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話さない=理解してない、じゃない

我が家のダウン症児は現在、生後3歳と7か月になろうとしている。何においても超驚くほどに成長はゆっくりさんで、ただだからこそ成長が見えた瞬間が超わかりやすくて、そして超絶感動する。
これは先輩ママさんにもよく言われたことで、ダウン症関係の本にも散々書かれていた。たー坊先生が生後半年くらいまでの暗黒期に関連書物を読み漁り、先輩ママパパさんたちに突撃訪問していた私は、正直、当時この「成長がゆっくりだけど見えたときに超感動する話」を聞いて、「ふーん」という感じもしていた。

だって、成長スピードは速いに越したことないのにそれを横において、

成長がゆっくり→だからわかりやすい→そして感動する

って正直こじつけというか、自分たちを慰めるものじゃないですか・・?

と。超絶嫌な人だ。。今思うと本当に心底ごめんなさい。

その当事者に実際なってみてナウ思うこと。

「ほんとうにシンプルに感動する!!!」

なのでした。。
だから言ったじゃん、という先達の方々の姿が目に浮かびます。本当に。

今や、成長スピードが速い遅いを肯定・否定するつもりはなく、シンプルにまだかまだかと待ちくたびれた分、その瞬間に出会うとただただ純粋に感動の嵐!なのだと思う。

そう。へそくり10万円を誰にも使われないように、そして一番信頼できない自分も使ってしまわないようにタンスのどこかに隠しておこう。
シメシメ、フフフ。どこに隠そう、あそこか、いやこっちか。

そうこうしているうちに日が経ち、隠した場所を忘れ、隠したこと自体も忘れ、いつの間にかすっかり忘却の彼方。
が、ふと何かのときに偶然うっかり発見した瞬間、10万円に腰が抜けそうになる!!まさにこんな感じだろうか。

我が子は、これまで散々ここでカミングアウトしてきたとおり、全く全然歩くことができず、その予兆さえも見られなかった。ダウン症児の中でも圧倒的にダントツ一番歩行が遅れており、お友達のダウン症の子で一番早く歩き出した子とはもはや歩行歴1.5年くらい差ができている。
それが最近、突然降ってわいたかのように急に歩き始めた。驚きすぎてその光景はまるで夢でもみているのか、と思わず自分のほほをつねって確認したほどだ。その時のことはまた後でnote10ページ分くらい感動の嵐吹く中でだだだーっと思うことを思うままに書くとして。
同じくらい最近、私が度肝を抜かれたこと。それはどうぶつ。

親の私から見ると、我が家のダウン症児は特に視覚から入る情報と音のリズムに強い(気がしている)。その証拠に、全くしゃべれないくせに、手遊びの歌などを歌うと、単語は全然出てこないくせに、節目と語尾の終わり方だけはなぜか上手く合わせてくる。

例えば、森のくまさん。

「ある日~、森の中~、熊さんに~出会った~♪花咲く森の道~熊さんに出会った~♪」

を私が歌うと、ある日~の「ひ」、森の中~の「か」、出会った~の「た」、森の道~の「ち」、熊さんに出会った~の「た」だけが見事ぴったり彼の声と一致する。それ以外はよくわからないウニャウニャ語。

そもそもはそれすら私も全く気付かずに彼といる横で一人で歌っていた。(それはそれであやしい。そして私はお世辞にも歌が得意ではない)
ふと、何か誰かと一部ハモっている?!と気づき、ふとそこに集中してみたら、「おお、正体は我が息子!?」という感じだった。

世の中の3歳児が、「ママ~!今日〇〇ちゃんと遊んだの~愉しかった~♪」、「ママ~!今日××ちゃんと手をつなごうとしたら、イヤ!って言われたの、うわーん(泣)」、「ママ~、わたし明日保育園いかない!」とか超大人なレベルの発語をする中で、我が家の3歳6ヶ月男児はこんな感じの語尾の一語だけハモるレベル感なので、当然理解度も同じくらいだろうと正直結構だいぶなめていた。

ところが、先日ふとのほほんな旦那さんがこれまた何をおもったのか、床に動物カードを並べちらかし、我が子と遊んでいた。動物だけが描かれたカラフルなイラストカードを床に散かして、もとい、散りばめて、我が子に問う。

「ぶたさんどーれ?」と。

ふふふとほほえましく見ていた私だったが、次の瞬間驚愕のあまり椅子からころげ落ちそうになった。

我が子がキャッキャキャッキャいいながら、ほかのあまたの動物たちを踏んで、手でおしのけて、ずんずんとぶたさんまっしぐらに突き進んでいくのだ!!しかも他の動物に目もくれず、一直線に。
そして豚さんを取り上げて、

「コイ~!!!」(おそらく、「コレ―!!」)

とニッコニコのどや顔で叫んだのだった。

いやいや、待てよ。豚さんはピンクだし、わかりやすいし、それにそもそもたまたまだったんじゃないか。

そう思った瞬間、ほほえましさなんてどこかに吹っ飛んでいった。バチコイ!ハハのスイッチが入った瞬間なのでした。
私は大好きな「サツ」のような鋭い(つもり)まなざしで彼の一挙手一投足を観察し始めた。

イマイチ事のすごさにピンときていない旦那さんは、

「お~すごいね~、じゃあ次ね。うーん、じゃあ、キリンさん下さい~!」

といったその瞬間。

我が子がこれまた一直線にキリンの元に全力疾走(実際はまだ足元おぼつかないので、生まれたての小鹿のように)した。

え、キリンもわかるの。しかも音だけで?!
旦那さんのその後の「くま!」、「となかい!」、「いぬ!」、「ねこ!」、「ひつじ!」、「さる!」という怒涛の動物コールにも全く迷いなくそれぞれの動物を獲りに獲物まっしぐら、そして掴んで「とったどー!」の満面の笑みで戻ってくる我が子なのでした。ひゃー驚いた。。

しかもさらに驚くことに、なんと「くま」と「しろくま」をちゃんと区別しているらしい。なぜそしてどこで!?(笑)
そして、これまたなぜか「うし」と「にわとり」はわからないらしい(笑)わからないときは、ばらまかれたカードのど真ん中で妙なひょっとこ踊りみたいなのをご披露し、それはそれで嬉々として戻ってくることも新たな発見なのでした。

すごい。正直、動物の音と絵が一致しているとは全く思ってもみなかった。。大反省な1日でした。我が子よ、現実よりも低く見積もってしまっていた、すまぬ。

そして、感動したハハはその日以来、毎日動物を床にばらいまいては息子と動物の名前を連呼して嬉々として喜び合う日々なのでした。

さらにさらに驚くのは我が子の記憶の定着の速さ。
「うし」と「にわとり」が出来なかった初日、この2枚のカードが「うし」と「にわとり」であることを繰り返して満足した私は、翌日同じように床に動物をばらまき、何気なく「うし」と「にわとり」を点呼したところ、すかさず反応した我が子はなんと何のためらいもなく「うし」と「にわとり」をむんずと掴んで持ってきたのでした。
え~そんなことってある!?こやつ、もしや天才ではないか!?もしかしてもしかして、すごい才能を持っているのではないか!!

2人で歓喜の舞をして楽しんだ翌3日目。
私がどや顔でそして誇らしげに「うし」と「にわとり」を呼んだ瞬間。
今までのことは何もなかったかのようにカードのど真ん中で阿波踊りをご披露する息子なのでした。

そうか、記憶の定着も速ければ、忘却も同様なのでした。
そりゃそうだよな、父と母も全くおなじだもんな。

そういえば、昔、ダウン症の親の会の理事長さんに言われたことがある。
「ダウン症の子は、すっご~く楕円系をした螺旋階段をゆ~くり上がっていくんです。とても丁寧に一歩ずつ噛みしめて。なのでお母さんはその階段を隣で、一緒に上ることをじっくりしっかり愉しんでくださいね」と。

何だかその時の言葉がふっとスーッと自分の中に入ってきてしっくりきた瞬間なのでした。いやぁ、子育て、色々ありますね。

「ねこ」が呼ばれた瞬間。音と動作と視覚で記憶しているご様子。
調子に乗ったハハがばらまいた動物たち
お腹すいて待ちくたびれたんだってさ。
大人になった~♪♪
そろそろ帰りましょ~??
できることはとにかく自分で少しずつ!

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