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謎の男”マルタン・マルジェラ”

こんにちは、葵香子です。
10月27日(日)、勢いで映画を2本観ました。


挑発的でコンセプチュアルな作品群を発表するマルジェラ自身はどんな人物だったのか。初のドキュメンタリーとなる本作では、彼と共に一時代を築いたメイレンスやクリエイティブチームの「私たち」が激動の20年間と、謎に包まれたままファッション業界を去った異端児について初めて語り出す。公にされた写真は存在せず、インタビューは書面のみで行い、「I=私」ではなく「We=私たち」で答えたマルジェラ。オランダ出身のドキュメンタリー作家、メンナ・ラウラ・メイール監督は「私たち」が封印してきたモードの舞台裏と狂乱の歴史に鋭く食い込み、数々の貴重なアーカイブと証言を掘り起こした。そして浮き彫りになったのは、傷ついた天才と空中分解していくチームの葛藤の日々だった。「私たち」がタグの代わりにした白い布に込めた意味とは?ファッション業界注目の傑作ドキュメンタリー!

We Margiela マルジェラと私たち

なぜ、マルタン・マルジェラは評価され続けるのか?革新的、繊細で優しく、かつ大胆不敵、本質を見極め、決して妥協しない。マルジェラの創造性と仕事術、その全貌が明かされる。

マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”


最初は「We Margiela マルジェラと私たち」だけだったのですが、正直この映画だけでは感想が書けない…
というのもマルタン・マルジェラが謎すぎる。
映画1本だけでは謎が謎のまま消化不良で終わってしまうので、予定になかった「マルジェラが語る”マルタン・マルジェラ”」を観ることになりました。


「分からない。だけど…」

マルタン・マルジェラの映画を2本観た私の感想は
「分からない。だけど問うことは出来る。」でした。

「マルジェラが語る~」の中でマルタン・マルジェラがコレクションを発表していくなかでマルジェラのファンが増えていき、マスコミにもマルジェラを理解したような記事が出るようになった時期を回想したとき、
「理解されないのは苦しいが、理解されるのも苦しい」と語っていたことが”私”のマルジェラに対する付き合い方の答えは
「謎は謎のままだから良い。だから謎を解き明かすことはしない。分からない。だけどマルジェラを通して世界に問い続けることはやめない。」


持続可能性(サステナビリティ)とは?

昨今SDGsによって議論される機会が多くなった「Sustainabla(サスティナブル)」
そこに「Ability(~する能力)」を組み合わせた造語が「Sustainabilty(サスティナビリティ)」ですが、この言葉が私はファッション業界の問題を問い続けるのにとても良い表現だと思っています。

ブランドの持続可能性
生産の持続可能性
労働の持続可能性
クリエイターの持続可能性

特に”クリエイターの持続可能性”については以前「ジョン・ガリアーノ 愚かな天才デザイナー」でも疑問に思っていたことでした。

マルタン・マルジェラは公の場に出ないことで自身を守ることを決断しましたが、それでもファッション業界のこの問題には直面していました。

「We Margiela~」では大きなグループの傘下になったあと、共同経営者だったジェニー・メイレンスがメゾンを去り、商業的なコレクションを求められるようになったことで疑問や不安がチームに伝染していったことが語られています。(「マルジェラが語る~」でマルタン・マルジェラ本人は傘下に入ったことを良かった出来事だと思っていたらしく、このチームとのズレも気になりました。)

メゾンを立ち上げから共に歩んできた理解者が去り、商業的な成功を求められ、マスコミの批評の声も大きくなっていく中で傷ついていくマルタン・マルジェラを観ているとクリエイターに掛かる負担の大きさはどのブランドを見ても健康的ではなく持続可能な状況ではないと感じます。

結果的にマルタン・マルジェラはブランドそしてファッション業界を去り、引退する道を選んでしまいました。

ファッションは誰のものなのか?

マルタン・マルジェラが去った要因の一つとして「配信などが始まり、現場のサプライズを生むエネルギーが失われた」と語っています。

私たちからすると全世界に配信してくれることはとても有難く今年のファッションウィークも日本にいて楽しむことが出来ましたが、マルタン・マルジェラは「途方に暮れた」「今までと違うニーズを満たせる自信がなかった」というほどこれからのクリエイションを大きく揺るがすものでした。

ですが私が思うに、ファッションウィークに行ける人は限られていますし、その中でもコレクションを現場で見れる人はごくわずかです。

マルジェラが掲げている「反モード・ポぺリズム(貧困者風)」は一般社会に開かれてこそだと思ったのですが、マルタン・マルジェラ自身はそうではなかったのかと感じ、

やはりファッションは富裕者層のものなのか?

それとも多くの人々に開かれるべきか?

そんな「ファッションは誰のものなのか?」という疑問が浮かんだシーンでした。

私は「ファッションは多くの人々に開かれてこそ」だと思うのですが、皆さんはどうでしょうか?


マルジェラへの解像度が上がった1日

もともと、演歌バッグ・演歌靴はマルジェラと決めていたのですが、映画を2本観たことで「やはり演歌歌うときはマルジェラを!買う!!」と固く心に誓った1日でした。
「謎めいた女」は「謎の男」に惹かれるのです…

マルタン・マルジェラのクリエイションを知り、現在のクリエイティブディレクターであるジョン・ガリアーノのことも知りと意図せずマルジェラの現在と過去を観ることになりましたが、観た結果ますますマルジェラのファンになりました。

私と同じようにマルジェラへの解像度を上げたいという方は、2本とも観られることをおすすめします。
気になられた方は是非観てみてくださいませ。




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