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「できないと思っている奴は呼ばねえ」#父の言葉

私の父は手先が器用で、大工的な作業もサラッと自分でやってしまう。

ある日、くずれそうになっていた塀を一部壊して、再構築する作業をしようと準備していた。日曜大工を通り越して、もはや工事の域だ。

うちの弟は建築学を大学院まで勉強してきたのでそういう構造に詳しい。「手伝ってくれ」と父が弟に連絡をしたのだが、弟はこう言った。「それは素人には無理」と。弟はその理由も丁寧に伝えたそうだ。

それでも自分でやる、と言って引かない父。どうするつもりだろ、と思いながら迎えた作業当日。集まったメンバーは、うちの母と、近所に住む叔父・叔母だった。弟の姿はない。

私が「弟は呼ばないの?」と聞いたら、父は一言こう言った。

「できないと思っている奴は呼ばねえ」と。

結果、できると信じて手を動かした素人チームで、なんとかできてしまった。

この状況、なんだか身に覚えがあった。よくよく考えてみると私自身、父のこの思想を受け継いでいることに気が付いた。

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私は3年前に会社を辞めて、株式会社kaettaraを起業した。会社を辞める前はものすごく不安だった。だからいろいろな人に相談をしていたのだけれど、相談相手を選ぶにあたってルールを1つ決めていた。

「うまくいく方法を一緒に考えてくれそうな人にだけ相談する」ことだ。

起業するということは、自分で決めていた。だからあとはその選択がよりうまくいく方法を模索するだけだった。だから、やめとけば…?側の意見は意志がブレてしまいそうなので極力聞かないように心がけた。(やりたいと思ったことは全部やったほうが良いと思う派です)

父は塀を自分でなんとかすることは決めていた。おそらくそれを決めるまでにも検討を重ねていたと思う。だから、それを可能にする情報しか必要なかったのだろう。そして、できると思った人たちとなら本当に実現できると考えていた。このスタンスは父譲りだったのかなと思った。

嬉しいことに私1人で創業したkaettaraは、私だけのものではなくなった。メンバーの色でkaettaraの人格が変化していくのだろう。決断はいつでも私たちの手の中で、そこからブレずに突き進んでいきたいと思う。

私たちは誰も解決できていない課題に挑戦していく。だから誰もが最初は素人。kaettaraはできると信じて手を動かし続ける素人チームでありたい。

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永井彩華
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