カナダに住んで見る日本
2012年からカナダに住んでいる。
日本は便利で清潔で安全で好きだった。コンビニも各駅にあるデパートも、居酒屋の飲み放題もカラオケもディズニーランドも大大大好きだった。でもこの生活のまま自分の人生が進んでいくことに、どこか違和感ももっていた。
カナダには北米への憧れがずっとあったからあまり迷わずに来た。それでも最初の夜は友達にもらった手紙を読んで泣きながら、ステイ先のベッドで寝た。
あれから8年。憧れだった北米生活がすっかり日常になってマンネリすら感じる時もある。
でもカナダに来たことで、気づいてよかったと思っていることがたくさんある。
1. 日本はエンターテイメントが溢れすぎていて、世界の情勢や自国の政治に全く興味がなくても生きていけてしまう
カナダ人はあんまり賢いほうではないと思うけど(カナダのみんなごめんね)、それでもみんな自分の意見がある。自分の国の、州の、人口や与党や今問題になっていることや、解決しなきゃいけないことがわかっている。
私は日本の人口すらわからなかった。
日本人は(私が、かな)興味の範囲が子供じみているな、と感じることが多々ある。幸せボケしているのかもしれないけど、その他に興味がいってしまうことが多すぎるのではないかと思うのだ。
2. 一生懸命働くこと、向上心があることはすごくいい。でももっと気楽でいいじゃない
昔こっちで一緒に働いた友人が言っていた。
カナダ人は人のミスにも寛容だけど、自分にも甘い
日本人らしすぎる私は、さぼってたりやる気なかったり間違っても謝らないカナダ人に何度もイライラしたことがある。今もする。
でもそれと逆で、こっちがミスしたときにへこへこ謝って一大事!何とか巻き返さなくては!とあせっていても、いーよいーよそんくらい。と許してくれるのだ。日本の記者会見や企業のミスのように「今後このようなことが二度と起きないようこのような対策を練り、、、」みたいな説明は仕事でもあまり必要ない。
それを見て日本ももう少しみんなお互いにやさしくしてもいいんじゃないかと思った。
お客様は神様精神もそこまでやりすぎなくていいと思う。お客様はさまさまだけど、働くこっちだって人間なのだ。ミスもするし不条理な要求にこたえる必要なんかない。
3. 映画館も遊園地もなくていい。散歩でいい。
こっちに来て最初の頃にデートした相手から「散歩に行こう」と言われて驚いたことがあった。犬の散歩ならまだわかるけど、大人二人そろって散歩するの?散歩でどこに行くの??ていうか何の目的で歩くの??!!
カナダ人は散歩やハイキングによく行く。それはすぐ近くにそういう自然があるからできることではあるけど、ただ自然を楽しむ。沈む夕日を見に出かける。ビーチに座ってひたすら話す。森林の中に自分だけになって静けさを楽しむ。
どれも日本にいたころの私にはまったく経験のなかったこと。夕日を見に行くなんて考えたこともなかった。
そういう、なんじゃそらと思うようなことが、人生にゆとりと満足感をくれるのだ。常にテクノロジーや娯楽を追求しなくたっていい。
4. 日本人はとっても好印象
いいことももちろんある。
バス停で並んで順番に乗るのは当たり前。
請求書は支払期限までに払うのがルール。
夜は隣近所の人に迷惑になるような音は出さない。
こういう、日本で暮らすとしごく当然すぎてそんなの守らない人いるんですか??と思うようなことが、外国では通じない。
だから、当然のようにそれができるというだけで、日本人というだけで、好印象を持ってもらえるのだ。
家を借りるとき、仕事でお客さんと話すとき、田舎に住む友人や彼氏の家族に会うとき、日本人というと「あぁ日本大好きよ」「日本人はいい人ばかりね」とみんな口をそろえて言ってくれる。
どれも日本の中にずっといてはわからなかったこと。
わからないまま日本にいて幸せに暮らせるのならそれでももちろんいい。
でも私は気づいてよかったと、外の世界に出てよかったと思ってる。
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