ミャンマー市民のコロナとの戦い
いま、ミャンマーでは新型コロナ感染が急拡大している。
友人の親戚一家のうち4名が亡くなった、数日前に話したばかりの近所の顔見知りが亡くなったなど、身近なところからの訃報も相次いでいる。
軍の保健当局により、1日あたりの新規感染者5000名以上と発表されたが、検査を受けられない人も多くいるとみられ、実態はわからない。
この記事では、SNS等で公開されている情報から、市民が新型コロナと、どう闘っているのか、その一端を伝えたい。
もともと脆弱な医療体制が、クーデターで限界に
もともとミャンマーは医師や病院の数が非常に少なく、医療体制の脆弱さが指摘されていた。
さらに、クーデター以降、市民不服従運動で医療従事者がボイコットしているほか、国軍による私立病院の銃撃や占拠、医療従事者や医療ボランティアの逮捕や銃撃が相次ぎ、医療崩壊といえる状況に陥っている。
そこに第三波が直撃し、指数関数的に感染者が増えている。
酸素充填の攻防
病院に頼れないなか、市民は酸素ボンベを購入し、自宅で酸素吸入などの治療を行っている。
人口10万人弱のザガイン管区カレーという町でも、2か月で500名以上が、1日あたり約20名が亡くなっている。
カレーでは、以前は酸素充填のために片道3時間かけて大きな町に行かなかければならなかったそうだが、現地メディアによれば、市民の寄付により酸素充填設備が導入された。
しかし、市民の支援活動は軍の取り締まりと銃撃のリスクにさらされている。
国軍は酸素工場に、国立病院や軍系病院にだけ酸素を供給するよう迫り、一般市民への供給を禁止したという現地報道も出ており、予断を許さない。
酸素充填や自宅でのケア方法を教えるボランティア
自宅でのケアが広がるなか、酸素充填ボランティアが登場した。現地でインターネット代わりに使われているFacebookで、充填を依頼できるボランティアの連絡先電話番号が公開されている。
空の酸素ボンベを渡せば、充填して家に届けてくれるそうだ。
(*公開情報だが、念のため加工)
また、海外在住のミャンマー人医学博士が、自宅でのケア方法をFacebookに動画で投稿している。こちらは、動画の一部だ。
正念場はこれから?
ここ数日で急激な感染者数の増加がみられ、第三波がここをピークに減少するのか、あるいは、さらなる爆発的な増加となるのか、わからない。
現状では、酸素が足りないという悲痛な声が、そこかしこから聞こえてきている…。
一方で、国軍はコロナ対策品の輸入を制限した、その後、撤回したなど、情報が錯そうしている。
少なくとも、海外からの送金や支援は国軍からの取り締まり対象であるため、コロナ対策であっても、表立って支援ができない状況だ。
それでも、どうにか市民が助け合って第三波に対応しようとしており、酸素ボンベをめぐる暴動や略奪などは起きていない。
日本から、組織的な支援は難しいだろうが、個人レベルでは何らかの寄付を受け付けている在日ミャンマー人もいるだろう。
状況を注視しつつ、個人への寄付からはじめようと思う。