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モンブランな午後
普段、あまりケーキを食べない。
スイーツに心をときめかせたりもしない。
米とか麺とか腹いっぱい食べてしまい、別の腹まで侵食するタイプである。
ただ、今日はお昼のハヤシライスをいつもの半分にした。
あの人が、私達の街にやってきた。
私と達といえば、もちろんバクゼンさん。
私たちの住む新潟の田園を、あの人は河川敷昼休みランで鍛えた脚と心で走りきり、ハーフマラソンを走った人とは思えない、涼しい顔でハーフパンツを履いていた。
フィニッシュで待っています。と言っておいて、そこを望めるベンチに腰掛けていた、私とバクゼンさんの前方に、私達の待ち人は、キョロキョロしてスマホを弄り出した。
間違いない。バクゼンさんに声をかけて近寄る。
もつさーん、もつさーーん。
はい、そうです。こちら。noteの街の毎日マラソンランナー、もつにこみさん、その人だ。
文フリの写真を見せて、バクゼンさんにも
もつさんは、可愛らしい人です。と伝えていた。
バクゼンさんは、帰りの車で
文章そのままの人だね。と言った。
私も全くそう思う。
南魚沼グルメマラソンにやってきた、もつさんに時間をいただき、私とバクゼンさんと3人でお話しをする機会を設けた。
バクゼンさんが、もつさんとモンブランを食べたいと言って、それしかないわな。と私も思った。
街の中で、みんながお持たせを買うならここ!という、洋菓子店に出向いて、バクゼンさん一押しのモンブランを一緒に食べることにした。
車の中で、好き勝手に喋る。後部座席に座るもつさんに、質問する。
走った後の人への労いが足りない。
バクゼンさんは、もつさんの源流まで出向いて、毎日投稿のはじまりの時を確認してきたという。
なんというおもてなし精神。というかバクゼンさんが読みたかったのだと思うが、もつさんのはじまりの話や、継続の工夫や努力に、いちいち感動した。
もつさんは、noteの街のほぼ糸井さんである。
私が特に、もつさんに敬服するのは、自分も創作大賞に向けて作品を作る傍ら、人の作品を読んで感想を綴る姿勢である。
私にはできない。
まず、人の本気の創作を、自分が創作を書いている時にはぜったい読めない。読まない。
人の才能が怖い。そのアイデアが怖い。
自分が知らぬ間に影響されて、真似事に転じてしまいそうで、無理なのだ。
基本的に創作中心の方のフォローをしないのはそういうからくりだ。
私は余程のことがない限り、創作を読むことも聴くこともできない。
だから、もつさんのフラットなスタイルで真摯に感想を綴るnoteに、畏怖がある。
私のこれほどに性格に難があるという話を、バクゼンさんは、絶対に顔を顰めたりしない。
笑いながら聴いて、時にわかると言ってくれる。
もつさんが、どう思うかなと一瞬かすめたが、
まあ、どう思われても大したことなかった。
私は本当のことしか言えないし、それが私のおもてなしである。
noteで出会って仲良くなるということは、そういうことだ。
洋菓子店について、小さな喫茶室にどうにか入れそうだと、幸運を喜ぶと、もつさんがショーケースをくまなくみて、
モンブランだけありません。と言った。
なわけないよ。と私とバクゼンさんも目を凝らすが、モンブランだけなかった。
3人で笑い出す。ここまできて食べられないのも一興だと、気を取り直してそれぞれのケーキを選び終わったその時。
モンブラン4つならありますよ!とお店の方。
えー!そんな幸運ある?
もちろん3人とも自分のケーキをキャンセルしてお揃いモンブランである。
もつさんのモンブラン講義のもとに食べるモンブランは、なんだかものすごく美味しかった。
お店の工夫や、こだわりを推察し、モンブランを食べたら、その店の一推しまでわかるというもつさん。
これから、モンブランを食べる時には必ず思い出すだろう。
3人の茶話会は、終始和やかで笑いに満ちていて、
バクゼンさんが言った
noteの話は楽しいね。が全てを物語る。
年齢も住むところも違う。
肩書きも仕事も関係ない。
だからこそ、こんなにも穏やかで正直であれる。
もつさん、走りに来てくれてありがとう。
また、待ってるね。
お揃いモンブランでも味わいが違う。
どうぞ、3つ揃えてお召し上がりください。
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