ピーターラビット冬のおはなし
■ ひとこと概要
「キツネどんのおはなし」を元に作られた本作。銀色の月明かりの中、夢のように美しい雪をまとったモミの木がそびえ立つ穏やかで幻想的な夜。冬でなくとも何度も広げたくなる異世界への扉のような絵本。
■ 感想
「ピーターラビット冬のおはなし」ビアトリクス・ポター
(訳)すぎもとえみ(大日本絵画)P30
「キツネどんのおはなし」を元に作られた本作。ある冬の日、ピーターはお母さんに「たきぎを拾ってきて」と頼まれ森へとお出かけ。あまり遠くには行かず、キツネのトッドには気を付けてと忠告を受けるも、途中で出会ったいとこのベンジャミンと共に今回もちっとも聞く耳は持たず。
たきぎそっちのけで雪合戦を始め、氷を滑り、ソリに乗って森の奥へ。そこにはポター曰く「あまり感心できない」アナグマのトミーと、キツネのトッドが待ち構え…。
相変わらずイタズラが大好きで大胆なピーターたちの日常は子供の頃の好奇心に満ちた小さな冒険と重なり、ハラハラしながらもあの頃の高揚感を思い出させてくれる。各ページの下には小さな封筒があり、その中には銀色のかわいい雪の結晶が。
その結晶たちを最後のページの大きなモミの木に飾れるようになっていて、銀色の月明かりの中、夢のように美しい雪をまとったモミの木がそびえ立つ穏やかで幻想的な冬の夜が完成する。冬でなくとも何度も広げたくなる、大好きな夜が閉じ込められた1冊。
■ 寄り道読書
「雪の結晶 とびだすポップアップ絵本~アニバーサリーエディション~」
ジェニファー・プレストン・シュシュコフ(イラスト)エフゲニア・イエリヤツカヤ
(訳)柴田 里芽(グラフィック社)P14
美しい雪景色の中くるくると舞う美しい結晶が再現される感動と驚きに満ちたポップアップ仕掛け絵本。
冬はロマンチックな側面もあるけれど寒さが苦手でどうしても閉塞的に感じて憂鬱になりがちで、冬ほど心ときめく本は必要不可欠。少し重い冬の日々を照らしてくれる、私にとって寒いシーズン必携本です。