BEAST 警察庁特捜地域潜入班 鳴瀬清花
■ 感想
ニホンオオカミの研究をしていた民俗学者の太田穣先生が、調査のために向かった森で遺体で発見された。その遺体には人とも動物とも判断しがたい複数の歯形が。
秩父の山で人狼と遭遇し、その後憑りつかれたようにその森へと足を運んだという太田は死の直前妻に電話をしていたが、その電話にも狼のような鳴き声が含まれていた。果たしてニホンオオカミの生き残りなのか、それとも狼憑きのような現象なのか、新たな犠牲者を防ぐべく調査へと向かった地域潜入班。待ち受けるのは発見か、怪異か、或いは。
狼信仰が生きている秩父を舞台に、イザナギノミコト・イザナミノミコトや、狼憑きなどの話へと広がり、古事記や民俗学の視点から展開を想像する愉しみに惹き込まれる。掘り下げて調べものをしていると地域潜入班と共に捜査をしているような感覚になり、その先に心配事がある為後半は加速的に心が急く。
絵空事とは言えない生々しい現代の闇に胸塞ぐ想いに包まれるが、語られることなく想像の余地を残した深い余韻に作者の新境地を感じた。
■ 漂流図書
■古事記 | 池澤夏樹個人編集・日本文学全集01
前にサラッと読んだ時は読んだ端から記憶が消えていく状態…。
旧約聖書、ギリシア神話を朧にも記憶の中に入れた今なら(体系として似た部分が多いので)前よりは記憶に残りやすい…といいな💧