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耳なり、難聴は内臓のうなり声
1歳9カ月の娘は、耳が良いので、聞き漏らしないなぁと思います。
私の方は加齢とともに、聴力が落ちたかなと思うことがあります。
突発性難聴などでその後に聴力が落ちたという方も、漢方薬で良いものはないかとお問い合わせがあります。
確かに耳鳴りや難聴は耳鼻科でも長期治療が必要で、漢方薬も体質改善をしてこそ症状が楽になります。
そもそも耳鳴りとはどういった現象でしょう
耳の構造で外耳、中耳、内耳とあり、一番奥の内耳は平衡感覚を感じる三半規管と音を感じる蝸牛の感覚細胞があります。音の信号は内耳の有毛細胞(感覚細胞、およそ2万個)により電気信号に変換され脳に送られます。
耳鳴りは、実際には音がしていないのに、何かが聞こえる現象で、アラフォーから増加して65歳~がピーク、後期高齢者の世代は耳鳴りより難聴が気にになります。
有毛細胞は蝸牛の入り口から奥まで並んでいるが、高い音は入り口近くの有毛細胞を振動させ、低い音は蝸牛の奥の方まで振動させて、電気信号を送ります。加齢での耳鳴り・難聴は有毛細胞が倒れたり脱落していくことが原因とされ、蝸牛の入り口から奥へと進行していくようです。
一度被害を受けた有毛細胞は再生しないそうです。高音を感知することが悪化してくるのが始まりで、低音が聞こえなくなると、かなり奥まで有毛細胞が被害を受けているのかと想像されます。
中医学では耳鳴りを虚実に分けて考えます。
実証、虚証という考え方を中医学ではしています。実証は邪気(病因物質)が外から侵入したか、体内で生まれたかにより発症したと考え、祛邪として邪気を追い出すことを対策とします。
虚証は内臓の衰えや、体の基本物質(気血水、精)の不足から発症したと考え、補うことや整えることを対策とします。
実証は突然起こることや感染症に伴う激しい症状や若い人に多い特徴があり、虚証は徐々に始まり断続的で中高年に多い特徴があります。
実証も実は虚証も隠れていることが多く、虚証は内臓的には腎の衰えが密接に関係しています。
「腎は耳に竅を開く」
耳は経絡により腎と繋がっています。腎以外の経絡も耳は通っているので、他の内臓も耳に影響を与えます。ストレスや不眠も耳鳴りの増悪の原因となるので、自律神経を調節する”肝”、精神活動を調節する”心”も耳鳴りと関係します。他にも胃腸の不調や水分代謝低下、さらには内耳の血流障害なども関係するため、体質を見極めて対策を考えます。
耳鳴りから難聴へと進行しないように、耳鳴りが内臓からのうなり声として捉えて、対策していくことで、聴力低下を早めに食い止めていただきたいです。