見出し画像

歴史は変えられない過去の記録であるーACShadowsー

 まだ発売もしてないというのに、ただいま絶賛大炎上中のゲームがある。
 Assassin's Creed ShadowsというUBISOFT(仏)が開発中の人気シリーズ最新作だ。Assassin's Creedは世界各地の歴史上の出来事に主人公がアサシンとして介入するというのが主目的のゲームらしい。“らしい”というのは私自身がプレイしたことがないからだ。
 スニーキングゲームは好きだが、なぜかこのシリーズには食指が動かず、有名なタイトルにもかかわらずプレイしたことは一度もない。内容も軽く目にした程度だ。だから、その最新作とやらにも全く興味がなかった。当初は。
 ACshadowsは日本が舞台となっている。近年、Ghost of Tsushimaなどの海外開発者による日本舞台のゲームがそれなりに人気を博しており、そのこと自体は珍しいことではない。“へーそうなんだ”で終わるはずだった。
 舞台は安土桃山時代。主人公は弥助。……と聞いた時点で“ん?”と思った。なぜなら、日本人で弥助を知っているものはあまりいない。マイナー中のマイナーキャラだからだ。過去に戦国時代を扱った国産ゲームで登場したことがあるからゲーマーなら知っている人もいるかもしれない。
 宣教師の奴隷として渡来したアフリカ出身の黒人で、珍しもの好きの信長に刀持ちとして召し抱えられた……とされている人物である。本名は不詳。侍であるとも侍でないとも記されてはいないが、要はそれくらい資料に乏しい人物なのである。

なぜ燃えてるのか

 弥助という人物について触れたところで、なぜこの作品が本能寺の如く燃えているのかということについて書いてみたい。
 一応触れておくと、この作品に関してはダブル主人公で、もう一人はくのいちである藤林奈緒江を選択できる。従来のアサシンライクなプレイスタイルをお望みならこちらを選択するのがベターだと思われる。
 では弥助はどうなのか。村の小路で甲冑姿に兜を被り、背に鉄棒を装備し、刀でばっさばっさと敵を斬りまくる。馬を駆り鳥居をくぐって村に入り、その行く手に見えるは満開の桜に田植え。道行く村人にお辞儀をされまくり、ひと暴れすれば売り物らしき柿が散らばる。どこからどう突っ込んでいいやらわからないが、まあ、ゲームだ。アーサー王が女体化する昨今、目くじらを立てるようなことでもないだろう。……と、PVを見た時点では私もそう思っていた。
 だが、UBISOFTの開発チームのインタビューで事情は変わった。彼らは言ったのだ。
“これは史実をもとにしており、専門家をチームに加えて開発した”のだと。
 日本のどこを探しても桜(3~4月)とともに田植え(5~6月)を行う地域はないし、その時期に実る柿(冬季)はこの時代にはない。正方形の畳が敷き詰められた城などないし、畳の縁を踏む愚か者はいない。戦国時代の武士はいつでも動けるように胡坐をかくのが基本であるし、何より城下を平時に移動する際には鎧兜など身に着けないし早馬でもない限り馬で駆けることもない。
 体格が規格外(当時の日本人男性の平均身長は157センチ前後と言われているのに対して180センチを超える大男)の弥助には通常の甲冑を着ることは不可能であったと思われるし、ただの刀持ちが家紋付きの甲冑をオーダーメイドすることなどありえない話だ。その家紋についても一人のキャラに敵と味方が同居してるわけのわからなさ。
 すでに海外でも話題になっていて、日本でも参議院議員の一人がこれを取り上げた動画を作っている。販売中止を求める署名活動も盛り上がっているようだ。
 なぜここまで燃えているのか。
 海外勢には“黒人差別だ”“いやなら買わなきゃいい”という声もある。だが、そういう問題ではない。
 問題は日本の歴史や文化が捏造されていることなのだ。
 UBIははっきりと言っている。これは史実をもとにしているのだと。間違ってはいけない。彼らは頁数にして2枚になるかどうかの資料を膨らませて書かれた400pのフィクションをもとにこのゲームを制作しているのだ。
 弥助が主人公でも問題はない。フィクションならば。だが彼らは“歴史の空白を自分たちが埋める”とまで豪語している。
 お言葉だが、日本には海の向こうの他人様に埋めてもらわなきゃならないような歴史の空白などない。二千年を超える歴史を持つ日本は島国であるがゆえに王朝の移り変わりがほぼないに等しい。貴族か武士か市民か、地方自治の集合体か統一国家かの違いはあれど、日本という国はずっと一つの国家であり続けた。その間、絶え間なく歴史書が記され、様々な記録が残された。日本という国は、自国の資料で自国の歴史を証明できる国家なのだ。

黙認することで生じる問題

 たかがゲームで黒人侍が主人公を張ったからと言って目くじらを立てるものではない。所詮はゲームの世界だ、という向きもあろうかと思う。
 だが、日本はすでに黙認することで捏造した歴史を世界中に広められてしまった過去があるのだ。
 そう。従軍慰安婦問題と徴用工問題がそれである。
 韓国のみならず日本国内にまで従軍慰安婦に対して補償をせよ、という活動があるのはご存じだろうか。それとも従軍慰安婦から説明せねばならないだろうか? 私がこういう質問を投げかけるのは決して嫌味ではない。日本のマスコミは肝心要なことをいつも報道しないからだ。だからこそ、慰安婦も徴用工も知らない日本国民がいたとしても不思議ではないと思っている。ましてや今はニュースソースの選択権が無限にある。だからこそ、見逃されている問題を日本は数多く抱えているのだ。
 さて、話を戻そう。従軍慰安婦とは、第二次世界大戦中日本軍が朝鮮半島の女性たちを軍人にあてがうために無理やり拉致徴用した公娼である……と一部では言われている。実際はどうだったかというと、公娼を置くための慰安所はもちろん存在したが高い賃金が支払われ、検診や性病予防などもしっかりとした施設で、基本的には新聞などによる公募であった。無理やり連れて来られたとされる女性の多くは同胞である朝鮮人の女衒や口減らしのために親に売られたケースがほとんどであるという。給与として支払われた軍票は現在も残っている(GHQ保管)し、慰安婦だった女性の中には「とてもいい待遇を受けた」と証言している人もいる。なのになぜ、この問題はまるで事実であるかのように世界に飛び火し、日本はいまだに損害賠償を請求されてしまっているのか。
 いわゆる“少女像”と呼ばれるものがある。ベンチに腰掛ける一人の少女の像。慰安婦だったとされるこの像を見て、不思議に思ったことはないだろうか? なぜ少女は長いベンチの端に腰を下ろしているのか。答えは簡単だ。この像はもともと従軍慰安婦の像などではない。ベンチの空いた部分にはもう一人少女が座っており、象徴される事件は何と2000年代に入ってからのものだ。米装甲戦車が女子中学生二人をひき殺したとされる事件がもとになっている。この問題はアメリカ側の謝罪と賠償で解決しているのだが、この像でもって韓国は“一つ多く餅をもらおう”としたらしい。だがそうはうまくいかず、二人だった少女を一人にして、日本軍従軍慰安婦問題に流用した……とされている。少女像が装甲戦車に轢かれた事件をモチーフにしていることはわかるのだが、流用についてはソースを失念してしまったので注記させていただくこととする。
 徴用工については長崎の軍艦島(端島炭鉱)や福岡県の三池炭鉱における行員としての過酷な労働に対する謝罪と賠償を韓国側が日本に求めている件になるのだが、これも全くの捏造だ。福岡県に“炭坑節”という民謡がある。盆踊りなどでよく踊られるのだが、この中で石炭のことを“黒ダイヤ”と呼んでいる。石炭を模した黒ダイヤという和菓子もあるほどだ。つまり、石炭はそれほど価値があり、儲かる仕事だった。現に端島の工員アパートは鉄筋コンクリート造りで戦後すぐの時代で最新の三種の神器(テレビ、冷蔵庫、洗濯機)がそろい、あの約6ヘクタールの狭い島に三千人以上が住まうほどの活況だった。確かに坑内作業は過酷だったがそれに見合った給金が得られたのは現在も残っている軍票や給与明細書を見ればわかる。これについても韓国にて彫像が作られたが、その彫像は韓国人ではなく日本人をモデルとしたものであることが現在明らかになっている。
 これら二つの問題は明らかに韓国側の捏造にもかかわらず、日本政府の態度が煮え切らないため世界に散らばった韓国人コミュニティの間で少女像を設置する問題などが過熱している。現地自治体との摩擦もあってすべては設置されたままというわけではないようだが、反日教育の成果もあって今や韓国人の大半はこれらが事実であると信じ込んでいる。
 これと同じ問題が、UBISOFTに対する日本政府の対応如何で起こりうるのだ。今度は世界中で。問題を捻じ曲げられ、日本人は黒人を差別するレイシストだ、などと言われるようになってしまう。
 それでいいわけがない。

歴史は事実の積み重ね

 事実は小説より奇なり、という言葉があるが大半の人にとってやはり現実とは退屈なものである。だから、突拍子もない事件や新発見に飛びついてしまう心理はわかる。
 だが、歴史とはあくまで先人たちが築いてきた足跡の積み重ねだ。それを受け継いでいける特権を現在を生きる私たちは享受している。その特権の価値は、他国の利益のために土足で踏みにじり、捻じ曲げられていいものではないのだ。決して。
 ACShadowsの問題はもはや創作の自由を超えたところにある。私たち日本人は、これを決して許してはいけない。
 続いてきた歴史の、その上に私たちが立つ現代があるのだから。

いいなと思ったら応援しよう!

あやね@乙SUN倶楽部
読んでいただくだけでも十分嬉しいですが、サポートいただくとおいしいものを食べたりして幸せになれます。私が。