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アメリカの現在は日本の未来

【あやかんジャーナル 配信14】

みなさま、おはようございます!
今朝もニューパルツから、岡本アヤカがお届けします。
この配信で何度も登場している私の友人、オーランドのことを考えていました。オーランドは、経済的な理由からキャンピング・カーで寝泊まりしながら、大学に通っています。これまで私は、食べ物やホッカイロを車に届けたりと、私なりにできることをしてきましたが、昨夜のニューパルツは小雪がちらつく寒い日だったこともあり、彼のことがとても心配になりました。
シェアハウスの部屋の窓から、モーホンク・マウンテンの雪山を眺めていたら、色んな疑問が頭を駆け巡りました。
そもそも、どうしてオーランドのような人が、アメリカにはいるんだろう?
そんな根本的な疑問が、浮かんだのです。
すぐにパソコンのキーボードを叩いて、検索しました。
私は中学生の頃からSNSで生きてきたので、何か心に疑問が浮かんだら即、ネット検索します。
「アメリカ 学生」
と、日本語で打ち込むと、トランプ大統領が南部の州の大学生に人気があるという記事が出てきました。
今度は、もう少しキーワードを絞ってみます。
「アメリカ 学生 ホームレス キャンピングカー」
すると、学生ローンの返済に苦しむアメリカの大学生の記事が、いくつかヒットしました。
その中に、ひとつ、興味深いブログを見つけたので、みなさまにシェアしますね。以下は、カワカミヨウコさんという、日本人の作家さんが書いたものです。



このブログが書かれたのは、4年も前のことです。これによるとアメリカでは、オーランドのような厳しい暮らしを余儀なくされる学生が、もう何年も前からいることになります。ニューパルツ村は人口の少ない田舎町なので、車中泊の学生を見かけませんが、このブログのように、サンフランシスコなどの都市部では、ストリート沿いにキャンピング・カーがずらりと並ぶ、などという光景もあるそうなんです。
アメリカのシビアさに、愕然としました。
みんなそこまでしても、大学で教育を受けようとしているんですね。
そして、奨学金を受けないと決めている学生も多い。奨学金は私たちに教育の機会を与えてくれるものではなく、将来苦しむことになる借金だと捉えている人が、じつに多いんですね(事実、後者の方が当たっているようですが)なので、みんなあの手この手で節約に励み、そのひとつの手段が車中泊ということなのでしょう。
オーランドのような人は、この国では珍しくない。
とても悲しいことだと思います。

調べてみたら、このブログが書かれた4年前と比べて、今はさらに物価が上がっています。上の記事では、ニューヨークやサンフランシスコなど大都市でのアパートのルームシェアが、一人当たり毎月800ドルから1000ドルとありますが、現在では最低でも1600ドル以上からと、跳ね上がっています。日本円だと1600ドルは19万円でしょうか? 知らない人とアパートの狭い部屋をシェアして暮らすのに、毎月19万円とは、憂鬱になりますね。アメリカのインフレは凄まじいです。
そう考えると、ひとり車中泊の方がいいのでしょうか?
とてもそうは思えません。
極寒のニューヨーク州の冬は厳しいし、女子学生だったら夜中の危険もあります。頑丈な屋根と壁のない場所での暮らしは、何年も続けるには相当な忍耐力がいります。今日も安全に過ごせますようにと、祈るような気持ちで日々を乗り切っている友人を見ていると、時々アメリカが嫌いになります。

このブログを読んで、私はとても不安な気持ちになりました。というのは、この作家さんは、日本の学生も近い将来、似たようなことになるかもしれないと、予言されているからです。学生ローンを早く返したいと、風俗で働く女子学生のことや、ネットカフェで寝泊まりする学生のことにも言及されています。
車社会のアメリカには昔から、キャンピング・カーやトレイラーハウスで暮らす人々がいます。州から支給されたシャワーとトイレつきの大きなトレイラー・カーに、家族そろって暮らしていると聞くと、日本人はそれが贅沢な暮らしであるように誤解するかもしれませんが、アメリカではそれは社会の最下層を意味します。トレイラー暮らしから抜け出すことを目標に、彼らは頑張って生きています。
(ちなみに、キャンピングカーとトレイラーの違いは、キャンピングカーは運転席があるので、自分で移動できますが、トレイラーは乗用車などに牽引してもらって移動します。トレイラー自体はタイヤはついていますが運転席はありません。そのぶん、トレイラーの方がキャンピングカーよりも、車内が広々とした造りになっています)

このトレイラー暮らしに匹敵する貧困が、日本ではおそらくネットカフェ生活に相当するのではないでしょうか。アメリカ人から見たら、ネットカフェで一日じゅうパソコンの前に座り、ドリンクバーを飲んでいるなんて、気楽で羨ましい暮らしのように誤解するでしょうが、貧困状態と現実の厳しさはトレイラー生活と同じだと思います。

そして、どちらにも共通するのは、一度こうした暮らしに転落すると、アルバイトなど簡単な仕事でさえも得るのが難しくなってしまうことです。
「ニューパルツの本屋さんと、交差点のところにあるスターバックスの仕事に両方応募したけれど、君は住所がないから雇えないよって、断られてしまった」と、オーランドが嘆いていました。

アメリカの現在は、日本の近い未来かもしれない。
だから私は、アメリカの今をしっかり見つめようと思います。

(最後に、東京のネットカフェでは近年、この問題を解決するべく、住所を提供している店舗があるそうです。私書箱のようなものをネットカフェの一角に備えていて、まるでアパート暮らしの人のように、郵便物まで受け取れるそうです。このサービスが、長期利用者にとって、ネットカフェ生活から抜け出す救いになることを期待します)

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