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【作品リスト】◇F・W・クロフツ◇


はじめに

今回、表記は東京創元社で統一させていただきます。

『クロフツ短編集2』については
フレンチ警部シリーズ以外の話も含まれているようですが
せっかくなのでまとめてフレンチ警部シリーズとして紹介します。


フレンチ警部シリーズ


『フレンチ警部最大の事件』(1924)

原題『Inspector French's Greatest Case』

宝石商の支配人が殺害され金庫からダイヤモンドと紙幣が消えた。事件当夜、支配人は職場を離れて舞い戻った形跡があり、状況証拠はことごとく彼に不利だが決め手はない。加えてアムステルダム支店の外交員が消息を絶っていると判明、ロンドン警視庁の捜査官を翻弄する。スイス、スペイン、フランス、ポルトガル……真相を求めて欧州を駆ける、記念すべきフレンチ警部初登場作品。

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106041

東京創元社
1975『フレンチ警部最大の事件』田中西二郎/訳
(2018年復刊フェアにて新カバーにて復刊)

新潮社
1962『フレンチ警部の最大事件』田中西二郎/訳



『フレンチ警部とチェインの謎』(1926)

原題『The Cheyne Mystery』(Inspector French and The Cheyne Mystery)

快活な青年チェイン氏はある日、ホテルで初対面の男に薬を盛られ、意識を失う。翌日自宅に戻ると、家は何者かに荒らされていた。一連の犯行の目的は何か? 独自の調査を始めたチェイン氏を襲う危機また危機。いよいよ進退窮まったとき、フレンチ警部が登場し事件の全貌解明に乗り出す。本書は冒険小説と謎解きミステリの妙味を兼ね備えた、クロフツ初期の輝かしい傑作である。

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106058

東京創元社
1971『フレンチ警部とチェインの謎』井上勇/訳
(2010年復刊フェアにて新カバーで復刊)

早川書房
1963『チェイン氏の秘密』(HPB814)宮西豊逸/訳



『スターヴェルの悲劇』(1927)

原題『Inspector French and the Starvel Tragedy』(The Starvel Hollow Tragedy)

スターヴェル屋敷が一夜にして焼失し、主人と召使夫婦の焼死体が焼け跡から発見され、金庫の中の紙幣が大量に灰になるという事件が起こる。微かな疑問がもとで、スコットランドヤードからフレンチ警部が乗り出すこととなった。事故か? 放火殺人か? だが、フレンチの懸命な捜査を嘲笑うように、事件は予想外の展開を見せて……。クロフツ初期の傑作として名高い作品の完訳。

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106300

東京創元社
1987『スターヴェルの悲劇』大庭忠男/訳
(2004年復刊フェアにて復刊、2022年復刊フェアにて新カバーで復刊)

早川書房
1954『スターベル事件』(HPB164)井上良夫/訳



『海の秘密』(1928)

原題『The Sea Mystery』

ウェールズ沿岸で釣りをしていた親子が釣った獲物は、死体をつめた箱だった。地方警察の要請によってロンドン警視庁から派遣されたフレンチ警部は、この海の秘密ととり組むことになる。腐乱しかけた下着一枚の男の死体、しかも顔は見わけがつかず、殺害の現場も被害者の身元も不明。狡猾きわまる犯人は、ほとんど手がかりらしい手がかりを残していなかった。クロフツ・ファンを堪能させる本格的な犯人探しのミステリ。本邦初訳。

東京創元社
1964『海の秘密』向後英一/訳



『フレンチ警部と紫色の鎌』

原題『The Box Office Murders』(The Purple Sickle Murders)

映画館の切符売りをしている若い女性が、フレンチ警部に助けを求めてやって来た。誘われるままに深入りした賭け事で借金を作ってしまい、返済のために怪しげな提案をのまざるを得なくなった彼女は、紹介された男の手首に紫色の鎌形のあざを見つけて、変死した知り合いの娘が残した言葉を思い出したというのだ。フレンチ警部執念の捜査があばく、切符売り子連続怪死事件の謎とは。

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106072

東京創元社
1972『フレンチ警部と紫色の鎌』井上勇/訳



『マギル卿最後の旅』(1930)

原題『Sir John Magill’s Last Journey』

新発明の設計図を携えて、息子の元に旅立ったロンドンの富豪、ジョン・マギル卿が北アイルランドで消息を絶った。しばらくして、彼の遺体が息子の家の庭から発見されるが、息子にも他の容疑者たちにもアリバイがあった。失踪直前のマギル卿の不可解な行動、謎の男、アリバイの秘密など、もつれた糸をフレンチ警部は着実に解きほぐしていく。著者の作品の中でも一、二を争う名作。

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106089

東京創元社
1963『マギル卿最後の旅』松原正/訳
1974『マギル卿最後の旅』橋本福夫/訳
(2002年復刊フェアにて復刊、2021年復刊フェアにて新カバーで復刊)

早川書房
1955『マギル卿最後の旅』(HPB230)乾信一郎/訳

新潮社
1960『マギル卿最後の旅』橋本福夫/訳



『英仏海峡の謎』(1931)

原題『Mystery in the Channel』(Mystery in the English Channel)

ドーヴァー海峡のただ中を漂流するヨットの中には、この日、倒産した証券会社の社長と副社長の死体がころがっていた。いっぽう、会社からは百五十万ポンドの現金が紛失し、社の重役は悉く行方不明。犯人は証拠の示すところによれば、ヨットから大海へ忽然と姿を消したままだった。さすがのフレンチ警部の顔にも焦燥の色が浮かぶが……。

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106096

東京創元社
1960『英仏海峡の謎』井上勇/訳



『二つの密室』(1932)

原題『Sudden Death』

両親亡き後つましく身を立てていたアン・デイは、願ってもない職を得てグリンズミード家に入った。夫人の意向を尊重しつつ家政を切り回しながら、夫婦間の微妙な空気を感じるアン。やがてグリンズミード氏の裏切りを目撃して大いに動揺し、夫人の身を案じるが時すでに遅く……。アンの態度に不審を抱いた検死官がフレンチ警部の出馬を促すこととなり、事件は新たな展開を迎える。

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106102

東京創元社
1961『二つの密室』宇野利泰/訳
(2016年復刊フェアにて新カバーで復刊)



『死の鉄路』(1932)

原題『Death on the Way』 (Double Death)

「停止! 停止! 線路上に何かある!」複線化工事に従事する見習技師パリーの乗った機関車が停まったときには、すでに黒い塊を轢いたあとだった。そしてそれは彼の上司アッカリーの無残な死体だったのだ……。翌朝の検死審問では事故死の評決が下されるが、フレンチ警部が捜査に乗り出すや、事件の様相は一変する。鉄道技師としての経験を存分に活かした、クロフツ中期の逸品。

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106270

東京創元社
1983『死の鉄路』中山義之/訳



『ホッグズ・バックの怪事件』(1933)

原題『The Hog's Back Mystery』 (The Strange Case of Dr. Earle)

イングランドの町で引退した医師が失踪した。三分ほど前には、くつろいで新聞を読んでいる姿を妻が見ているというのに。誘拐か? それとも数日前、彼が密かに会っていた女性と駈落ちしたのだろうか? 彼が書いていた原稿とは何か……? そしてまた失踪者が一人……。フレンチ警部が64の手がかりをあげて連続失踪事件の真相を解明する。訳者あとがき=大庭忠男

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106263

東京創元社
1983『ホッグズ・バックの怪事件』大庭忠男/訳
(2003年復刊フェアにて復刊、2020年復刊フェアにて新カバーで復刊)



『クロイドン発12時30分』(1934)

原題『The 12.30 from Croydon』 (Wilful and Premeditated)

チャールズは切羽詰まっていた。父から受け継いだ会社は不況のあおりで左前、恋しいユナは落ちぶれた男など相手にしてくれない。叔父アンドルーに援助を乞うも、駄目な甥の烙印を押されるばかり。チャールズは考えた。老い先短い叔父の命、または自分と従業員全員の命、どちらを選ぶのか。身の安全を図りつつ遺産を受け取るべく、計画を練り殺害を実行に移すチャールズ。快哉を叫んだのも束の間、フレンチ警部という名の暗雲が漂い始める。計画はどこから破綻したのか。『樽』と並ぶクロフツの代表作、新訳決定版。解説=神命明

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106348

東京創元社
1959『クロイドン発12時30分』大久保康雄/訳
2019『クロイドン発12時30分』霜島義明/訳

早川書房
2006『クロイドン発12時30分』加賀山卓朗/訳



『サウサンプトンの殺人』(1934)

原題『Mystery of Southampton Water』 (Crime on the Solent)

セメントの新製法を探るべくチェイル社に侵入したジョイマウント社の二人は、見咎めた夜警をノックアウトし、間の悪いことに死なせてしまう。遺体を運び出し自動車事故に偽装するが、素人の悲しさ、首席警部フレンチの目を誤魔化せるわけもない。更にはチェイル社の首脳陣にねじこまれ、事態は新たな局面を迎える。恐喝まがいの要求を呑むしかないのか。ジョイマウント絶体絶命!

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106287

東京創元社
1984『サウサンプトンの殺人』大庭忠男/訳
(2011年復刊フェアにて新カバーで復刊)



『ギルフォードの犯罪』(1935)

原題『Crime at Guildford』 (The Crime at Nornes)

ロンドン有数の宝石商ノーンズ商会の役員たちは、ギルフォードに参集した。ところが夜のうちに経理部長が殺され、さらにつづいて会社の金庫から、50万ポンド相当の宝石類が紛失していることが発見される。経理部長の死と紛失した宝石類──二つの謎はどう関連しているのか? 堅固なアリバイを持つ容疑者たちに対する、フレンチ首席警部の執拗な捜査を描いた力作長編。

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106249

東京創元社
1961『ギルフォードの犯罪』松原正/訳
1979『ギルフォードの犯罪』中山義之/訳



『ヴォスパー号の遭難』(1936)

原題『The Loss of the Jane Vosper』

そのしけの夜、大西洋上の貨物船ヴォスパー号に大爆発が起った。船は大波と船体の破損に抗すすべもなく、大海に呑まれていった───数週間後、海事裁判が開かれたが、爆発原因は解明されず、保険金支払いはほぼ確実となった。しかし、状況を一変させる出来事が起った。保険金詐欺を疑い、事件を探りつつ失踪した事故調査員の他殺体を、フレンチ警部が発見したのだ。死んだ男はいったい何をつかんでいたのか? 一見平凡な海難事故から、詐欺、殺人へと急展開する一連の事件を精緻な構成で描く本格力作の改訳決定版(『ヴォスパー号の喪失』改題)

早川書房
1957『ヴォスパー号の喪失』(HPB383)鈴木幸夫/訳
1981『ヴォスパー号の遭難』島田三蔵/訳



『船から消えた男』(1936)

原題『Man Overboard!』 (Cold-Blooded Murder)

ガソリンの危険性を除くという化学的大発見の実用化計画が進められていた。巨万の富を期待する四人の若者と資金援助をする老人一人。化学会社との契約を目前に、その会社から派遣された調査員が連絡船上から姿を消し数日後に水死体となって発見された。ベルファスト警察の要請で捜査に乗り出すフレンチ警部。一見単純そうな事件だったが。

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106256

東京創元社
1982『船から消えた男』中山義之/訳
(2015年復刊フェアにて新カバーで復刊)



『フレンチ警部と漂う死体』(1937)

原題『Found Floating』

イギリス大富豪の一族を襲った謎の殺人事件。フレンチ警部、地中海へ行く。30作を超えるシリーズの中で未訳となっていた長編が待望の邦訳!

引用:https://ronso.co.jp/book/フレンチ警部と漂う死体/

論創社
2004『フレンチ警部と漂う死体』井伊順彦/訳



『シグニット号の死』(1938)

原題『The End of Andrew Harrison』 (The Futile Alibi)

証券業界の大立者ハリスンの持ち船、シグニット号の船室は密室状態だった。ベッドではハリスン本人が死んでいる。死因は炭酸ガスによる中毒。ベッド脇のテーブルには、ガスの発生源となる塩酸入りデカンターと大理石の入ったボウルが載っていた。フレンチ首席警部の入念な捜査の結果、事件は自殺の線が濃厚になる。だが……。企業ミステリの先駆者でもあるクロフツ、渾身の力作! 解説=紀田順一郎

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106294

東京創元社
1985『シグニット号の死』中山義之/訳
(2006年、2023年復刊フェアにてそれぞれ新カバーで復刊)



『フレンチ警部と毒蛇の謎』(1938)

原題『Antidote to Venom』

私はジョージ・サリッジ。バーミントン動物園の園長だ。仕事はともかく家庭に満足しているとは言えない。だから博打に入れあげることにもなった。運命の女性に逢った今や、二重生活を支える資金も必要だ。だから“叔母の遺産で万事解決”の皮算用が吹っ飛んだ衝撃といったらなかった。あげく悪事のお先棒を担がされ、心沈む日々。しかも、事故と処理された一件をフレンチという首席警部が掻き回している……。クロフツ最後の未訳長編、いよいよ登場! 解説=戸川安宣

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106317

東京創元社
2010『フレンチ警部と毒蛇の謎』霜島義明/訳



『フレンチ警部の多忙な休暇』(1939)

原題『Fatal Venture』 (Tragedy in the Hollow)

旅行社の社員ハリー・モリソンは、ある男から豪華船を用いたイギリス列島巡航の事業計画を聞かされ、協力を申し出る。紆余曲折の末、賭博室を設けた観光船エレニーク号がアイルランド沿岸の名所巡りを開始した。だが穏やかな航海は、モリソンが船主の死体を発見したことで終わり、事件捜査にフレンチ首席警部が名乗りをあげる。アリバイトリックの妙で読者を唸らせる傑作長編。

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106225

東京創元社
1960『フレンチ警部と賭博船』松原正/訳
1977『フレンチ警部の多忙な休暇』中村能三/訳
(2007年、2024年復刊フェアにてそれぞれ新カバーで復刊)



『黄金の灰』(1940)

原題『Golden Ashes』

シカゴの薄給取りのジェフリー・ブラーは、思いもかけぬ英国の宏壮な荘園を相続し、准男爵の称号を継ぐことになった。相続した屋敷には貴重な名作画廊があったが、その絵を鑑定し、”掃除”されていることを発見した画家は、パリで行方不明になり、屋敷は絵もろとも焼失してしまう。フレンチ警視の嗅覚は、一見なんの奇もない事件の背後に潜む完全犯罪の陰謀を暴いていく……!?

東京創元社
1960『黄金の灰』井上勇/訳



『山師タラント』(1941)

原題『James Tarrant, Adventurer』(Circumstantial Evidence)

しがない薬局の店員ジェームズ・タラントは野心家で、詐欺に類する行為によって、一躍、成功者に成りあがった。しかしその行く手には死が待っていた。事件の担当は、われらのフレンチ首席警部。犯人の女性はあっけなく逮捕され、いまや絞首刑の寸前にある。が、フレンチはみずからの捜査の結果に不満だった。事実の連鎖のどこかに欠けた輪があるのにそれが発見できないのだ。本件はフレンチに終生忘れえない反省を贈り物にした難事件であり、また作者が初めての試みである法廷論争を展開した傑作である。

東京創元社
1962『山師タラント』井上勇/訳



『蜘蛛と蠅』(1941)

原題『The Losing Game』 (A Losing Game)

高利貸しアルバート・リーブは、実はゆすり稼業も兼ねていた。他人の秘密をかぎつけると冷酷無残、強硬な態度で〈お客さん〉をゆするのだ。彼は蜘蛛、お客さんはその網にかかった蠅で、目下三十七匹の蠅が彼の網の中でもがいていた。ゆする者とゆすられる者、複雑微妙なからみ合いの中に発生した殺人とフレンチ警部の活躍!

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106140

東京創元社
1962『蜘蛛と蠅』山口午良/訳



『チョールフォント荘の恐怖』(1942)

原題『Fear Comes to Chalfont』

十五歳の娘を抱え夫に先立たれたジュリアは、打算の再婚に踏み切った。愛はなくともチョールフォント荘の女主人として過ごす日々は、隣人との抜き差しならぬ恋によって一変する。折も折ジュリアの夫が殺され、家庭内の事情は警察の知るところとなった。殺害の動機または機会を持つ者は、ことごとく容疑圏外に去ったかに見えたが……。終局まで予断を許さぬフレンチ警部活躍譚。

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106218

東京創元社
1962『チョールフォント荘の恐怖』石田貞一/訳
1977『チョールフォント荘の恐怖』田中西二郎/訳
(2017年復刊フェアにて新カバーで復刊)



『二重の悲劇』(1943)

原題『The Affair at Little Wokeham』 (Double Tragedy)

クロフツ独壇場のアリバイ崩しによる倒叙推理小説!リトル・ウォーカムの小村に引退した富裕な老人を殺し、その遺産を手に入れるために綿密周到な計画をたてて、ついに成功した犯人を追及するフレンチ警部の卓抜な推理力に読者は脱帽するだろう。あらゆる仮説を克明に実験し、追及の輪をしだいにせばめていくフレンチの努力が実り、まさに逮捕寸前犯人は国外に逃亡して、フレンチはじだんだを踏んだ。しかし、それは、はたして失敗だったろうか?待望の本邦初訳

東京創元社
1965『二重の悲劇』井上勇/訳



『見えない敵』(1945)

原題『Enemy Unseen』

イングランド西南端コーンワルのうるわしい海岸で、第二次大戦のさなか、誰からも好かれ、誰からも愛された、善良な一老人が爆死する。敵の漂流機雷か、それとも味方の軍隊の過失か。警視庁から派遣された、おなじみフレンチ警部の慧眼によって、事件は俄然、悪質な殺人事件と変わる。ついで起る第二の事件。この二つの事件は関連があるのか、ないのか? 何一つ疑問のまま放任しておくことの出来ない性格の警視の、丹念な捜査と推理とは、次第に網を引き締めて、ついに犯人を自縄自縛させる。フレンチ警視は、再び勝利の凱歌をあげた。

東京創元社
1960『見えない敵』井上勇/訳



『列車の死』(1946)

原題『Death of a Train』

第二次大戦中期、ドイツ軍の猛攻撃により英国軍は後退を余儀なくされていた。英国政府は緊急閣議を開き、急遽、極秘の物資輸送を決定した。ところが、その輸送列車のわずかな故障によって先行した旅客列車が轟音と共に転覆したのだ!破壊工作の跡から輸送計画の漏洩に気づいた政府は、ロンドン警視庁に捜査を命じた。フレンチ警部はスパイ組織壊滅の密命を受けたが、巧妙を極めた犯罪の隠蔽工作の前に捜査は一進一退の状態だった。突破口を開くべくフレンチは一計を案じたが……巨匠が該博な鉄道知識を駆使して描く本格推理巨篇!改訳決定版

早川書房
1957『列車の死』(HPB328)能島武文/訳
1980『列車の死』高橋豊/訳



児童ミステリ 『少年探偵ロビンの冒険』(1947)

原題『Young Robin Brand, Detective』

英国黄金時代の巨匠クロフツが残した唯一のジュニア・ミステリ。鉄道にまつわる謎やフレンチ警部の登場などファン必読の一冊。初版本に収録された挿絵を完全復刻し、〈ヴィンテージ・ジュヴナイル〉第一弾として刊行。

引用:https://ronso.co.jp/book/少年探偵ロビンの冒険/

論創社
2007『少年探偵ロビンの冒険』井伊順彦/訳



短編集『殺人者はへまをする』(1947)

原題『Murderers Make Mistakes』

人殺しはへまをする――とフレンチ警視は言う。しかし犯罪者が失策をしでかさなければ未解決の事件が山を成し、フレンチは体がいくつあっても足りないだろう。万全を期したはずの犯行はいかに看破されたか。完全犯罪の夢破れた二十三編の、自業自得ながらも気の毒な敗北の記録から得られる教訓は、犯罪は引き合わない、とりわけ優れた捜査官がいる場合には、ということであろう。

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106171

東京創元社
1960『殺人者はへまをする』井上勇/訳
(2013年復刊フェアにて新カバーで復刊)

収録作品「古い銃」「絶壁の道」「かかった電話」「下のアパート」「軍用トラック」「病弱な大佐」「隠された軽機関銃」「狩猟舞踏会」「貪欲な金貸し」「夜の訪問者」「熱心な兎飼い」「酒屋の隠居」「国防市民軍の塹壕」「劇作家の原稿」「石灰岩採石場」「Lの形の部屋」「盗まれた手榴弾」「交替信号手」「燃える納屋」「弁護士の休日」「旋回した帆桁」「炉辺の登山家」「待っていた自動車」



『フレンチ警視最初の事件』(1949)

原題『Silence for the Murderer』

リデル弁護士はダルシー・ヒースの奇妙な依頼を反芻していた。裕福な老紳士が亡くなり自殺と評決された後に他殺と判明して真相が解明される、そんな推理小説を書きたい。犯人が仕掛けたトリックを考えてくれという依頼だ。何だかおかしい、本当に小説を書くのが目的なのか。リデルはミス・ヒースを調べさせ、ついにはスコットランドヤードのフレンチ警視に自分の憂慮を打ち明ける。サー・ローランド事件の再捜査が始まると、検視審問の評決が覆り……。解説=小山正/クロフツ作品リスト=戸川安宣編

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106324

東京創元社
1962『フレンチ警視最初の事件』松原正/訳
2011『フレンチ警視最初の事件』霜島義明/訳



『フレンチ油田を掘りあてる』(1951)

原題『French Strikes Oil』 (Dark Journey)

フレンチ警部は永年にわたる功績を認められて、今や警視に昇進したが、新しい難事件がまた彼を待ち受けていた。鉄道の踏切で発見された大地主の長男の死体は、フレンチの出馬によって殺人事件に変貌した。油脈発見の秘密を握る一家の中に犯人がいるはずだが、どの容疑者にも動機とチャンスの結びつきが欠けている。さらに容疑者の一人が毒殺され、謎はさらに深まっていく……。

東京創元社
1960『フレンチ油田を掘りあてる』井上勇/訳



短編集『クロフツ短編集1』(1955)

原題『Many a Slip』

英国本格派の雄クロフツが満を持して発表した、アリバイ破りの名手フレンチ警部のめざましい業績を綴る21の短編を収めた作品集。「いずれも殺人事件であって、しかも、犯人は必ずまちがいをして、そのためにつかまっている。そのまちがいに、読者が事前に気がつけば読者の勝ち、気がつかなかったら、筆者の勝ちというわけである」(まえがきより)と、読者に挑戦状を叩きつける。

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106195

東京創元社
1965『クロフツ短編集1』向後英一/訳
(2019年復刊フェアにて新カバーで復刊)

収録作品「床板上の殺人」「上げ潮」「自署」「シャンピニオン・パイ」「スーツケース」「薬壜」「写真」「ウォータールー」「八時十二分発」「冷たい急流」「人道橋」「四時のお茶」「新式セメント」「最上階」「フロントガラスこわし」「山上の岩」「かくれた目撃者」「ブーメラン」「アスピリン」「ビング兄弟」「かもめ岩(ガル・ロツク)」「無人塔」



短編集『クロフツ短編集2』(1956)

原題『The Mystery of the Sleeping Car Express』

1巻に引き続き、本邦初訳作品多数を含むF・W・クロフツの短編を収めたファン必携の作品集。アリバイ破りの名手にして、丹念な捜査と推理が持ち味のフレンチ警部のかがやかしい功績を描く。絵画購入依頼が意外な展開を見せる「グルーズの絵」、アンソロジーに書き下ろした“完全犯罪”に実在の元警視が挑んだ解決編が付属する「小包」など、多彩な作風が楽しめる全8編を収録。

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106201

東京創元社
1965『クロフツ短編集2』井上勇/訳
(2019年復刊フェアにて新カバーで復刊)

収録作品「ペンバートン氏の頼まれごと」「グルーズの絵」「踏切り」「東の風」「小包」「ソルトバー・プライオリ事件」「上陸切符」「レーンコート」



『関税品はありませんか?』(1957)

原題『Anything to Declare?』

ことの起りは、仲間の一人が伯父の遺産としてヨットを譲り受けたことだった。当初はそのヨットを遊覧旅行に使おうと考えただけだったが、彼らには野心があった。労せずして多額の金をつかむ巧妙な犯罪計画ができ上がったのだ。ヨットを使ったライン河の遊覧旅行を装い、その裏では税関の目をかすめて高額のスイス時計を密輸入する─計画は成功裡に終わるかに見えた。だが、彼らの許に一通の脅迫状が舞い込んだ時、大胆機密な犯罪は全く意外な方向へと……!名警部フレンチが警視となって登場する巨匠得意の倒叙ミステリ。改訳決定版!

早川書房
1958『関税品はありませんか?』(HPB411)村崎敏郎/訳
1980『関税品はありませんか?』島田三蔵/訳


その他

『樽』(1920)

原題『The Cask』

埠頭で荷揚げ中に落下事故が起こり、珍しい形状の異様に重い樽が破損した。樽はパリ発ロンドン行き、中身は「彫像」とある。こぼれたおが屑に交じって金貨が数枚見つかったので割れ目を広げたところ、とんでもないものが入っていた。荷の受取人と海運会社間の駆け引きを経て樽はスコットランドヤードの手に渡り、中から若い女性の絞殺死体が……。次々に判明する事実は謎に満ち、事件はめまぐるしい展開を見せつつ混迷の度を増していく。真相究明の担い手もまた英仏警察官から弁護士、私立探偵に移り緊迫の終局へ向かう。クロフツ渾身の処女作にして探偵小説史にその名を刻んだ大傑作。エッセイ=海道龍一朗/解説=有栖川有栖

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106331

東京創元社
1959『樽』長谷川修二/訳
1965『樽』大久保康雄/訳
2013『樽』霧島義明/訳

早川書房
1957『樽』(HPB346)村上啓夫/訳
2005『樽』加賀山卓朗/訳

KADOKAWA
1962『樽』田村隆一/訳

新潮社
1963『樽』宇野利泰/訳

講談社
1975『樽』三浦朱門/訳



『ポンスン事件』(1921)

原題『The Ponson Case』

ポンスン卿殺しの容疑者は3人いた。ミステリの愛読者は、冒頭の1行のヒントから犯人を推定しはじめるだろう。しかし事件は後半にいたって三転四転し、読者を翻弄する。クロフツの独壇場であり、アリバイ崩しの妙技でもある。本格推理小説の醍醐味と重厚な謎ときのスリル! タナー警部の執拗な捜査を描く、本邦初の完訳版。

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106027

東京創元社
1969『ポンスン事件』井上勇/訳



『製材所の秘密』(1922)

原題『The Pit-Prop Syndicate』

シーモア・メリマンは商用の途次に立ち寄ったフランスの製材所でふと不審を覚え、帰国後クラブの喫煙室で披露に及んだ。聴き手の一人ヒラードが非常な興味を示し、密輸ではないか、調べようと提案、二人は休暇を利用して危険に満ちた探索に乗り出した。疑惑は深まるものの決定打を欠く膠着状況が意外な形で打ち破られるに至って、遂にメリマンは警視庁を訪れ経緯を明かすが……。〈サンデー・タイムズ〉紙のミステリ・ベスト99に選ばれた快作。

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106232

東京創元社
1979『製材所の秘密』吉野美恵子/訳
(1996年復刊フェアにて復刊、2012年復刊フェアにて新カバーで復刊)



『フローテ公園の殺人』(1923)

原題『The Groote Park Murder』

南アフリカ連邦の鉄道トンネル内部で発見された男の死体。それは一見、何の奇もない事故死のようだったが、ファンダム警部の緻密な捜査により、事件は一転して凶悪犯罪の様相を帯びる。しかし、警部はそのとき自分が悪質なトリックを弄する犯人を相手にしているとは気づかなかった。やがて舞台は南アフリカからスコットランドへ移り、ロス警部が引き継いで犯人を追う。フレンチ警部の前身ともいうべき両警部の活躍を描く、クロフツ初期の快作。訳者あとがき=橋本福夫

引用:https://www.tsogen.co.jp/sp/isbn/9784488106034

東京創元社
1960『フローテ公園の殺人』長谷川修二/訳
1975『フローテ公園の殺人』橋本福夫/訳
(2014年復刊フェアにて新カバーにて復刊)

新潮社
1960『フローテ公園殺人事件』




さいごに

いかがでしたか?

クロフツ=『樽』
の印象が強いですよね。

短編含めほとんどの作品が翻訳されているのは嬉しい!
けれど出版社がまちまちだったり絶版の作品が多すぎたり、、、なかなか手強い、、、。

まだ読めていないのですがちょっとずつ蒐集しております☺️
楽しみだな〜🫧




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