社長をそろそろ辞めてみては?
銀杏並木の爽やかなランチ会で、私は突然、社長辞任を決意した。
会社を立ち上げてから丸12年。
そのランチ会までは、辞任するなんて全く考えたこともありませんでした。
その日、地方に住む友人たちが東京に来るというので、会社近くにあるおしゃれなカフェで一緒にランチを5-6人で食べていたんです。
全員経営者だったので、話題は自然と会社の話になり、
「枕ノ送信ちゃん、最近事業はどう?こんな中心地にオフィスを構えているんだから順調っぽいね」
と言われたんです。
その時、事業自体は悪い状態ではないものの、売上・利益とも伸び悩んでいる時だったので、今思えば、贅沢なレベルの不満や悩みを友人たちに打ち明けたのでした。
「そっか、そういうこともあるよね。でもやるべきことを堅実にやって積み上げていくしかないよね」
と異口同音に言われていた時、
のだちゃんがキッパリと驚くことを口にしたんです。
「枕ノ送信ちゃん、社長をそろそろ辞めてみては?」
私は驚き、無言。
他のメンバーも驚き、のだちゃんを無言で見つめます。
そしてのだちゃんが、続けたんです。
「今、自分のこだわりが会社の成長を妨げているって言ってたよね。
これからも枕ノ送信ちゃんが社長でいる限り、サービスにこだわるから成長も鈍い。
本気で会社を成長させたいなら、枕ノ送信ちゃんが社長をやめて別の人に社長になってもらうのがいいんじゃない?」
口では「マジか…」とかなんとか言ってたと思いますが、
心の中では「確かにその通りかもしれない…」とその言葉を肯定し始めている自分がいました。
「自分が作った会社なのに社長を辞める!?」
「辞めるとして、誰に社長をやってもらうの?」
「そもそも、社長を辞めて私はその後、どうするの?」
と、ぐるぐるいろんなことが頭をめぐりつつも、
「…いつ辞める?」
と10分もしないうちに考え始めていたから自分でも驚きます..
ランチコースのデザートが来る頃には、
その友人たちには、
「そうだね、社長を辞めるわ。」
と心を決めていました。
友人たちも誰一人止めることなく、
「いいと思うー!」
と驚いてはいましたが、全員、賛同してくれていたのでした。
これも創業社長の特性なのかもしれません。
ランチ会から約1年。
私は言葉通り、社長を辞任しました。
その後、
新たな会社を作り、新たな仕事を始め、新たな知識や得意ジャンルを身につけ、今も幸せに暮らし、こうしてnoteに感謝の気持ちを書くことができています。
何事もおかげさまです。
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