23年11月短歌
全72首
1.終電間際サンタはこないシール貼られたコンビニケーキと25の夜
お題:「ケーキ」
2.買物依存な母のクローゼット鬼グラビティみしりみしりと吾を見る
お題:「ショッピング」
3.コンビニで売ってるボンドの便利さで今日と明日の境を埋める
お題:初句「コンビニで」
4.のっしのしと蟻など踏むの気にもせず公園 君はお砂場の巨人
お題:「進撃の巨人」
5.あれはたぶん90年のヒゲ兄弟ファーストバイトはスーパーファミコン
お題:「テレビゲーム」
6.あたし空が溶けるの気づかないふりしてた。枯れた猫じゃらし摘んで
お題:なし
7.真夏日に雪という名のひととあう 名刺の白地がよくお似合いで
お題:「夏の雪」
8.わけのわからぬ愛に会いたい日もあって例えばモロッコ ベルベル語
お題:「ベル」
9.丸くなったと言われるけれど凹(ぼこ)ったとこにオガクズ詰めてるだけですよ
お題:「凹む」
10.ガスコンロの火でじりじりと炙る普通狂えぬままに今日も日が暮れ
お題:「火」
11.残業で帰れないというライン見て「白々しいね」とあなたは言った
お題:「白」
12.そこらじゅう絡んでいるわ私の髪この家の支配者面して
お題:なし
13.硝子越しで言いたい事はありません だいじょぶそうに見えますか?
お題:なし
14.お化けから逃げて隠れた押入は暗闇というより黒闇だった
お題:「黒」
15.ちょうど海が割れていたのでジュゴン追った一生忘れられない散歩
お題:下の句「一生忘れられない散歩」
16.フェイクファーのコートの中とドードーと肉の隔たり如何ほどだろう
お題:「肉」
17.新人がスタートアップなんて言うむしろ貴様がスタートアップだ
お題:上の句「新人がスタートアップなんて言う」
18.アイスティーにミルクとレモンを入れてしまい作る無表情で飲む花金
お題:なし
19.雨が降っても晴れててもこころはいつも鬱々として穏やかです
お題:なし
20.秋はちょっとメランコリだねって言いながらタコパしてる山本ん家(ち)で
お題:「秋の思い出」
21.煮卵のレシピを実家に置き忘たので当分あちらに戻ります
お題:「卵」
22.今度はカマキリのジンセイだったから四時間で君を愛して僕は死ぬ
お題:上の句「四時間で君を愛して僕は死ぬ」
23.ちょっと待ってあなたの話ややっこしい取りあえず今日はポッキーの日なのね
お題:タッチパネルを操作する女性イラストを見て
24.冷めたボトルコーヒーの飲み残しこれが最大出力あなたの体温
お題:「体温」
25.手に取った温めすぎの柚子蜂蜜が最大出力あなたの体温
お題:「体温」
26.フォカッチャとスープパスタをキッチンで立って食べてる令和のオカン
お題:なし
27.こんなに世界は狂っているのにわたくし全くたしかなままで。夜明けの晩にわたしは言つた
お題:なし
28.もみじ等みな枯れ果てて川下り琵琶湖疏水はかなしみはらり
お題:詠みこみ「かなしみは」
29.クワガタの絵を褒められてそれ以降クワガタばっかり描いてる僕ちん
お題:なし
30.東宝の人があなたを探してました気をつけて(ゴジラ母より)
お題:「ゴジラ」
31.ジブンダケ 新種ポケモンできました寂しがり屋の草タイプです
お題:初句「自分だけ」
32.グズグズの野菜と豆腐とマロニーを鍋からすくって君へのリプライ
お題:詠みこみ「鍋」
33.食べなくてもいい体がほしい ならばこの世でただひとりのわたし
お題:「食」
34.軽々と弟は背丈を越えていったあなたの骨もみな食べつくし
お題:「食」
35.御幣島《みてじま》の小父に旨いと教わったカニみそよりもツナマヨが正義
お題:「食」
36.互いの指先咬みあって体感100℃の傷跡つけた so sweet
お題:なし
37.春の意味も冬の意味も知らん子が水仙の球根貰てきたわ
お題:なし
38.通学バスの暖房にさらされ溶けてゆく君のマフラーにくっつく白雪
お題:「マフラー」
39.自分だけボーダーじゃなかったの2年ぶり総勢7名ママ友ランチ
お題:初句「自分だけ」
40.めっちゃジュクジュクの富有柿見切り品で30円潰《かい》
お題:「秋」
41.それじゃまたね連絡するね。またっていつって聞けない in the さくらタクシー
お題:恋愛の歌
42.二十四時湯船に沈む回送列車に棄ててきた、愛などについて
お題:恋愛の歌
43.お探しの斧は見つかりませんでした 一件のオノ・ヨーコが候補にあります
お題:「404 not foundページに似合う短歌」
44.いくらでもお前の代わりはいるんだよ、ってんなら今日で交替させてくれ
お題:「パワハラ」
45.散々にこすり倒されててもパンダ 見れば愛らし大家都喜欢《ダージャードゥシーファン》
お題:「人気者」 NGワード、人気者
46.抽斗の奥の去年のニット着て今年生まれた人の名を知る
お題:「冬の短歌」
47.気の利いた返事が思いつかなくて昨日から君のトークに立ちすくむ
お題:「既読スルー」
48.晩秋に叢の中にひまわりは手触り残して行ってしまった
お題:「11月」
49.名も知らぬ星星空に見つけては断りもなく君の名で呼ぶ
お題:「星空」
50.名も知らぬ一等星を拾ったら絵の具に閉じ込めあなたに送る
お題:「星空」
51.黒線の境界を持つこの空は限りを知ってる、慎ましく蒼
お題:「空」
52.多分もう行くことはない外国のコイン抱きしめ今夜は眠る
お題:「コイン」
53.サカバンバスピスはそうマネキンのようだった。令和五年のショーを駆け抜け
お題:「マネキン」
54.日頃から手抜きのトコのお掃除は終わりがなくて萌えるわねわね
お題:なし
55.夫くん夫くん、シールチョコは飽きましたかぶりシールもいりません
お題:「いい夫婦の日」
56.咲いた道、と唄う祖母と鯨たちの残響この花はきっと山茶花
お題:「さざんか」
57.金色にざわわと揺れる葉稲穂のようでラーメン食べに2号線へ
お題:「金色の葉」
58.あーあもう、M-1《エムワン》より笑っちゃう飲み会だったね酒のせいかな
お題:「笑」
59.Xのやなとこなんか言いながら行く当てなくて今日もX
お題:なし
60.終電は乗れずに見送りさて今夜通話履歴を開いては閉じ
お題:「夜の電車」
61.頭脳線伸びないかなって念を込めサインペン持ちじっと手を見る
お題:結句「じっと手を見る」
62.気候とか匂いや風の強さとか君が居たパーツ声になるかも
お題:「声」
63.明け方に狂しく響くサイレン音飛び出せばバックミラーに友の顔
お題:パトカーのイラストを見て
64.右も左も知らぬことばのただ中でケンチャナヨに出会って安堵し
お題:なし
65.買ってきたCDを背の高さまで積んでプラスチックの海に溺れる
お題:初句「買ってきた」
66.買ってきた参考本を袋から出す一瞬だけ賢い気になる
お題:初句「買ってきた」
67.とりあえずわたしたちの永遠はあのカノープスに紐づけておくわ
お題:「ひも」
68.糸くずを取るふりで背にわるぐちを貼ってたあいつも並の人の親
お題:「糸」
69.あの人は倍速で生き急いでて短距離インハイ三十路で隠居
お題:「倍速」
70.散る花へまた来年と言う俺にあるのかしらねと言うな婆≪はは≫よ
お題:なし
71.「うちの子ほんとに成績悪くて」ママ友の口癖それは罠だろ
お題:連想短歌「競争」NGワード「競争」
72.子供部屋あのカーテン開けたなら膝を抱える五歳のわたし
お題:「カーテン」
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