたまご)を頼んだだけなのに、次男の彼女が好きだと言ったポテトサラダや、なますうりのからしあえ、ナス漬けにきゅうり漬けと、結局ぜんまいの煮物までして、テーブルの上ははちきれそうでした。
何もしなくていいよ。と何度言っても
たくさん作らなくていいよ。と念を押しても
毎年やるのが義母です。
ビールやお茶で乾杯をして、わいわいと食卓を囲みました。
次男の彼女は、にこにこと勧められたものを受け取り、食べられないと思うと、華麗に横の次男の皿にノールックパスで流していました。
翌日の14日は次男と三男は盆野球の試合に出る予定でした。
それぞれの同級生が集まりチームを作り、ユニフォームがあり、ささやかな練習をして、さながら野球を介した同級会で、この日を心待ちにしていました。
私も久しぶりの野球観戦を楽しみにしていました。きっとママ友達の顔も久しぶりに見られるでしょう。
長男も次男も社会人となり、三男も姪も大学生になり、にぎやかさの種類が変わり、落ち着いたそれでも華やいだひとときでした。
次男と彼女が来年になれば25になる。そしたらアラサーだ。と言いました。
そんな早くからアラウンドしなくていい。と進言しましたが、世間の声への信心が厚そうでした。
全然思っていた大人にならない。と2人がいい、76歳の義母が、
そんなん76もそうだよ。と軽く言っていました。
ここには76歳は私1人だから、みんなわからないだろうけど、まただんだん子供になるよ!
と胸を張っていました。頼もしい限り。
夫が、50歳は楽しいよ。これから好きなことたくさんできるよ。ともいいました。
子育てが終わった夫婦は、歩くか走るか登るかだ。と言われて、まさに。と思いましたが、夫は野球を再開しました。
今の自分の年齢を肯定できるのはとても良いことのような気がして、ビールのおかわりをしました。
当日帰宅する、次男の彼女とこっそり話しました。
来てくれてありがとうね。疲れたでしょ?というと、楽しかったです。と笑ってくれました。
私にも〇〇ちゃんみたいな時があったから。最初はみんな他人だったから。というと
あっ!そうか!と目を丸くしていました。
家族なんて他人なんだよ。他人からはじまり他人としか作れない。
次男と彼女が今後どうなるかはわかりませんが、2人が暮らしを共にしている今、別に婚姻がなくとも、私は彼女をただの他人ではなく、大事な他人だと思っています。
それが伝わるといいなと、そう思って手を振りました。
お泊まりの夜。
あのさ、彼女に歯磨き用の紙コップちょうだい。と次男がいいました。
クリアカップに名前を書いて、おぱんちゅうさぎをかきました。なんか、おぱんちゅうさぎが好きそう。と思ったからです。
歯磨きの時、それに気づいた彼女が
おだんごさん!おぱんちゅうさぎ!といいました。
うん、可愛いでしょ。というと
はい!嬉しい!と、歯磨きしながら笑いました。
夏のてっぺん。
一口のようなひととき。
口に入れたら清々しくて幻のように消えてしまうかき氷のように、淡く儚い時間。
私の人生にこんな夏がくるなんて。
しかと堪能しました。
◎今月の中川さんとの大喜利noteは、夏まるごとのお題イラストに、ど真ん中のエッセイを書きました。イラストが届いてこれしか思いつかなかった😊
狙わない、まっすぐ。夏だから、いいですよね?
#note
#中川貴雄さん
#大喜利 note
お気持ちありがたく頂戴するタイプです。簡単に嬉しくなって調子に乗って頑張るタイプです。お金は大切にするタイプです。