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運動部に行ったらスケオタになった件④
長いですね。分かっています。しっかり振り返って、しっかり書き起こそうと思ったら、こんなになりました笑
許してください。では、初めてのフィギュアスケート取材を終えてからの心境の変化を書いていきます。
NHK杯、全日本選手権に向けて
げんさんサマーカップを終え、運動部記者としての日常が始まりました。次の大きな大会は中部選手権、ジャパンオープン。そして、NHK杯、全日本選手権です。
ジャパンオープンで初めて宇野昌磨さん、坂本花織選手に取材が出来ました。
宇野さんは発言が哲学っぽくて一回聞いただけではなかなか真意をつかみにくいなと感じたと同時に、どんな思考回路をしてフィギュアスケートと対峙しているのかなと興味を駆り立てられました。
坂本花織選手は、その明るい人柄に惹かれたと同時に、氷の上に立ったときとのギャップがとても印象的でした。
そして、NHK杯。札幌での開催。久しぶりに飛行機に乗りました。
さすがに、しっかり準備と勉強をしました。この間、過去10年くらいのスクラップを見て、先輩たちがどのように競技を伝えてきたのかを勉強しました。
もちろん、記者によって書き方は全然違う。だけど、その中にもなんとなく「こう書くのかな」という形を見つけ、まずはそれに当てはめて書いてみようと思ったのがNHK杯。
男子は宇野さん、女子は坂本選手の原稿を書きました。
これも、締切ぎりぎりの時間帯での執筆で「ええええ、書けるかあ!」とか思いながら(でも、表情はなんでもないように装って)書いてました。
このときはまだ、プログラムを1つの演目として見るのではなく、各エレメンツが連続した1つの塊としてしか見ていなかったような気がします。
ジャンプと加点のことしか書いてないな・・・
NHK杯が終わり、会社に戻ってから各社の記者さんが書いた原稿と読み比べてみました。
「あれ、わたしジャンプとかスピンでどんくらい加点もらったとか、そんなことしか書いてないなあ。つまらん原稿やなあ」
その選手ならではの思いとか、どんなプログラムだったのか、全然伝わってこないなーと思ったのでした。
そこから、改めてYouTubeやテレ朝さんのGPシリーズの配信で各選手の演技や解説を見たり。そもそも、使っている曲ってどんな曲で、どんな背景があって作られたのか。どんなテーマを持っているのか。そんなことにも目を向けてみようと思うようになりました。
なんとなく、スポーツ原稿の形を摑んだ全日本選手権
そうした準備をして臨んだ初めての全日本選手権@大阪。NHK杯の比べものにならないほど取材対象選手が多く、締め切り時間もタイト。大雪で締め切り時間が繰り上げになり、「やべええ」と思いながら取材してました。
それでも「ここだけは意識して見よう」と決めて臨んだことが以下のこと。
①ステップのときってどんな風に滑っているのかな。エッジの傾きは?上半身はどんな動きをしていた?
②スピンの回転の速さとか軸がぶれないかも見てみよう。
③どんな表情で観客に訴えているのかな?
などなどを頭に入れ、演技を見て原稿執筆に取りかかりました。
男子SPの紙面です。↓
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ちなみに、宇野さんの原稿は・・・
SPでの使用曲「Gravity」には重力、重さという意味がある。だが、リンクで舞う宇野は世界王者という重圧も、連戦の疲れから来る体の重さも感じさせない。GPシリーズの2戦ではジャンプが乱れて出遅れた鬼門のSPで、「今できる最高の演技ができた」と貫禄を見せつけた。
という書き出しで原稿を始めました。凄く悩んで書いたのを覚えています。
坂本選手のFSは
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坂本選手の原稿の中盤にこんなふうにコレオ部分を入れて書きました↓↓
スローなテンポで始まる「エラスティックハート」。冒頭で高さと幅のあるダブルアクセルを着氷。続くジャンプで高い加点を付けて次々と降りた。
これまでは得意のジャンプを生かすプログラムだったが、今季は振付師を一新。後半の盛り上がりに合わせ、柔らかく、そして大きく上半身を動かしながら、深くエッジを倒して氷上に軌跡を刻むコレオシークエンスで会場を沸かせた。最後はガッツポーズもできないほど。「すべてを出し切れた」と言い切る。
今読むと、まだまだうまい表現ではないですがコレオのときの坂本選手の様子も自分なりに盛り込んでみました。
好きな演技が見つかり始める
NHK杯後から全日本に向けてと、全日本で点数だけでなく、演技そのものに焦点を合わせると自分の「好き」がたくさん詰まっていることに気が付きました。
坂本選手のジャネット・ジャクソンメドレーがかっこよくて、「ああ、コレ好きなやつ」って思い
河辺愛菜選手のビリー・アイリッシュメドレーの、なんていうの?両手をフレミング左手の法則の形にして、おめめのあたりでポーズするのも好き
三原舞依選手の戦場のメリークリスマスなんて、シットスピンのときに片手を上げるとゆらめく炎のようで好きだし、グッと引き込まれる演技に涙
渡辺倫果選手のロクサーヌのタンゴは、「なにあの色っぽい目線」って惚れた
宇野昌磨さんのG線上のアリアは、なんかもう大聖堂が建つんちゃうか?みたいな荘厳さ?神々しさを感じるし
山本草太選手のピアノ協奏曲第2番なんて、調べたらラフマニノフがうつ状態から治療を続け、自信を取り戻す糸口となった楽曲と知り、その年のグランプリファイナルで銀メダルを取ったこともあり「もうそれ、山本草太やん」ってなったし
友野一希選手の「HappyJAZZ」も「こうもり」も、どうしたって手拍子したくなるし、なんなんこれ
全身の鳥肌がスタオベやんけ!!!
目線を変えてプログラムを見たら、「好き」があふれているのがフィギュアスケートなんだと理解した2022全日本選手権。
その後の、さいたまワールドや国別も本当に楽しく、取材ができました。
これらのお話は、中日新聞ポッドキャスト「あしたのたね」に初めて出演したときに語っています。
その回では、当時取り組んでいた「スポーツ令和時代」で女性アスリートが直面する課題について、安藤美姫さんや荒木絵里香さん、パラアスリートの中西麻耶さんにお話を聞き、取材時に感じたことも話しています。そのほか、22年の全日本選手権前に注目選手について語ってます。わたしの好きな坂本花織選手と山本草太選手らについてや、22年の全日本選手権の見どころなどを話しています。
69~71のポッドキャストでも2023年世界選手権に向けてさまざまな選手について語っています。(71は海外選手と、おまけでカーリング取材について)
よければ、お暇なときにお耳を傾けていただければ!
かくして、立派な(?)スケオタに成長しましたw
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!これからも、しっかり選手のことを伝えられるようがんばっていきます。