ゆるすということ
誰しも深く傷ついた経験はあるだろう。
あんな言い方しなくていいのに。あんな態度しなくていいのに。
グサッと来て、衝撃が胸の奥からグググってあがってきて、つらい気持ちでいっぱいになって、呼吸が早くなって、
がんばって笑おうとしても、顔がぐじゃくじゃになって、涙が出てきてしまう。
言われたフレーズ、言い方が、数日たっても頭の中で勝手に自動再生されて、ご丁寧にありありとした音声映像もついてくる。
数週間経っても、言われた相手の顔を見れなくて、声を聞くと耳をふさぎたくなってしまう。またあのときの音声映像が自動再生されてしまうから。
言葉を放たれたのは、たった一度なのに。
忘れたいのに消してしまいたいのに、できないんだよな。
傷つくことを言われて、いつも思うのが、なんだか不公平じゃないですか?
放った側は一度だけ、でも受け止めた側は、そのあと何度も寄せては返す波のようにつらい気持ちがおそってくる。
それだけじゃなく、その気持ちをなぐさめる、抑えるために時間も使っている。
今はこの業務に集中したいのに、今日は来週の打ち合わせに使用する資料をしあげてしまいたいのに。
傷つけられただけでなく、時間どろぼうまで登場している。
そんなときは、もう一人の自分に登場してもらおう。
「終わったことを自分で思い出してつらい気持ちになって、もう何分損しましたか?」