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ダ・ヴィンチ 2024年8月号


■ 感想

「ダ・ヴィンチ 2024年8月号」(KADOKAWA) P172

近年ホラー作品の映画や小説がヒット作を連発し人気が高まる今、ダ・ヴィンチでもホラー特集が組まれてうれしい!

モキュメンタリー、怪異譚、土着、ファウンドフッテージ、ミステリー、サイコなど、ホラーと一括りにできない多岐に渡ったジャンルへと進化し、ホラーのクリシェとなったジャンプスケアも単純構造としての取り入れ方ではなくなり面白い作品が格段に増えているので、同じジャンルを連続で読んでいても飽きることなく楽しめる。

特集の最初を飾るのは、今一番気になっている梨さんと三津田信三さんの対談。その会話中に阿澄思惟さんの「忌錄: document X」への言及が!作中に三津田さんが阿澄思惟の覆面の正体ではないかと強く思わせる箇所があり、ヒントにしてはあまりに露骨な表記すぎて盛大な引っ掛けなのか作者が誰なのかの謎はオマケ的な謎解きとして組み込まれている為、簡単に分かるようにしてあるのかが判りかねる所だったけれど、「阿澄思惟さんからお手紙をいただいた」と、噂を打ち消す発言もありドキドキした。かといって裏の裏、裏の裏のそのまた裏…と疑問と疑惑はまだ一向に解決せず。

でもモキュメンタリーの面白さは、分かっていても現実と地続きのような恐怖と、事件を捜査しているかのようにそれぞれの読者が解き明かしていく快感でもあるので、謎が広く深い程面白い。数回読んだだけでは気づかなかった違和感、疑問がひとつ、またひとつと見つかり、それを解決する為に様々なことを調べては一喜一憂し、また新たな謎にぶつかる。

現場百遍ならぬ、原書百読のモキュメンタリー大ヒット作が書籍界を震撼させ、更なるホラーの飛躍となってほしい。まずは10年経ってなお未解決の「忌錄: document X」を解決したい。

■ 漂流図書

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■近畿地方のある場所について | 背筋

「インタビューのテープ起こし3」の章でインタビューされている女性作家のモデルは岩井志麻子さんと知って、ますます読むのが楽しみに。

でも帯の「見つけてくださってありがとうございます。」が既に怖い😱

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