大原 史

趣味で文章書いたり、短歌詠んだり、写真撮ったり、デザインしたりする人。普段は働く主婦。

大原 史

趣味で文章書いたり、短歌詠んだり、写真撮ったり、デザインしたりする人。普段は働く主婦。

最近の記事

2024.03|短歌・自由律俳句

全36首 ※画像は心理士なべた様よりお借りしました。 03.01  ≪自由律俳句≫ 二月兎耳は短く靴下履いて 03.01  ≪お題:状況しばり「初恋」≫ モノクロの君はヒロインに恋しててわたしは君に恋かもしれない 03.03  ≪お題:ひなまつり≫ 桃の花買い帰るべし某君のママと呼ばれるわたしのために 03.04  ≪お題:詠み込み「さようなら」≫ いずれまたさようならと言うために君のストライプの傘持ち帰る 03.07  ≪お題:詠み込み「たまらない」≫

    • 2024.02|短歌・自由律俳句

      全58首 ※トップ画像はBeat Sheet 3様からお借りしました 2.1 感情は起こさぬようにベッド抜けポーチドエッグを嘘で固める お題:「嘘」 2.2 ももとせの孤独を注いで飲み干せば8テラバイトもオーバーフロウ お題:「バイト」 2.3 モーニングセットのホットコーヒーの中にも潜む鬼の涙よ お題:「鬼」 2.5 スマイルは非売品だしありがとうは有料になるすべての店へ お題:詠み込み「ありがとう」 2.6 雪降らぬ街に生まれた子らが見る北の冬は事実ファ

      • 2024.01./短歌

        見出し写真は白子ちゃん日記様(https://note.com/debupinoko/)よりお借りしました。ありがとうございます。 全55首 01.03 みそか越えアルコール抜けぬまま入る風呂は龍神さんが先客で お題:竜が水面に浮かんでいるイラストを見て 01.03 ドラゴンを掴んで見えた暗闇に火花の中にベテルギウスに お題:花火の写真 01.06 今もまだトラップ探す通勤路白線の上しか歩けない お題:初句「今もまだ」 01.06 抽象の中にほんとうを

        • 23年12月短歌

          全47首  12/02 何でも買える筈なのに変だな何も見つからないねぇメルカリ お題:「メルカリ」 2. 12/02 人混みで今日私を押したひと 明日倍の回数押されるでしょう お題:「軽く誰かを呪う短歌」 3. 12/05 この葉が全部落ちればリセットあぁ泣かないでいて春遠からじ お題:「リセット」 4. 12/05 同情より金が欲しいと叫んでた時代はバブルの地層に沈む お題:金貨と札束のイラストを見て 5. 12/06 手帳に押された「祝」のスタンプが嬉

        2024.03|短歌・自由律俳句

          23年11月短歌

          全72首 1.終電間際サンタはこないシール貼られたコンビニケーキと25の夜 お題:「ケーキ」 2.買物依存な母のクローゼット鬼グラビティみしりみしりと吾を見る お題:「ショッピング」 3.コンビニで売ってるボンドの便利さで今日と明日の境を埋める お題:初句「コンビニで」 4.のっしのしと蟻など踏むの気にもせず公園 君はお砂場の巨人 お題:「進撃の巨人」 5.あれはたぶん90年のヒゲ兄弟ファーストバイトはスーパーファミコン お題:「テレビゲーム」 6.あたし空が溶け

          23年11月短歌

          十月短歌

          *全五十一首 10.1 本なんて読む暇もないリア充な君へ聞かせるモーリス・センダック  (お題「読書または本」) 10.2 料理屋のカラカラ喋る換気扇あぶらのにおいいらっしゃいませ  (お題「風」) 10.3 塩素の匂いが寒々しい十月のスイミングに子を送り出す  (お題なし) 10.4 好きだからこそ憎み合ってしまうなど渦中で思えるはずもなくて  (お題「ケンカ」) 10.4 アイコンを変えた理由はとくにないけどちょっとだけきぶんてんかん  (お題なし) 10.4

          十月短歌

          九月短歌

          全十二首 9.21 綺麗だよそう言ったのに望遠鏡こんな荒野が見たいんじゃない   (お題「望遠鏡」 処女作) 9.23 君いない部屋に残った袋菓子記念品と呼ぶにはあまりに   (お題「記念品」) 9.23 このリアルはあの日遊んだゲームのつづきバーチャルリアリティで 今を生きてる   (お題「ゲーム」) 9.25 西日差す練習台のラテアート輪郭歪んで泣いてるみたいね   (お題「泡」) 9.25 キーボード叩く両手がいつもより苛立ってる定時まぎわの隣席のきみ   (

          九月短歌

          アフターライフ。リプライ。{ +007 / yousuke }

          「あれが多分、初恋だったと思うんですよ」 陽介は腕を組んで、下になった左手人差し指の第二関節をこめかみに当て、下を向いて低い声で言った。 考え事をしながら話をするときの彼の癖だった。 「小学二年生と」 記入カ所にはまだ何も書かれていない、新しい調査用紙を取り出して、モウシはペンを持った。 「で、どんな子だったんだ」 どんな子だったと聞かれても記憶の中の彼女の顔は輪郭しか思い出せなかった。 「髪の毛はボブで」 「うん」 「花柄のスカートを履いていて」 「うん」 「ランドセルがピ

          アフターライフ。リプライ。{ +007 / yousuke }

          アフターライフ。リプライ。{ +006 / nori }

          米長と訪れた陽介のマンションの部屋には、誰もいなかった。 「会社に電話、してみます?」 エレベーターの下降ボタンを押しながら米長が言った。 「電話……」 「安否確認ですよ。電話番号、分かりますか?」 「分からないけど、会社名検索したら出るかも」 エレベーターが上の階から降りてきて、ドアが開いた。二人は誰も乗っていない箱に乗り込む。米長は1階のボタンを押した。ドアが閉まって下に向かって動き出す。 「会社名、何ですか?」 スマホを取り出して米長が尋ねた。そして乃理が口にした単語を

          アフターライフ。リプライ。{ +006 / nori }

          アフターライフ。リプライ。{ +005 / yousuke }

          「そりゃねぇだろうよ」 あきれた口調でモウシは吐き捨て、頬杖をついていた左手で鼻毛を2,3本プチリと抜き取り、陽介に向かってフッと吹き飛ばした。 汚いな。と口に出そうになって、それの言い方は失礼かもしれないとよぎり、陽介は口をつぐんだ。 代わりに不快感を示すため、眉間にしわを寄せて右手で左胸のあたりについた埃を払う仕草をして見せる。 「いや普通じゃないですか、男なら誰でもそう思いますよ」 「思わねぇよ」 「いやいや、だって」 「お前それはな、例えば持ってた上着でまず彼女のケツ

          アフターライフ。リプライ。{ +005 / yousuke }

          アフターライフ。リプライ。{ +004 / nori }

          乃理にとって、その日はいつも通りの金曜日にはついにならなかった。 陽介の仕事が終わるはずの時刻になっても、ラインにメッセージが入らない。 仕事終わりに夕食を食べに行く約束をしていた。陽介は気まぐれに音信不通になるようなタイプではない。ましてや約束がある時はなおさら。乃理は悪い予感で息が詰まりそうになる。 仕事を終え、店を出て、店舗のシャッターを閉めた。鍵を回す乃理の手はわずかに震えていた。 「渋川さん、大丈夫ですか。良かったら僕送りますよ」 同時に店を出た米長が、クラッシュ

          アフターライフ。リプライ。{ +004 / nori }

          アフターライフ。リプライ。 { 目次 }

          「生まれ変わってもまたあなたと出会いたい。できれば違う形で」恋する当人はままならない現状を嘆いて軽々しく来世を口にするけど、それはたぶん永遠に実現することはないのだ。相手に届かずに放り出された思いは、行き場を無くしてさまようまま。 これはあの世とこの世二つの平行世界で、宙に浮いたままの思い出の無限回廊をさまよう、かつて恋人だった二人の物語。 (この話は映画と舞台「After Life」のストーリーを下敷きにしています) ※毎週日曜日更新。各話へのリンクをここに記します。

          アフターライフ。リプライ。 { 目次 }

          アフターライフ。リプライ。{ +003 / yousuke }

          いつも通りの金曜日のはずだった。 マンションを出て、最寄り駅まで歩き、電車に乗って会社へ行く。 フレックス制なのでその時の業務の都合で朝早いときもあれば遅いときもあったが、特別な用件がない場合は七時四十五分に家を出て、駅前のコンビニでコーヒーを買って、八時五分発の電車に乗る。 そして電車の最後尾に乗り込む。陽介はいつも最後尾と決めていた。会社方面に出る改札はホームの一番後ろにあるのだ。 陽介のマンションから会社までは五駅だった。 会社のある場所は都心から少し外れたオフィス

          アフターライフ。リプライ。{ +003 / yousuke }

          アフターライフ。リプライ。{ +002 / nori }

          満員の通勤列車が横転事故を起こしたという速報のニュースが日本中を駆け巡った金曜日の朝。 事故列車の痛ましい映像とテロップを見た瞬間、乃理は全身から力が抜け、手に持っていた分厚い紙ファイルを床に落とした。どすん、と大きな音がフロアに響き、店にいた顧客とスタッフは一斉に乃理を見た。 乃理の勤務するショップの名前でもある、大手携帯キャリア会社の赤いロゴがフレーム下部に大きく入った、ショップの待合フロアに掲げられた大きなテレビモニターに映し出された緊迫した面持ちのニュースキャスターが

          アフターライフ。リプライ。{ +002 / nori }

          金曜日の仮宿(小布施町「花」にまつわる物語 落選作)

          これはラストが好きな作品。自分ではまあまあの出来だと思ってたけど、最終選考にも残らないんだよね。なんだろう。もしかしたらわたしが小説と思って書いているものは小説ではないのかもしれない。え、やばくない?わたし。 しかし賞レースに残らないのはシンプルに「ヘタクソ」か「つまらない」か「規定外」のどれか、もしくは全部なのである。と自分に言い聞かせる。よし、すっきりした。(いいのかそれで)              金曜日の仮宿 毎週金曜日の仕事終わりは駅ビルの中にある花屋に寄って

          金曜日の仮宿(小布施町「花」にまつわる物語 落選作)

          ほどく(ひなた短編文学賞落選作)

          結構よく書けたかもしれない。と自分では思ったんだけど、結果には結びつかなかった。わたしは好きな作品だけど、他の人にはハマらなかった。(もしくは文学賞が求めてる作品のテイストから外れてた)という、よくある話の一つとして、またここに出しておく。作品に対して反省はしない!わたしは好きだ! __________________________________ ものにはその形で過ごした思い出がぱんぱんに詰まっちゃってるから、それをほどいて新しい形にしてあげるのがいいわ。それが供養っ

          ほどく(ひなた短編文学賞落選作)