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Cheongju,Paju 2024


清州印刷博物館/清州金属活字研修センター


場所:713 Jikji-daero, Heungdeok-gu, Cheongju-si, Chungcheongbuk-do
サイト:http://jikjiworld.cheongju.go.kr/jikjiworld/index.do

ドイツのGutenberg Museumで韓国の活字を目にして以来、どうしても行きたかった場所がある。清州金属活字研修センター/청주시금속활자주조전수관だ。ここでは直指時代の活字鋳造のデモンストレーションを見ることができる。
関西空港から仁川空港へは向かわず、清州空港へ。軍事空港を兼ねているらしく写真は禁じられた。飛行機座席に置かれたパンフレットにも清州金属活字研修センターと重要無形文化財にも登録されたというイム氏のインタビューが載っていたので、清州では主な観光地なのかもしれない。車で40分ほど移動し、まずは清州印刷博物館を見学する。
博物館は主に直指ついて、また東アジアの様々な活字、本が展示されている。これだけの広い施設がありながら直指自体はフランスにあるということが少し悲しい。書くまでもないが直指とは「直指心体要節」、グーテンベルクよりも78年早く1377年に清州 興徳寺で金属活字で印刷された最古の書物のことである。

触れる展示がある
ミスタイプはいつだって好きだ


満を持して、清州金属活字研修センターへ向かう。この施設は清州印刷博物館の前に存在する。既に鋳造が始まっており少し焦ったが、充分に見ることができた。イム氏の弟子であるという若き青年がデモンストレーションしている。職人はみな伝統的な服を着ているのだが、それは服に化繊が入っていると火の粉が飛んできたときに燃えやすいが、綿の服なら簡単に払うことができるからだそうだ。

行程に関しては写真を撮ることができたが、共有しないようにと強く言われたため、ここには記載しない。(外国人だから怪しまれたのだろうか...)
Steph Rue氏のサイトに詳しく記載されているため一読してほしい。
Steph Rue,"Metal Type Printing in Cheongju",field notes from korea,2015.10
https://stephruejournal.wordpress.com/2015/10/19/metal-type-printing-in-cheongju/
(2024年12月25日閲覧)

また博物館のYouTubeにも詳しく蜜蝋鋳造法の動画があり、こちらも非常に理解しやすい。
송쌤과학,"「청주고인쇄박물관」 직지 금속활자 인쇄과정-융해와 응고 과정 이해",Youtube,2020.10
「清州印刷博物館」 直指金属活字の印刷過程-融解と凝固過程の理解
https://www.youtube.com/watch?v=XGoJqbgHUlE
(2024年12月25日閲覧)

お土産に活字を。まるでジュエリーのよう。


その隣の施設には活版印刷機が展示されていた。テキンのWSもあり体験させてもらった。小型のテキンなのだが、Printworks studio shibuyaで使用していたものと非常に似ており、また台湾 新竹市のインク会社 東明油墨社で使用されていたものにも似ていた。 東明油墨社で使われていたものは日本製らしいので、こちらもその可能性はあるが確認はできなかった。テキン製造会社については、もはやわからなくなってしまっているのが現状である。(詳しい人がいたら教えてください。)


東明油墨社のテキン
今回のもの 似ていませんか?


庄司浅水氏は「印刷文化史」には以下のように述べている。
「宣祖二十六年(一五九二)壬辰の乱が起こり、小西信長・加藤清正らに率いられた日本軍のために漢城(京城)は占領され、校書館内の活字や印刷道具および活字本の多くは略奪され、散佚してしまった。朝鮮の国史に「李朝太宗以来成宗まで、歴代鋳造の活字はこれがため一空に帰せり」とあるところをみると、戦利品としてわが国に持ち帰った銅活字や活字本は相当なものであったことが想像される。」
庄司浅水、印刷文化史、印刷学会出版部、1973、63p

「一空に帰せり」と書いた当時の人や活版印刷工の気持ちを考えると、日本人として本当に心が痛む。

Book City Letterpress Museum


場所:145 Hoedong-gil, Munbal-dong, Paju-si, Gyeonggi-do
サイト:http://www.letterpressmuseum.co.kr/

ソウルから車で 時間。北朝鮮との国境近くまでのどかな田園風景をドライブすると畑の中にひとつその博物館は建っている。博物館に入るとまず驚くことはおしゃれな内装と活字ウマが敷き詰められた壁である。

製本機やハイデルベルクのプラテン機、新聞を印刷していたであろう手差しの輪転機、足踏み手動印刷機(C&P)印刷などが展示されているの加え、紙型や活字母型、種字なども展示され、現代的なデザインで説明文が書かれている。また古い映画のポスターや昔の電話など、日本で言う昭和レトロなものも展示されていて面白い。人がいなかったのでゆっくり見学することができた。

カウンターでWSに申込み、ハングルを文選、組版し、ポストカードに印刷できるものを選んだ。WSルームにはまた活字ウマが壁一面にディスプレイされており、参加者はそこから文選できる。かなり時間をかけてしまい申し訳なかったが、担当の方はいやな顔ひとつせず待ってくださった。組版に関していえば、言語以外は日本とさほど違いはない。ネッキもあり、組版ルールも同じようなものである。それを担当の方に渡すと3枚ほど小さなテープルトップの校正機で印刷してくれる。解版は必要なかった。

パジュ市/坡州市は出版に関係する会社が300社近くもある街らしく、それゆえBook Cityと呼ばれているそうだ。韓国唯一の活字鋳造工房もここにある。
작은가게 오래가게”한 권의 책이 우리 손에 닿기까지, 책에 깃든 시간 ③ 활판공방”NEVER,2020.01
https://m.post.naver.com/viewer/postView.nhn?volumeNo=27300322&memberNo=44966329
(2024年12月26日閲覧)


紙型
WSにて


良き学びの後には良き食事を

#letterpress #活版印刷


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