初めの一歩、慎重に選んだ方がいい説

関西で育った身として、一度は宝塚歌劇を見に行かなければ、と前から思っている。関西では知らぬ人はいない(はずの)経営のカリスマ・小林一三の偉業のうちの一つだ。

しかし、づかファンの非常にアグレッシブな熱意を感じ取るにつけ、初心者がまたぐにはハードめな敷居を勝手に感じてきたのも事実である。

先日、づかファンの友人に、軽く話を持ちかけてみた。

彼女が言うには、「宝塚は初回が本当に大事!!!」とのこと。

いわく、宝塚歌劇と一口に言っても、組や時期によって完成度や特徴もそれぞれ。初心者がどれも似たようなものだろうと思って、無作為に観に行くと、思い描いていた宝塚イメージとのギャップに落胆して、再訪しなくなる可能性もある。

宝塚ファンの立場からして、一人でもがっかりさせることは避けたい、と彼女は少し鼻息を荒くしながら語る。

終いには、「だから、もし本当に見たいと思ったときは私に声をかけて!初心者にこそ見てほしいおすすめ選ぶから!!」と割と本気のトーンで進み出てくれた。

たしかに、興味があるならとりあえず始めてみよう、と言われがちだけれど、初めの一歩で大きくつまずいてしまって、その後遠ざけたもの/ことって結構あるよな、と思う。

私の場合、小学生のとき、初めて授業でやるバスケットボールで、がむしゃらに動きすぎて上から降ってきたボールにメガネが潰されて以降、何だかずっとバスケットボールを好きになれなかった。

実家で初めてアボカドが食事に導入されたとき、醤油をつけたそれがあまりにもまずくて、いまだにアボカドを食べられない(どうやら全く熟れていなかったのがよくなかったらしい)。

初めて読書しようとしている人が目の前にいたなら、私もその人のパーソナリティを踏まえながら、まずは読みやすい本を紹介したいと思うだろう。自分がいくら感銘を受けた作品であっても、いきなり安部公房やドストエフスキーを薦めたりはしない。せっかく興味を持っているのに本嫌いになってしまったら勿体ない。もちろん、はまらない可能性も大いにあるけど、それはそれだ。

同じことが今日、起こった。別の友人が、「これまで接点はなかったけれど、一度クラシックコンサートにも行ってみたくて」と言った。

「初回が大事やから、行きたいなら言ってな。クラシックも幅広いから」と、思わず返していた。

そういうことだ。

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