不登校の子どもに必要なことは?
不登校三兄弟と関わるなかで、不登校の子どもに必要なことはまず「話しを聞いてもらうこと」だと思っています。
話を聞いてもらうことはたくさんのパワーがあります。
自分が大事にされていると感じる
自分を肯定的に受け止めてもらう
自分を知り、自分の軸をつくる
この3つのパワーが不登校の子どもが自分や自分の未来を信じる力になると思っています。
我が家ではこれが圧倒的に足りなかった。
その理由は
「口を出さず、見守りましょう」「気持ちを聞き出そうとしない」の意味を誤解していた
自分の聞きたいことばかり聞いていて、子どもが話したいことを聞く習慣がなかった
このことはまた別の機会に書きたいと思います。
今回は不登校の子どもの話を聞くことがなぜ必要なのかについて、先に書いた3点が大事だと思うわけを書いていきたいと思います。
まず子どもと安心してつながる
以前書いた記事「学校に行きたくないと言った時まずは安心してつながることで可能性はひろがる」でも書いたのですが、
ます子どもと安心したつながりを作ることが最優先だと思っています。
なぜなら不登校の子どもは混乱・危険と感じている状態だと思うからです。
何度も読み返しているわたしのバイブル的本、
スッダ クドゥバ さん著『こどものスモールトラウマのためにできること: 内面で何が起きているのか』でも、
子どもが混乱状態の時「つながりがすべてに優先する」と書かれています。
なぜつながりが最優先かというと、
混乱や危険と感じている時、脳は生存本能から闘争か逃走反応、または動けなくなってしまい、思考脳が停止してしまうからです。
このことはこの本だけでなく、脳の仕組みやトラウマの本でもよく取り上げられていました。
そのせいで、混乱や危険と感じている状態だと、視野が狭まり、多角的に現状を見て、冷静に考えることができなくなってしまいます。
また良くない行動を抑制することもできなくなってしまうと言われています。
そんな状態の時の言動はその人自身の性格ではないことが多いという事です。
わたしは三男の癇癪がここに原因があったように思っています。
不登校の子ども達はどうしたら良いかわからなくて、
不安
焦り
危険
などを感じているんじゃないかと思います。
そんな時にまず親が安心できる味方になることがとても大事だと思います。
でもその時親も混乱状態にいるので、思考停止になりやすい。
また自分の感情を抑えることも難しい…。
わたしは三兄弟で3回以上「学校に行けない」と経験したのに、本当に散々失敗してきて、自分の不安な感情を抑える難しさを痛感しています。
でも今はそんな自分を責めるのではなくて、この脳の仕組みを知って、混乱や危険を感じる自分に寄り添って、優しい言葉をかけるようにしています。
毎回感情が大きく動く時は、自分に寄り添う声かけをして、自分と安心してつながり、味方になるようにしています。
自分にもやってみたことで、その安心感を実感しています。
落ち着いてきたら、視野もひろがり、できることを考えるパワーが湧いてきます。
だから子どもにも安心したつながりがどれだけ大事か実感しています。
子どもがどんなネガティブな感情を持っても大丈夫。
今それだけ不安なんだね。と受け止めること。
そこで安心して、
落ち着いてきたら、
広い視野を持ち、
自分にできることを考えられる。
先日も次男がボランティア活動に挑戦する前日、不安になってしまった時にも安心したつながりを作って、彼の不安な気持ちをとことん聞いていく中で、自分にできること、できないことを切り分けていました。
そこからできることだけを挑戦することができました。
聞いてもらうことは大事にされていること
学校で起きたことで傷ついたり、自信をなくしている子どもにとって、親が真剣に自分の話しを聞いてくれるということは自分を大事に思ってくれる人がいると感じると思います。
それは大きな癒しになると思います。
内容は別にどんなことでもいいと思います。
子どもが聞いて欲しいと思うことを聞いてもいいし、
「どんなことしたい?」
「何が食べたい?」
と問いかけてもいいと思います。
また、学校でのことや困っていることを話してくれた時は
そう思っているんだね。と受け止めて、
どうしてそう思うの?
何を大事にしたいの?
そんな風に聞いてみて、子どもの中にどんな気持ちがあるのかを知ろうとすることが大事だと思います。
あなたのことを知りたい。
大事に思っているよ。
という気持ちで聞けたらいいなと思います。
でもここで問題なのが、聞いてもらうほうが聞いてもらって満ち足りていることが必要になります。
わたしはそこができていなくて、自分が不安で自分の不安を解消したくて聞いていました。
わたしのことを助けてよと言っていたと同じですね。
ほんと情けない…。
でもあの時わたしも混乱状態でどうしたら良いのか全くわからず、とても不安でした。
だからこそあの時も、今もまだわたしも聞いてもらって、助けてもらう必要があると感じています。
でもそれを子どもに向けるのは間違っていたと思います。
ここも根深い問題で、自分たちが小さな頃から気持ちを聞いてもらっていない問題があると思っています。
またここは別で思いを書きたいと思います。
でも実際に子どもの気持ちを聞いてみて、子どものことを大事に思う気持ちから聞くのは自分にもメリットがたくさんありました。
子どもを知ることができる
子どもと安心した関係を築けて、自分も安心する
考える必要があることとないことを区別できるようになる
ここもまた別の機会にわたしの思いをかけたらいいなと思います。
聞くこと、聞いてもらうことについては
東畑 開人 さん著の『聞く技術 聞いてもらう技術』がとても参考になると思います。
自分を肯定的に受け止めてもらうパワー
わたしは息子たちを見ていて、学校で起きたことで傷ついたり、自分のことを信じられなくなっていると感じてきました。
そんな息子たちのことを肯定的に聞いて、受け止めることで彼らの自分にたいする信頼を取り戻せるのではないかと思っています。
自分に自信がなくなっている時、自分が感じることや考えることにも自信がなくなっていきます。
それはわたしが感じていたことでもありました。
子どもが不登校になってから相談した時や周りからのアドバイスでわたしが受け取っていたメッセージは
あなたは親として足りない
あなたは親としてダメ
もっとこんな風にしたらいいというアドバイス
こんな関わり方、伝え方がダメという言葉
これらが積み重なり、自分の何もかもが信じられなくなって、エネルギーもなくなっていました。
反対に自分の気持ちや行動を肯定的に聞いてもらって、受け止めてもらえたと感じた時、とっても元気になったり、自分のままでいいんだと勇気がでました。
また自分なりに頑張っていこう!
こんな風に思えたのは肯定的に受け止めてもらった時でした。
このことから子ども達も肯定的に聞いてもらうことが必要だと思うようになりました。
また
一人一人自分なりの感じ方、考え方、価値観があっていい。
元々一人一人違うもの。違っていいんだ。
そんな当たり前のことに気づいていきました。
学校や周りに合わせる毎日で、そんなことも忘れていたんだと思います。
そこを実感していく体験が不登校の子ども達にも必要だと思います。
学校と自分に合わないことがあっても
周りと自分に合わないことがあっても
大丈夫。
自分らしくていいんだ。
自分であることがとても大事なんだ。
そこを実感するためにはいろいろな気持ちや考えをじっくり聞いてもらうことが必要だと思います。
それには親の価値観を押しつけたり、
子どもの話したことを評価、批判することは絶対ダメです。
この時、子どもは肯定的に聞いてもらうことを体験し、実感してもらいたいからです。
また親が聞きたいことを聞き出そうとすることも違うと思います。
子どもが話したい気持ちを話すことがとっても大事です。
その判断は子どもの様子を見ているとわかるように思います。
我が家の場合、いろいろ問いかけてみて、子どもの姿勢と目の色でなんとなくわかると思っています。
それについてもいつか書きたいな。
自分を知ることは自分軸をつくる
自分を知るために話しを聞いていくことも大きな力になると感じている事です。
長男が大学を休学した時から、子ども達の力になることは何だろうという視点で本を選び、家事や移動の間さえもずっと聴く読書をしてきて、対話がとても大事だと感じました。
トラウマの本を読む中でも、その子の中にある気持ちやなぜそう感じたのかという信念を聞くことも大事だと感じ、取り入れるようになりました。
そこから子どもたちと様々な話題で、それぞれが感じたこと、その理由などを聞くことを続けています。
そのなかで一人一人たくさんのことを感じ、考えていることを知っていきました。
本当に人は一人一人違うものを見て、違うものを感じているんだなと実感しています。
そして、それぞれの見ているもの、感じているものによって選択が違っていいんだと実感していきました。
その視点から見ると学校はひとつのものさしで優劣があるように思わされるところがあるなと感じます。
また誰かに非難されたり、バカにされたことを受け取って自分を評価してしまうことも多いなと感じます。
そこで自分なりの価値観で選択することが大事だと体験して、実感していくことがとても大事だと思うようになりました。
息子たちは学校で起きたことで自分への評価が悪くなっているように感じていたので、そこを切り崩すためにも、自分を知ることがとても大事なのではないかと思うようになりました。
大事にしたいこと
得意なこと
興味関心があること
自然とできてしまうこと
反対に
どうでも良いこと
苦手なこと
興味関心がないこと
頑張っても上手くできないこと
それぞれがどちらも持っています。
それを知ることで
自分らしく、
自分の能力を最大限発揮できること、
自分がやりやすいやり方、
手放すもの
これらを自信を持って、選択できるようになることが大事だなと思います。
なんにでも限界はあります。
時間
精神力
体力
全てを選択することはできません。
でもいろいろな場面で非難や評価されることはあります。
そこで自分の価値観や軸を持っていることが大事で、
非難されても自分の価値観で選択していくことがとても重要だと考えています。
できないことで自分を責めるのではなくて、
自分のできることをしていくこと
それが自分を信じ、進む時に大きな力になると思います。
その為にも自分の価値観を知ることが必要です。
これ、わたしができていませんでした…。
外の価値観や他人の求めることを気にして、
できない自分を責めて、ずいぶん傷つけてきてしまったなと思います。
その結果自分を信じることや自分の能力を最大限発揮することを妨げていたと感じています。
子どもたちも同じだと思います。
自分ごととして考えてみてください。
すべてに応えることはできないですよね。
時間
精神力
体力
これらに限界があります。
だから自分の価値観で選択するしかないです。
手放すものはあっていい。
でも自分が大事にしたいものに向き合っていく。
これを知っていくために「子どもの話しを聞くこと」が必要だと思っています。
わたしが子どもたちに問いかけたことをいくつかをあげておきます。
そのゲームのどこに一番力を入れているか、
そのゲームの一番魅力的なところ
映画やドラマのどこが気になったか
自分だったらどうするか
好きなもののどんなところに惹かれているか(キャラクター、歌)
我が家の場合、3兄弟と共にお出かけしたり、食卓などでいろいろな話題で自分なりの感じたことを話し合っています。
それぞれがお互いを知ることができることは楽しみでもあり、会話が盛り上がることも多いです。
反対に盛り上がらない時は必要ないことだとサッとやめるようにしています。
これが安心して自分の感じることを言っても大丈夫なんだという安心感につながっていたと感じます。
そこで心理的安全性を感じられ、少しずつ突っ込んだ話をしてものってきたり、本音を話すようになっていきました。
話しを聞くときに注意していること
話しを聞く時に注意していることもとても長くなってしまうので、別でじっくり書きたいのですが、ここでは軽く触れます。
子どもの望んでないことはやめる
子どもを変えようという視点ではなく、子どものことを知りたいという視点で聞く
その子の中にどんなことがあって、
どんなことをわかって欲しいと感じているのかを知りたいと思う。
そんな感じです。
その時は一旦自分の欲求は無になれたほうが話は弾むし、結果的には良かったと思えます。
でもこれが難しい時もたくさんあります。
わたしが大事にしたいことに触れると感情がブワッと湧き上がり、制御不能になって、自分の考えを押しつけてしまうことを何度もやらかしています…。
でもそれはその後安心して話してもらえなくなる可能性も高まるし、私にとっては良くない事でした。
ではどうするか?
わたしは自分の感情はとても大事だと思っているので、子ども達と離れて丁寧に向き合う時間をとるようにしています。
ココもとても大事だと感じているので、別で書きたいと思います。
子どもの話しを聞くときに注意したいことや大事なことはNVCやオープンダイアログ、心理的安全性の本を参考にしています。
これらもわたしのバイブル的な本で、何度も読み返して、子ども達と話す時に念頭に置くようにしています。
また困った時は何度も読み返してきました。
突っ込んだ話しができるようになったのもこれらの本のおかげです。
自分も子どもも混乱や危険状態になると攻撃か防御(闘争か逃走)になりやすいと何年も失敗してきて、痛感しているので、安心したつながりはとても大事にしています。
参考書籍のリンクを貼っておきます。
『心理的安全性の高め方』は現在Audibleだけでなく、 Kindle Unlimited 会員の方も会員対象無料本になっていました。
(会員無料対象の本はAmazonが随時変更しています。)
もし気になった方は現在とてもお得なので、是非読んでみてください。
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