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新学期

桜が散り、あっという間に新緑へと変わるこの頃。私の娘も小学校を卒業し、この春中学へ入学した。


新学期は、私にとって毎年恐怖でしかなかった。人見知りで人の目を気にしすぎるこの性格がら、新年度となると、途端に心がすぐに緊張で強張り、本来の自分を出すことが全くもって、できなかった。
朝はいつもお腹が痛くなり、ご飯も食べられなくなる。
表情はいつもより明らかに暗いのだ。

子供の頃は友達がいるか、クラスに馴染めるか、喋りかけられるかなどが心の半分以上をしめ、それがクリアされると、途端に元気を取戻し、自分らしく振る舞えるようになった。


大人になり、そこまでひどくはなくなったが、娘の事となると、そうもいかない。
小さい頃の自分が何せやってくるのだ。

そう、まさにジブリの『おもひでぽろぽろ』のように。


幼い頃の自分が急に顔を出すと、なんとも言えない不思議な感覚になるのだ。

今の自分ではないから、思い出なのだけれど、思い出にしては色褪せずにそこにいるかのように自分がいるのだ。
自分と娘は違う人格だから、感じ方も価値観も全く違うだろう。

ただ、親としての私は、子供の頃の自分と娘とを兄弟か双子の様に一緒に見えて、そこにいるかの様な感じに思えてしまうのだ。


あのおもひでぽろぽろのタエ子と同じ様に、そこらじゅうに幼い頃の自分が娘と同じ年になり、そこにいる感覚。


あの物語を書いた作者の岡本螢、刀根夕子両名は本当にすごいと感動してしまう。


この感覚は、決して子供には分からない。


だから、あの映画を見た時も、全く意味が分からなかった。何回もみたが、何度見てもよく分からなかった。

でも大人になった自分には、この物語がとても良く理解できる。


私もタエ子の様に、時々娘をみると、自分の子供の頃の私が出てくるから。


そんなこんなで、新年度。
娘よりも私が緊張していた入学式も終わり、新しい中学生活をスタートした娘。
どんな日々になるのか、親としては不安と楽しみが入り混じり、思春期を迎える難しい年頃の娘との向き合い方を、幼かった中学生の頃の自分と対話しながら、タエ子の様に今を生きて行ける様になりたいと思った。

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