耳と心
ジンライムのようなお月様。こんな夜に清志郎は切なすぎるよと思いながらも謎の使命感に駆られて夜じゅうずっと聴いていたな。寒いな。春が待ち遠しいな。
残念ながら、楽しいことを考えられるような脳みそを持ち合わせてはいないんだ。すべてが悲しくて淋しい風景。だけど、それは美しい。絶対に誰よりも美しい景色を見ているはずなんだ。誰にも理解されなくても、もういいや。私が私を知っている。だけど、どうかあなただけは分かって欲しいなあ、というわがままをどうか許してください。
たとえ、誰かの存在証明が私に重たくのしかかったとしても、私は私で証明していかなければいけない。
私は今、何に依存しているんですか。
もしかすると、薬とか酒に依存してもおかしくなかったでしょうか。もしかしたら、人殺しになっていたでしょうか。私を今ここで立ち耐えさせているものは一体、何なのでしょうか。
生きていることが恥ずかしいわ。
恥という漢字を見てみろよ。
恥とは、あなたのことね。
ありがとう。
何かが弾けたような気がするよ。
恥じらいながらもこれからも生きていけそうだ。
きっと、この満月が見てくれていたはずなんだ。
きっと、誰かが見てくれているはずなんだ。
どんなに折れても敗れても破れても壊れそうで壊れなかったこの耳と心。そこを照らしてあげる。もっと光を。ゲーテか。
今まで何とか生きてきた自分を今こそちゃんと認めてあげる。きっと誰かや誰かのおかげでもあったはずなんだ。だけど一番頑張ってきたのは、ひょっとして自分だったのかも。そんなことに今ごろ気づいたようだ。遅すぎてごめんね。今までありがとう。私へ。
ロックンロールを前にしても尚、淋しそうな顔をして今にも泣きそうなキミを、守ってあげる。いつかまた、あの頃のように心から笑って拳を振り上げられるようになりたいんだろ本当は。今はまだ、いいよ。小さくていいんだ。小さくでいいから笑ってね。の意味が分かったような夜だったな。心に刺さったこのナイフは、無理矢理に抜かなくていいんだ。それに、深すぎて抜けやしないし。心にナイフ刺したまんまで生きていこうか。そのナイフは隠さない。隠しきれない。血がドボドボ流れてても、自分で拭うから。血にまみれたハンカチを握りしめて真っ赤に染まったこの手で抱きしめてあげるよ。汚いかな。いつも何かが纏わり付いててごめんね。汚れてももう構わないよね。だけど、この耳と心だけは、汚したくない。
だから自分も他人の耳と心を汚さないように生きていかなくちゃ。そう思いながらも、弱くて憂鬱な言葉ばかり並べて誰かに聞こえてほしいと願ってしまう私は許されますか。最低ですか。
ゴミ箱までの距離はあとどれくらい?
この最低を捨てて最高を目指すんだ。
そして、このハアトをキミにあげる。
恥の多い生涯を送ってきました。
今夜は、あんまり月が見えないね。
またね。