《神話-4》パンドラ
こんにちは。
今回はギリシア神話版イヴ・パンドラについてまとめます。その前にプロメテウスについて取り上げようと思います。
プロメテウス
プロメテウスはもともとティターン神族に属する神でした。『あらかじめ考える者』という名前の意味通り、ティターン神族とオリュンポスの神々(ゼウスたちの世代)の戦いでは後者につきました。彼は我々人間を創り出したため、なにかと人間たちの境遇がよくなるように心を砕いていました。
地上の人間の数が増えてきたこともあり、神々と人間で牛肉をどのように分け合うか問題になります。
プロメテウスは美しい皮の中に骨を入れ、粗末な皮の中には上質な肉を入れて、ゼウスに選ばせました。ゼウスはまんまとプロメテウスのワナに引っかかり、前者を神々の食物とすると宣言してしまいます。神の言葉は取り消せないので、人間が肉を主食にすることは決まりましたが、メンツを潰されたゼウスは人間たちから火をとりあげてしまいます。肉の調理には火は欠かせませんし、暖をとるにも必要不可欠です。困った人間たちはプロメテウスに相談します。
プロメテウスは人間たちの窮状を知り、大胆な手段にでます。太陽から火を盗み、人間たちに与えたのです。ペパイストスの工房から盗んだという説もありますが、俄然こちらのほうが絵になるので、取り上げられています。
当然ながら、ゼウスは激怒します。プロメテウスは捕らえられ、『鷲に肝臓を摘み出される刑』に処されます。プロメテウスは神なので肝臓は復活し死ぬことはないので、刑期は3万年とされました。
その日からプロメテウスは山の頂に磔にされ、毎日毎日鷹に抉り出されて苦しむこととなったのです。
何千年か経った後、プロメテウスはヘーラークレースによって解放されます。息子からの懇願でプロメテウスを許すことにしたゼウスですが、彼の予言を聞き出します。その予言とは『海の女神ティティスとの間に子どもを儲けてはならない。ゼウスが父クロノスを倒したように、その子どもによってゼウスは最高神の地位から追われる』というもので、のちの物語につながります。
さて、プロメテウスの決死の行動によって火を手に入れた人間たちは調理や暖を取るためではなく、武器を作るのにも火を活用していきます。そのため、このエピソードから人類にとって扱いきれないほどの影響力をもつモノを『プロメテウスの火』といいます。
パンドラ
さて、プロメテウスによって再び人間たちが火を使いこなすようになり、ゼウスは面白くありません。そこで新たな災いとして、地上に『女性』を送り出すことを思いつきます。当時の人間たちは男性ばかりで、女性を送りつければ争いになると思ったのです。
ゼウスはペパイストスに命じて、『人間の女性』を創らせます。ペパイストスが丹精込めて創った『人間の女性』はゼウスによって生命を宿しました。アテーナーからは手芸の能力を、アフロディーテからは男性を苦悩させる魅力など、神々からさまざまな能力を与えられました。そのため、ゼウスはこの女性を『パンドラ(すべては神の贈り物)』と名付け、地上に派遣します。
そのころ、地上ではプロメテウスの弟エピメウスが人間たちと生活していました。エピメウスは兄に頼まれて人間たちを庇護していましたが、『後で考える者』という名前の意味通り、愚鈍な神でした。プロメテウスから『ゼウスからの贈り物は受け取ってはならない』と言われていましたが、あまりのパンドラの美しさに魅了され、結婚してしまいます。
パンドラはゼウスからあるものを持たされていました。それは甕で、ゼウスからは『絶対に開けてはならない』といわれていました。最初は言われたとおり守っていたパンドラですが、好奇心に負けて開けてしまいます。この甕には様々な災い(疫病、悲嘆、欠乏、死など)が詰め込まれていたのです。パンドラは急いで閉めますが、もう遅く世界中にばら撒かれたのです。
しかし、この甕の底には『希望』が残っていました。『希望』はパンドラを励まし、甕から出ることが出来ました。このため、人々は災いにあっても、『希望』によって立ち直ることができることとなったのです。
パンドラは『ファム・ファタル』の一種として多くの画家たちが描いてきました。神話では甕と記されていますが、ルネサンス自体に函と訳されたため、函として描かれることが多いようです。
パンドラはイヴと同じく『死を人間にもたらした存在』とされ、女性の劣性を代表する存在となりました。しかし、彼女たちがいなければ人類は成立しませんでした。彼女たちは『人類の母』であったのです。
第4話『パンドラ』取り上げました!『パンドラの函』は慣用句なのでご存じの方も多いと思います。絵画にもたくさん取り上げられいて、選ぶのが楽しかったです!
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