文章で人を動かす仕事で意識すること
わたしは、一般消費者にむけて購買意欲をかきたてるような文章、つまりコピーライターが書くようなお金を稼ぐための文章、というものを書いたことがありません。
そのような文章を書く職業に憧れはあるものの、どうやってそのようなスキルを身につけたらよいのだろう、といったところで二の足を踏んでしまいます。
一方で、普段の仕事、バックオフィス業務のなかでかかわる他者にむけて、自分が求める行動を促すために文章を書く、という場面は日常茶飯事にあります。
仕事の成果として、納期と品質にコミットするためには、文章力は確実にツールというか武器になると思います。
そこで、わたしが仕事上で文章をつかって人に行動を促すときに、意識していることをご紹介したいと思います。
自己紹介
わたしは、化学メーカーの海外事業部門に所属し、5年ほど勤め、いまは債権管理や業績報告、役所への申請業務などを担当しています。
グループの海外社員、法務・財務などの管理部門の社員、担当役員、さらには役所など、多種多様な立場の人との関わりがあるため、言葉や習慣、業務、立場のカベをすべて取っ払って、みんなでひとつのゴールに向かって物事を進捗させる(ための手助けをする)、というのがおもな役割です。
一言でいうと、海外にかかわることなら「なんでもやる」課の会社員です(笑)
会計やら法務から、多方面の専門知識を、広く浅く、理解しておくことが望ましいですが、「これが専門です」とカテゴライズされるようなスキルが求められるわけではない。
そのなかで唯一、欠かせないスキルが、文章力だと考えています。
文章を書くうえで意識していること
①状況を整理する
たとえば、日本の役所からの問合せ事項を、海外現地社員にお願いして確認してもらわなければならないとき。
日本の役所から聞かれた複雑なことを、海外の人にそのまま伝えても、ただの伝言ゲームにしかなりません。
そこで、
1役所は、〇〇を知りたがっています(または、〇〇を心配しています)。
2あなたは、△△がないと、困ることになります。
3あなたが△△を役所からもらうためには、役所の〇〇の質問に答える必要があります。
4〇〇に答えるには、□□と■■と◆◆が必要です。
・・・
といったように、役所の人、海外の人それぞれのスタンスを整理したうえで、聞くべき項目を挙げていくようにします。
相手がどのような問題を解決したいのか、なぜそのような質問をしたのか、ひたすら相手の思考や立場に関心をむけ、それらをくみ取ってあげることで、状況を整理することが出来ます。
相手に状況を理解し、共感してもらえると、相手から協力してもらえます。
疑問が減ると、お互いの確認のラリーの数も減ります。
なので、まず自分が状況を理解し、それを正しく人に伝えるということが、人を動かす基本でもあり一番の近道だと思います。
②相手のモチベーションを上げる言葉をいれる
「いつもご協力ありがとうございます」
これをお願いメールの冒頭に入れることが多いです。
お願いの難易度にかかわらず、です。
理由は、自分が言われるとうれしいから。
いつも、という言葉が入ると、なんだか自分がすごい人のように思えてしまうんですよね。
なので、肯定感をアップさせてくれる魔法の言葉として、常用しています。
「感謝します」
これは、人から支援をしてもらって、心から「助かったー」「命拾いした」と感じたときに使います。
感謝という言葉は、たとえそう感じたとしても、あまり面と向かって言うことはない気がします。
何となく気恥ずかしいというか。
でもメールでなら、スラっと書けてしまう。
そして、ダイレクトに喜びが伝わる。
これも魔法の言葉の仲間に入れています。
③嫌な気持ちを持ち越さない
上司から無茶な指示がおりてきて、それを他の人に依頼しなければならないとき。
理不尽な状況におかれると嫌な気持ちがわいてきますが、依頼のメールを書いているうちに、状況や内容に集中するようになるので、感情がそがれていきます。
負の感情は、何も成果をもたらしません。
負の感情を持ち越さず、伝えるべき内容に絞った文章を書くことで、相手が確実に動いてくれるようになると思います。
最後に
人の五感による知覚は8割が視覚だと言われています。
やはり目に飛び込む文字のインパクトは大きいです。
お金に直結はしないものの、自分が書く文章で仕事がはかどったり、人にお願いを聞いてもらえたりすると、達成感があります。
文章を通じて、人への働きかけで工夫されていることがあるよという方は、ぜひコメントで教えていただけると嬉しいです。
よろしくお願いします。